CV:藤原啓治
概要
『ロマンシングサガ ミンストレルソング』に登場するキャラクター。
リメイク前のバージョンである「オリジナル版ロマンシングサガ」には登場していない。
クジャラート地方にある暗殺者組織「アサシンギルド」。
表の世界も裏の世界も人殺しで仕切ると言われ、恐れられてきた組織である。
そんな組織が社会に受け入れられるはずもなく、とうの昔に壊滅させられたはずであった。
しかし壊滅したアサシンギルドは、その構成員全てが解散したわけではなく、長い間復活の機会を窺っていた構成員もいた。そして作中の時代になると、正当後継者が現れれば正式に復活を宣言できる状況にまで組織の規模は戻っていた。
その正当後継者候補が「彼」である。
後継者と認められるためには「儀式」が必要であり、その内容はというと「毒をあおって仮死状態になってから、自力で復活する」というもの。
いざ儀式が始まると、まずは毒によって倒れ、そして毒を克服し、起き上がるはずであった。
しかし…いつまでたっても復活の気配が無い。
もしかしたら本当に死んでしまったのか。構成員たちに動揺が走る。
だが、本来の仮死状態からの復活からかなりの時間が経過したころだろう、彼はゆっくりと蘇った。
これで組織の復活を宣言することができると、構成員たちは大喜び。
しかし、彼はこの儀式によって以前の記憶を失ってしまう。自分が誰なのかさえもわからないまま、あてもなく組織を後にした…。
そして、ダークを失ったアサシンギルドはサルーインの手に落ち、暗殺組織であることを隠れ蓑にされながら、暗躍の拠点とされてしまうのであった。
二重人格?
仮死復活の儀式で発生した記憶喪失は、実は毒の効果によるものではない。
ミニオンの手によって、暗殺者である彼をサルーインの為の道具に仕立てあげるため、儀式に細工を施されていたのだった。
前もってデスの協力を渋々ながら得た上で、煉獄に閉じ込められていた才覚のある魂を植えつけることで、本来のダークとしての人格を奪い、乗っ取らせることで、自分達のもとへ引き込もうと考えていたのである。
しかし、ミニオンの思惑通りに事が運ぶわけでもなかった。
なぜなら、デスの協力を得たつもりでいたのはミニオン本人だけ。
デス側は取引の際にだいぶミニオン側から挑発を受けており、仕返しに嫌がらせをしてやろうと、なんと生前サルーインと敵対する立場だった魔道士アルドラの魂を選んでミニオンに差し出した。
そして、ダークにこの魂を植えつけるも、ダーク本人の人格を消滅させて都合よく乗っとるまでには至らず、「ダーク(闇)」と「アルドラ(光)」の人格がぶつかり合ったことで、一時的に記憶喪失になってしまったのだ。
その後、どちらの人格が目覚めるかは、彼を仲間に引き入れたプレイヤーの戦い方に依存し、パラメータなどの成長傾向によって決まっていく。
強大な力を持つ暗殺者ではあるが、ダーク本人はギルドを悪用したサルーインを嫌っている。アルドラの人格に至っては言うまでもなく、どちらもサルーインとは敵対関係にある。こうして、ミニオンの思惑とは逆に、サルーインを打ち倒す力がひとつ、マルディアスへと人知れず降り立ったのである。
術士アルドラ
アルドラは遥か昔、ミルザが勇者としてサルーインと戦っていた時代に生きていた「少女」である。
そう、何と男であるダークの身体に入れられたのは少女の魂だったのだ。
アルドラは貧しい家の出で育ちが悪く、非常に言葉遣いが悪い。
自分を俺と呼び、チンピラじみた男言葉で話す。
この為プレイヤー視点だと、アルドラルートの最後の最後まで全く気付く事ができない。一種のミスリーディングである。
アルドラはミルザの仲間として、共に各地を転戦した術士。
彼女は膨大な魔力を生まれ付き備え、類稀な術の才能を持った、術の申し子である。
自分でも気付いていなかったその才能を見出され、ミルザの仲間入りを果たす。
しかし、彼女が術を身に着け始めるには歳を取りすぎており、(高名な術士達は皆、幼少の頃から術の使い方を学ぶ)彼女は膨大な魔力を制御しきれずに度々仲間に迷惑をかけてしまう。
その為に仲間達から嘲笑の的とされ、卑しい身分と汚い言葉遣いもあって仲間には相応しくないと罵倒されたが、銀の戦士ミルザだけは彼女を尊重し、優しく接した。
そこから、アルドラはミルザに対して淡い想いを抱く事になる。
時はサルーインとの決戦直前
ミルザは仲間を2人残し、死地へと向かおうとする。
アルドラと当時のオイゲン公である。
戦いの事を後に語り継ぐ役として2人を選んだのだが、オイゲン公はアルドラと同列に扱われた事を激怒する。
ミルザの必死の説得によりオイゲン公は承諾したものの、その逆にアルドラは決して聞き入れなかった。
何度も追い返そうとしたものの、結局サルーインの住処の直前まで付いて来てしまった。
そこに居るのはおびただしい数の魔物。
その時、仲間の一人が「足手纏いのアルドラに足止めをさせよう」と提案する。
そんな事をすればアルドラが死ぬ事が分かっていたミルザはこれを固辞したが、当のアルドラは「ミルザの為になるなら」と快く引き受けてしまった。
ミルザはアルドラを説得しようとしたものの、ここでもアルドラは受け入れなかった。
結局、ミルザ一行はアルドラだけをその場に残し、決戦へと向かう。
ミルザが去った後、アルドラは超強力な術で多数の魔物を討ち果たしていくものの、次第に物量に押されていき、ついには魔物の大群の前に倒れてしまう。
ミルザは殆どの仲間を失い、自身も相打ちとなりながらもサルーイン討伐を果たすが、
その直後にエロールの手により天に上げられ、神になった。
死後煉獄へと送られたアルドラとミルザは、ついに再会する事は無かった。