美智子はかつて、素晴らしい芸者だった。
赤い着物を着た彼女がひらひら舞うと、それはまるで羽根を広げた赤い蝶のようだった。
しかし今となっては、彼女の舞を直視する勇気のある者はいない。
概要
芸者とはスマートフォンアプリIdentityVに登場するキャラクター、ハンターの一人である。
本名は「美智子」。苗字は不明。
容姿
芸者という呼び名の通り、小刀を仕込んだ扇子片手に赤い着物に身を包み、結い上げた長い黒髪を二つにしておろしている。普段はその状態でしずしずと歩くが、激怒すると豹変し、般若の面をつけ髪を振り乱しながら宙を舞う。
スキンは通常衣装の色違いの他、ところどころに羽の装飾で飾られた和服の孔雀や、花嫁といったものがある。
花嫁のスキンは名前のイメージに反して白無垢ではなくピッチリとしたウェディングドレスで、髪がブロンドになっていたり通常からベール付きの仮面を身に着けているなど印象ががらりと変わる。後述の般若相の時は全体的に衣装が黒くなり、仮面がとげとげしいものに変わる。
かつてはこのドレスを着ることを夢見、大切な人を失ってから手に入れたものらしい。また、着物と違い身体のラインがはっきり出るデザイン故、美智子のスタイルの良さがよくわかる。
性能
スキルは視界内にいるサバイバーに高速で接近する「刹那生滅」、空に飛びあがって広範囲の索敵を行う「離魄移魂」の二種。刹那生滅は存在感0から使用でき、最大まで溜めると性能がアップしてより速く接近できる。
外在人格「三役」
芸者は行動によって下記の三種類の形態に変化する。
同じように複数の形態を持つ白黒無常と違い、任意のタイミングで切り替えることはできない。
美人相
ゲーム開始直後の基本形態。移動速度は高く、警戒半径も狭い。窓枠超えなど、一部を除いた何かしらのアクションを起こすと下記の般若相に変化する。
この形態では楽しそうに鼻歌を歌ったり、何も操作せずに放置していると舞を踊ることがある。意外と声が可愛いので必見。
般若相
攻撃をする、スキルを使用する、板を壊すといったアクションの他、サバイバーから攻撃されるなどするとこの形態に移行する。美人相と比べて移動速度は低く、警戒半径は大きいなどデメリットが多い。
般若相になると画面中央下あたりに左右で表情の違う芸者の顔を模したゲージが出現。時間経過とともにゲージが減っていき、ゼロになると美人相に戻る。
ゲージがなくなるまでに般若相になる条件を満たすとゲージが最大になり、最初からやり直しになる。
狼狽相
美智子は他人の視線を非常に恐れている。それは狩る対象であるサバイバーであっても例外ではなく、顔を見られると扇で顔を隠してしまう。
この形態になると移動速度が落ちる(般若相の時はさらに遅くなる)上、スキルも使用不可能になるなどいいことが一つもない。
ちなみに扇で顔を隠しているが懐中電灯の効果は無効化されない。寧ろ移動速度低下と相まって怯ませられやすい点に注意が必要。
長所
やはり存在感0から使用できる刹那生滅による索敵と追跡が最大の武器。視線さえ通っていれば倒した板や窓枠、背の低い障害物などを無視してサバイバーに肉薄することが可能なため、聖心病院外周など見通しのいい開けた場所では有利。特質の瞬間移動などと違ってクールタイムも8秒と非常に短い。
刹那生滅の範囲内にいる相手の頭上には赤い鬼のアイコンが、顔を合わせている相手の頭上には青い扇子のアイコンがそれぞれ表示される。プレイヤーがサバイバーを視認できていなくても自動でアイコンが表示されるため、内在人格の「耳鳴り」と併用するとサバイバーを見つけるのは非常に簡単である。
短所
長所の項では「刹那生滅による索敵と追跡が得意」と書いたが、敢えて悪い言い方をするならば「それが全部」なハンターである。
特に芸者の攻撃は他のハンターと比較しても発生の遅さ、リーチ、範囲ともに極端なまでに狭く慣れないと非常に当てづらい。リッパーの霧の刃や断罪狩人のフックといった遠距離攻撃スキルもない。その上当たったか否かに関わらず、攻撃すると自動で足の遅い般若相に変化してしまうのも難点である。サバイバーの中でもチェイスが得意なうえ、最初から懐中電灯を装備している泥棒は芸者の天敵といえる。
最大の特徴である刹那生滅についても、スキルでの接近中にサバイバーに注視される、サバイバーが障害物の後ろを通るなどして視線が切れてしまうとその時点で追跡を中断してしまう上に、この時も般若相になってしまうため、スキルのクールタイムが終わるか美人相に戻るまでは般若相の状態でゆっくり追いかけるしかない。また、道化師のダッシュと違って刹那生滅自体に攻撃判定はないため接近したあとは直接攻撃を加えないといけず、前述した攻撃の当てづらさ、移動速度低下のデメリットを背負って的確に攻撃を当てる腕が要求される。高ランクだと芸者相手に慣れたサバイバーにすいすい攻撃を躱され、一人に時間をかけ過ぎた結果敗北なんて珍しくもない。
なんとか攻撃を当ててサバイバーをロケットチェアに拘束しても、復讐者のパペットや結魂者のクモの巣といったサバイバーを監視・牽制できるスキルがないのも厳しい。上空に飛び上がる離魄移魂で一応周囲の索敵はできるものの、上記の通りサバイバーが芸者の方を向いていると刹那必滅は使用できず、ましてや飛行中は刹那生滅以外の移動手段がないためにスキルを空振りすると地上に降りる以外に何もできない。離魄移魂発生前後の隙も非常に大きく、迂闊に使用するとかえってピンチを招きやすい。
なおあまり知られていないが、離魄移魂で地上に降りる際に攻撃判定が発生する。といってもこれも範囲は狭く、狙って出すのはお勧めできない。
当然ながら天井のある建物内や湖景村の廃船ではスキルの使用はできない。できなくても特に問題ないが。
そもそも近辺の索敵を行うなら「耳鳴り」で事足りるため、わざわざ隙の大きい離魄移魂を使う場面は少ないだろう。
おすすめ内在人格
得意なチェイスを更に有利にする「閉鎖空間」、攻撃を当てづらい分一撃に賭ける「引き留める(ノーワン)」は最低どちらか一つは装着しておきたい。
逆に時間経過で存在感が上昇する「傲慢」は芸者にとって存在感を上げるメリットがあまりないため他の内在人格を蹴ってまでつける必要はない。
サバイバーの芸者対策
前述した通り芸者の追尾能力はとても高く、一度見つかると完全に逃げ切るのは難しい。そのため芸者を相手にするときは逃げるよりも恐れず立ち向かうような動きが重要になる。
サバイバーが芸者の視界内に入ると画面右側に赤く光る芸者の顔のアイコンが出現し、それをタップすると後ろ歩きになり芸者を注視する視点に切り替わる(もう一度アイコンをタップするか、視線が切れると通常の視点に戻る)。
刹那生滅を封じられた芸者は上記したように足が遅く攻撃範囲も狭いハンターでしかないため、攻撃タイミングに合わせて脇をすり抜けるように急旋回すれば意外と簡単に避けられる。チェイスに自信があるならそのまま一人で芸者を翻弄し、他の仲間に暗号解読を進ませられれば勝利は容易い。ただし、後ろ歩きの視点では進行方向に注意しないと壁にぶつかって一気に距離を詰められ窮地に陥る可能性があるため油断は禁物。
余談
pixiv内においては「芸者」「芸者(IdentityV)」より「美智子」のタグがつけられていることが多いので検索する際はそちらを使おう。