幼くして母を亡くし、父も暗黒騎士団による港町ゴリアテ襲撃の際に死亡している。生前の父は飲んだくれで、フィラーハ教の神父という認められた立場の父親(と美人の姉)を持つデニムに対しては友情だけでなく屈折した感情も抱いている。
10代後半の頃から、幼馴染であるデニム、カチュアらとともに、敵対するガルガスタン勢力や、仇である暗黒騎士団に対してゲリラ活動を開始する。そんなある日、港に現れた暗黒騎士ランスロットの一団(実際は同名の聖騎士ランスロットらゼノビア人一行であった)を襲撃したところから、『タクティクスオウガ』の物語は始まる。
デニムの選択により変化する役柄(注:以下、ネタバレを含みます)
一章終盤、デニムが上官である騎士レオナールから「同胞の決起を促すために、収容所に囚われている同胞を一人残らず殺し、それをガルガスタン勢力の仕業として流布する」こと――悪質な自作自演――を要求された時の受け答えによって、その後のヴァイスはルート別にまったく異なる役どころを演じる。ざっくり言うと、彼はゲーム内で三役をこなす名脇役である。
1.「わかっています(虐殺に加担)」を選んだ場合
「罪もない人々を殺して真の革命なんかおこせるもんかッ!」と主張し、ウォルスタ解放軍を離反。その後は独自にネオ・ウォルスタ解放同盟を組織して虐殺の真実をガルガスタン陣営に流布した。一度は同組織に属するアロセールの暴走によってデニムと剣を交えるが、その後アルモリカ城でデニムが騎士レオナールに、虐殺その他諸々の責を負わされスケープゴートとして殺されそうになった際に駆けつけ、デニムに助力し和解を果たす。
和解後は自身の組織ごと解放軍に合流し、3章後半で仲間として加入する。この時の彼は力と俊敏さを兼ね備えた強力な戦士系クラスで、アロセール不在の穴を埋めるには十分な活躍を見せてくれる。
余談だが、離反した際のヴァイスのアラインメント(属性)はL(秩序・束縛)で、これは後述するもう一方のルートで離反したデニムがC(自由・開放)に傾いたのとは異なっている。これは、デニムが離反後しばらく解放軍の追っ手から逃げていただけだったのに対し、ヴァイスは離反後ただちに組織を結成したことの表れであろうと思われる。
2.「馬鹿なことはやめるんだッ!(虐殺を拒否)」を選んだ場合
「戦う意思の無いヤツなんか死人と同じじゃねえか」と言ってのけ、虐殺に加担する。それからはウォルスタ解放軍の遊撃隊として活動、2章ではデニムを罠にかけ衝突する。また、その後デニムが解放軍に復帰するかどうかによって、それぞれ異なる運命をたどることとなる。
- デニムが解放軍への復帰を断った場合、ヴァイスは解放軍に残るものの、その裏で独自の企てに着手する。ヴァイスはバクラムの元首ブランタと共謀してロンウェー公爵(解放軍指導者)と暗黒騎士ランスロットの暗殺を試みるが、ランスロットの殺害に失敗。暗殺の企てが露見する事を恐れたブランタに全ての責任を押し付けられ処刑される。
- デニムが解放軍に復帰した場合、ヴァイスはデニムの帰順を認めることができず、解放軍を離反し逃亡する。ロンウェー公爵に賞金をかけられ表舞台から一時姿を消すが、後に傷だらけの姿で再登場。「人を道具のように使いやがって、用済みになったらゴミ箱行きか?」と、恨みのこもった台詞を吐くなり、命乞いをするロンウェー公爵を殺害。直後に解放軍の騎士達の刃に貫かれ、カチュアへの想いを口にしながら息絶える。
1.のルートにおいて虐殺に加担したデニムが現実主義を選択した結果、Lのアラインメントとなるのに対し、同じく虐殺に加担するこちらのヴァイスのアラインメントはCである。これは2.のルートのヴァイスがデニムへの対抗心のみによって行動するようになったことを示唆していると思われる。
『運命の輪』における変更点
PSP版『運命の輪』では、以下の点が変更・追加されている。
- 苗字の綴りが「ボゼック」に変更された。
- (Cルート)固有クラス「アサシン」で登場する。
- (Cルート)絞首刑の後、固有クラス「吊られた男」となって再び出番がある。
- (Lルート)固有クラスが「ウォリアー」から「レンジャー」に変更。魔法は使えなくなったが、銃が装備できるようになったり稀少なスキルを取得できる。