概要
ZOIDSシリーズのうち1999年に復活したシリーズである「機獣新世紀ゾイド」のバトルストーリーにて描かれた戦争で当初は新大戦と呼ばれていた。
前のシリーズにおける大陸間戦争と彗星衝突による大異変グランドカタストロフから40年以上の歳月を経てヘリック共和国とガイロス帝国の戦いが再び始まったがその戦いの影には中央大陸戦争で滅びたゼネバス帝国の亡霊が関与し、彼らによって戦争は誰もが予想だにしなかった事態へと発展していった。
新大戦開始に至るまで
ZAC2056年の大陸間戦争での大異変によってヘリック共和国とガイロス帝国の戦いは中止を余儀なくされた。その後、両国は復興を行っていたが大異変から40数年後のZAC2097年に暗黒大陸を一代で統一したガイロス帝国皇帝であるガイロスが死去、その1年後のZAC2098年10月に帝国首都ヴァルハラにてガイロスの一周忌を兼ねた新皇帝の戴冠式が行われた。皇帝となったのは僅か10歳の少年ルドルフ・ツェペリンであった。その後見人が摂政であるギュンター・プロイツェンであった。ガイロス帝国が大異変から持ち直したのは殆ど彼の功績であり、民衆からは圧倒的な支持を受けていたプロイツェンは軍と議会を掌握していく。だが民衆も議会もルドルフも誰一人として知らなかった。プロイツェンの正体とその野望や憎悪に…
一方、中央大陸デルポイを統治するヘリック共和国はルイーズ・エレナ・キャムフォード大統領が中心になって復興を行っており、その結果経済力も工業力もガイロス帝国を上回るほどに豊かになっていた。
西方大陸戦争(エウロペ戦役)
ZAC2099年6月、国家予算の6割を軍事費につぎ込んだ事でZi最強の軍隊となっているガイロス帝国軍は旧大戦の決着をつけるべく遂にヘリック共和国に宣戦布告、行動を開始した。90個師団と言う大部隊を西方大陸エウロペに出撃させたのだ。強力な統一国家の無かったエウロペには彼らを迎撃できるわけがなく、帝国軍は僅か2週間で北エウロペ大陸の30%を占領した。対する共和国軍もこれを黙って見過ごすわけがなく可能な限りの迎撃部隊として30個師団を東側に布陣させた。
エウロペが戦場になったのは中央大陸と暗黒大陸の間にある強電磁海トライアングルダラスが大異変の影響で電磁波が強まって完全に航行できなくなった為、そしてエウロペ各地に眠っている古代のZi星人の遺跡である。高度な文明を持っていたと言われるそのテクノロジー目当てに両軍はエウロペに来たようなものなのだ。
こうして惑星Ziの40年以上にわたる平和が終わり新たなる戦いが始まった。この前哨戦が西方大陸戦争である。
ちなみに開戦当初の両軍のゾイドはゴジュラスやレッドホーンなど数十年前の旧大戦で使われた旧式機ばかりであったが次第に新型機も開発・投入していった。
第一次全面会戦
8月にレッドラスト砂漠にて両軍が初めて激突、エウロペ最高峰にして重要拠点オリンポス山を巡る戦いが始まった。しかし戦争に向けて万全の準備を進めていた帝国軍の方が兵力に勝っており、共和国軍は次々に敗れ去ってしまった。1週間後にはメルクリウス湖が帝国軍に制圧されてしまう。
そして帝国軍は共和国軍を包囲殲滅する電撃機動作戦を敢行したがシールドライガーとコマンドウルフからなる高速部隊が包囲部隊を次々に壊滅させた事で殲滅作戦は失敗していった。
オリンポス山の戦い
9月、かなりの劣勢にも拘らず共和国軍はオリンポス山の山頂の遺跡を帝国軍に渡したくないが為にエル・ジー・ハルフォード中佐率いる独立第二高速戦闘大隊をオリンポス山へ出撃させた。他の部隊はその援護に回された。
帝国軍はシールドライガー達を仕留めるべくセイバータイガーを派遣した。ハルフォードはこれを辛くも撃破したがその直後に強行偵察を行っていたダブルソーダから山頂が帝国軍に占領されたと言う報告を受けた。だが彼らはそれでも遺跡へ向かう事を決意。
10月に大損害を出しながらも山頂遺跡に到着、そこで彼らは帝国軍が古代文明のテクノロジーであるオーガノイドシステムを利用してデスザウラーの復活を目論んでいる事を知る。ハルフォード達は未完成状態のデスザウラーを破壊しようとするがデスザウラーが本能により暴走、敵味方問わずに潰しまわった挙句、荷電粒子砲を発射してしまう。だがこれがデスザウラーの崩壊につながり、ハルフォードは自らを犠牲にしてデスザウラーを打倒、山頂の遺跡と基地は壊滅したが生存者を探しに来たダブルソーダが高速部隊のトミー・パリスをコマンドウルフのコクピットと共に救出した。またそれにはオーガノイドシステムの分析データも手に入っていた。
結局、北エウロペ大陸の80%は帝国に制圧されてしまい、共和国は僅かに残ったミューズ森林地帯とロブ平野に逃げ延びた。またステルスバイパーが敵を迎撃した事で共和国軍は辛うじて全滅を免れた。
オーガノイド達の戦い
オリンポス山の戦い以降、両軍はオーガノイドシステム(OS)をゾイドへ組み込み始め、新世代型ゾイドが次々に誕生していった。
ZAC2100年1月。年明けの頃、帝国軍では決戦用ゾイドの開発を計画していたが開発陣ではそれを現在の主力機の改造機ダークホーンとセイバータイガーATかOSを搭載した最新ゾイドジェノザウラーにするかで揉めており、司令部は「お互いが開発した機体同士を戦わせてその結果で新型決戦ゾイドを決める」と言うコンペを決定した。
その結果、リッツ・ルンシュテッドが乗ったジェノザウラーが2機を虐殺同然で倒した事でジェノザウラーの量産が決定したがOSの精神的ダメージによりパイロットが耐えられそうに無いと言う欠点によりあまり進まなかった。
そして3月に司令部はまだ見ぬ古代遺跡がある南エウロペ大陸への派兵を決定、戦線拡大と言う無駄をやってでもOSを完成させようとした。
共和国軍も帝国軍の南方進出を察知し、ゴジュラス1機を含む一個大隊を派遣。先回りして南エウロペ大陸のエルガイル海岸に防衛陣を構築したが、ジェノザウラーとレブラプターからなる派遣部隊により僅か1時間で防衛陣は破られ、帝国軍は進撃した。だが共和国軍もまたOS搭載機であるブレードライガー、ストームソーダー、ガンスナイパーと言う新鋭機をテストも兼ねて派遣しており、ガリル遺跡にて帝国軍と交戦した。
遺跡内でアーサー・ボーグマンのブレードライガーがリッツのジェノザウラーと激闘を繰り広げるが、結局遺跡の中にあったOSの鍵を握るかもしれないゾイドコアはジェノザウラーが入手した。
戦局の変化
5月、北エウロペ大陸の戦況は帝国有利でミューズ森林地帯を挟んで膠着状態が進んだ。帝国軍は強大な兵力を持っていたが急激な進撃スピードの為に補給が追い付かない状態になった。そんな中、ロブ基地爆撃を行おうとしたレドラー部隊が迎撃に来たストームソーダー部隊に敗北、それから連戦連勝の共和国空軍は西部の制空権を掌握、帝国の補給線への徹底爆撃を開始した事で帝国軍の前線部隊は慢性的な物資不足に陥ってしまった。
戦局が変化しつつある中、共和国側は形勢を逆転するべく本国の防御を手薄にする危険性をかけて6月に本土防衛部隊である最強軍団20個師団が出陣した。帝国軍は増援を阻止せんとデルダロス海にシンカー部隊を投入したが、襲撃を予想していた最強軍団の反撃にあいシンカー部隊は全滅。共和国軍の増援は無事、西方大陸へ上陸を果たした。
第2次全面会戦
7月、共和国軍の最強軍団出撃は帝国司令部に危機感を抱かせた。物資不足に苦しむ帝国軍は共和国軍が再編成を終える前に短期決戦を挑む事を決意、再編中の共和国軍ロブ基地に対して陸と海からの二面作戦を実施した。
帝国軍はストームソーダーが飛び立てない嵐の夜を待って地上軍50個師団及び混成海兵部隊1万機が陸海同時攻撃をかけた。これに対し再編成中の共和国軍はゾイド2万機しか出せず、3対1の戦力差で挑まざるを得なかった。さらに悪天候を覚悟で出撃したレドラー決死隊が前線に穴を開けて突破口を開いてその穴から地上軍がなだれこみ、完全に不意を突かれた共和国軍は次々と防衛線を突破されていったが帝国を恨むエウロペ傭兵部隊の活躍でどうにか共和国軍は落ち着いていったがプロイツェンが本国から差し向けたPK師団のアイアンコングPKがロブ基地に殴り込み、共和国軍をギリギリまで追い詰めるも、それまで誰にも乗りこなせなかったOS搭載機ゴジュラス・ジ・オーガが自分を助けてくれた傭兵のアーバインを主に選んで起動。アイアンコングPKを撃破し、帝国軍地上部隊は撤退へと追い込まれた。また、海からの上陸が予定されていた海兵部隊は共和国の新型海戦ゾイドハンマーヘッドの襲撃を受けて壊滅した。
結果、帝国軍のロブ基地壊滅作戦は大失敗に終わり、第2次全面会戦は共和国軍の勝利となり、形勢逆転された帝国軍主力部隊は弾薬不足の中で大撤退を余儀なくされた。
撤退戦に現れた新型機とその暴走
帝国軍は主力部隊を救うべく全予備兵力の投入を決意。
南ルートのヘスペリデス湖の橋を渡っていた部隊の加勢にリッツの乗るジェノブレイカーを投入した。対ブレードライガー用にジェノザウラーを改造したジェノブレイカーはブラックライモスと共にブレードライガー(アーサー機ではなくOSのレベルを調整した量産型)を含む追撃部隊を血祭りにあげて橋を破壊、撤退を成功させた。
その頃、北ルートのレッドラストでは同じく新鋭機であるライトニングサイクスとガリル遺跡で手に入れたゾイドコアから生まれた真オーガノイドデススティンガーが改造ジェノザウラー部隊と共にシールドライガーDCSを含んだ最強軍団を迎撃、ところが戦闘中に攻撃を受けたデススティンガーが暴走、ライトニングサイクス以外の敵味方を無差別に襲って全滅させて、姿を消した。結果的にこのどさくさで北ルートの帝国部隊は撤退に成功、大損害を受けた共和国軍は追撃を諦めてしまう。
8月に共和国軍はこれら帝国新型ゾイドの脅威に対抗するべくブレードライガーの改造を決意した。
デストロイヤー兵団出撃
9月になった頃、共和国軍は切り札として今やたった1機しかいないウルトラザウルスを西方大陸派遣軍に明け渡した。
超大型砲1200mmウルトラキャノンを搭載したウルトラザウルス・ザ・デストロイヤーを中核としたデストロイヤー兵団によって態勢を立て直している帝国軍西方大陸軍団の拠点ニクシー基地を砲撃するのだ。
共和国軍の全部隊がデストロイヤー兵団と共にニクシー基地へ向かう中、帝国軍も黙って見過ごすわけがなく、先鋒部隊五個師団を派遣したがウルトラザウルスの砲撃でほぼ壊滅してしまう。
窮した帝国軍はジェノザウラーやライトニングサイクス、ジェノブレイカーからなる決死隊を編成してウルトラザウルスに白兵戦を挑んで撃破を目論んだ。
三つ巴の戦い
10月。ウルトラザウルス破壊に向かっていたリッツのジェノブレイカーとウルトラザウルス護衛についていたアーサーのブレードライガーABがレッドラストで交戦。だがその最中に迷い込んだ古代遺跡にて失踪していた凶戦士デススティンガーが乱入。しかもデススティンガーは遺跡をアジトにして両軍のゾイドを襲って奪ったコアを養分に増殖していた。このままではZiが滅亡する事態になる事を恐れた二人はデススティンガーを攻撃する。そしてアーサーは倒されて死亡するもリッツがデススティンガーの撃破に成功する。その後、リッツはジェノブレイカーと共にデススティンガーの巣を破壊した後に姿を消したのだった。
時を同じくしてデストロイヤー兵団がニクシー基地を砲撃し、基地を完膚なきまでに壊滅させた。
ニクシー基地攻略戦
デストロイヤー兵団の砲撃により壊滅状態になった帝国軍のニクシー基地。指揮系統も滅茶苦茶になり帝国軍には共和国軍から基地を守り抜く力は失われていた。ここに至って本国の帝国軍司令部はエウロペからの撤退を決定した。ホエールキングで撤退する味方の殿としてゼネバス出身の兵士たちがエレファンダー部隊で基地に乗り込む多くの共和国軍を迎撃した。
その頃、アーサーがデススティンガーに殺された事を知って怒った高速師団のレイ・グレック中尉は小隊を率いてニクシー基地の地下工場に殴り込みを敢行、そこで帝国軍が作ったライオン型とティラノサウルス型の2機の実験機、そして小さなゾイドを発見した。突如作動したティラノ型実験機に乗機シールドライガーDCS-Jと部下達を失ったレイはライオン型実験機を奪って立ち向かった。そしてティラノ実験機は小ゾイドを持って逃げていった。だがレイはまだ知らなかった。ティラノ実験機に乗っていた男が後に最大の敵になる事を…
そしてエレファンダー部隊はディバイソンやカノントータスからなる重砲撃ゾイド部隊に倒され、損害を出した共和国軍によりニクシー基地は陥落したが帝国軍主力部隊はエレファンダーの尽力で撤退に成功し、帝国は本土決戦に向けての準備を始めていった。
こうして西方大陸戦争は共和国軍の逆転勝ちに終わった。
暗黒大陸戦争
ZAC2101年になり、共和国軍はニクシー基地占領後もエウロペに残った帝国軍各拠点の掃討を行い、そしてほぼ完了した事で事実上西方大陸は共和国軍が制覇した。これに伴い、共和国のルイーズ大統領は帝国側へ停戦勧告を行った。
だが主力部隊を撤退させる事に成功したプロイツェンはそれを無視し、あくまで打倒共和国を目論んで戦争継続を行う事にした。全てはゼネバス再建の為に…
ニクシー基地襲撃
ZAC2101年1月、停戦勧告を無視する形で帝国軍が改造ホエールキング・モビーディックをニクシー基地へ出撃させた。
ストームソーダーやレイノスも昇れない高度3万mにいるモビーディックから発進した大量の無人ゾイドザバットはニクシー基地を猛爆撃、暗黒大陸上陸作戦が遅れるくらいのダメージを与えた。
共和国軍は暗黒大陸戦を視野に入れて再就役したサラマンダーに大型ミサイルを搭載してモビーディック艦隊を壊滅させた。
続く3月、共和国の経済力や工業力が戦争へ向けられようとする中で帝国軍は次なる刺客としてオーガノイドシステムで大量製造したウオディックの軍港襲撃とインターフェースによって制御可能になったアンナ・ターレス率いる量産型デススティンガーKFDの部隊による奇襲を行った。
この事態に対して共和国軍は暗黒大陸上陸に備えた独立部隊閃光師団を出撃、レイが奪ったライオン型実験機を基にしたライガーゼロがKFDの打倒に成功した。
アンダー海海戦
6月に帝国の邪魔で遅れに遅れ切っていた共和国軍のニクス上陸作戦が遂に始まった。まずその手始めとして制海権を確保する必要があり共和国軍はウルトラザウルス・ザ・キャリアからなる艦隊をアンダー海へ出陣させた。帝国軍もブラキオスやウオディックからなる艦隊で勝負に出た。
そして始まった海戦は共和国軍有利かと思いきや実はプロイツェンは隙を付いて先の戦いで大量生産したシンカーの大部隊でウルトラザウルスたち共和国軍艦隊を襲った。
結局海戦は帝国の勝利となり、共和国艦隊は追撃を避けるべくトライアングルダラスへ逃げ込むが、案の定電磁波に苦しみ自滅の危機に陥った。だが突如として現れた帝国の者らしきゾイドマッカーチスの導きでトライアングルダラスの中にある安全な回廊を発見した。
そして艦隊はニクスの南海岸に到着するもそこで見たものは滅茶苦茶になった帝国軍陣地とそれを潰した謎のゾイド集団鉄竜騎兵団の姿であった。
暗黒大陸上陸と謎の鉄竜騎兵団
ウルトラザウルスから発進したプテラスの報告でトライアングルダラスの回廊を知った共和国軍は7月にそこを利用してニクスへの上陸作戦を開始した。その先陣として閃光師団がエントランス湾に乗り込み制圧、共和国軍は帝国部隊を次々に蹴散らしていく。だがウルトラザウルスが目撃した帝国軍の異変とあまりの敵の脆さに不穏を感じた閃光師団はシャドーフォックス達に偵察を命じた。その内の一機が鉄竜騎兵団のゾイド達が他の帝国ゾイドを潰している所を目撃、そしてウィグリド平原の戦略的に必要のない場所に彼らの基地を発見した。
レイたち閃光師団はその調査の為に基地へ向かったがバーサークフューラーを始めとする鉄竜騎兵団の待ち伏せを食らった。真下にいる地底ゾイドグランチャーの電磁波攻撃で動けなくなったライガーゼロ達に襲い掛かる鉄竜騎兵団。彼らの正体はガイロス帝国内部で虐げられていた旧ゼネバス帝国の人間達による集団だったのだ。バーサークフューラーを駆るそのリーダーであるヴォルフ・ムーロアこそ、あのゼネバス帝国皇帝ゼネバス・ムーロアの孫だったのだ。
レイは両国を敵としている彼の狙いが中央大陸に行く事だと見抜き、野放しにすれば大変な事になると危機感を抱く。ピンチの最中、共和国司令部が万が一に備えて閃光師団への援軍として送ったガンブラスター部隊が現れて形勢が逆転、レイはジャミング波を無力化すべくライガーゼロの装甲を全て脱ぎ捨てゾイドの闘争本能に任せた最後の反撃を試みるが、そこにヴォルフの側近であるズィグナー・フォイアーの駆るデスザウラー実験体ブラッディデーモンが襲い掛かり、バーサークフューラーを逃がす。核と機体の不一致から暴走寸前のブラッディデーモンに対し、レイは仲間を救うべく急遽全てのCASをゼロに取り付けた即席改造ライガーゼロで戦いを挑み、辛くも勝利する。しかし、そこに逃げたはずのヴォルフが舞い戻り、レイのゼロにダメージを与えてズィグナーを救出した後、再び逃走した。閃光師団は全滅こそ免れたが、受けた被害は甚大で共和国勢力圏への後退を余儀なくされることとなった。
トリム高地基地での会談
9月。帝国軍がニクス各地で共和国軍と交戦する中、戦争に大きな転機が訪れた。鉄竜騎兵団の存在から何かの陰謀を感じた共和国軍。大統領の息子と言う噂のロブ・ハーマンと帝国軍内でプロイツェンに次ぐ影響力を持つカール・リヒテン・シュバルツはトリム高地基地でこの戦争に見え隠れする陰謀に関して会談を持ちかけた。
両者は鉄竜騎兵団の黒幕はプロイツェンでは無いかと話し合う中、会談を察知したプロイツェンの刺客ヨハン・H・シュタウフィン軍曹のライガーゼロイクスがシュバルツを消すべく基地で暴れまわった。
ハーマンはケーニッヒウルフでシュバルツはセイバータイガーで立ち向かう。結果イクスは倒されるもシュバルツは重傷を負ってしまう。
ニクス各地での大規模激戦
自分の陰謀がバレそうになったプロイツェンはOSで再生出来たデスザウラー50機を正規軍に送り、さらにヴァルハラ防衛隊とPK師団以外の帝国軍の全部隊に出撃を命じた。共和国軍も暗黒大陸の厳しい冬が来る前に決着をつけんと帝都ヴァルハラへの進撃を開始する。
10月にはニクス各地で激戦が行われ、そして両軍合わせてゾイド10万機、兵員200万人、戦線の長さは100kmに及ぶ大会戦がヴァーヌ平野からセスリムニルで巻き起こる。最も熾烈なセスリムニル市街戦ではデスザウラー30機が現れて共和国軍に襲い掛かったが共和国もデスザウラーに対抗するべく復活させたマッドサンダー20機を投入、宿命の対決を繰り広げ、3日後には全て中破、大破し、戦闘不能となるという壮絶な結末となった。
戦闘から6日後、北西から来たハーマンとシュバルツが全軍に戦闘中止を呼びかけ、2年半に及ぶ共和国軍と帝国軍の戦いはようやく終わった。だがわずか5日間の戦いで両軍合わせて12万の死者が出ており、怪我人もその5倍以上、ゾイドも4万機が破壊されると言うとんでもない被害になっていた。
プロイツェン反乱と新帝国建国宣言
戦いが終わった直後の11月にとうとうプロイツェンは最後の仕上げに出た。帝都ヴァルハラで自分の私兵であるPK師団を率いてクーデターを敢行、お飾り同然な防衛隊を全滅させてヴァルハラを占領した。
遂にプロイツェンはそこで自分がゼネバス・ムーロアの隠し子である事を明かした上でネオゼネバス帝国の建国を宣言した。
この戦争はプロイツェンが父親の国であるゼネバス帝国を崩壊へ追いやったヘリック共和国と同胞を扱使って踏み躙ってきたガイロス帝国への復讐とゼネバス帝国復興のために引き起こしたものだったのだ。
共和国軍と帝国軍は結託してルドルフを助けるべくヴァルハラへ向かった。だがそれは罠だった。
実はプロイツェンは自分専用機ブラッディデスザウラーを自爆させて両軍を道連れにしようとしていたのだ。全てを中央大陸へ密かに向かっていた息子のヴォルフ・ムーロア率いる鉄竜騎兵団に託して。
ルドルフはそれを阻止するべくゴールドセイバータイガーで戦いを挑む。戦いの末にPK師団は連合軍の前に全滅、そしてプロイツェンも乱入したシュバルツのアイアンコングの攻撃で瀕死の重傷となる。プロイツェンは自爆し皇帝官邸共々ヴァルハラは壊滅、しかしルドルフの努力で連合軍は全滅こそ免れるも、その戦力の4割を失ってしまった。
ヘリック共和国滅亡
中央大陸に侵入した鉄竜騎兵団はプロイツェンの死を知るとデルポイ侵略を開始した。
本土の共和国軍は新型機としてスナイプマスターやメガレオンを配備してはいたがニクスへ戦力の多くを派遣していた為に鉄竜騎兵団の新型機ダークスパイナーやキラードームなどに蹂躙され、しかもゼネバス帝国復活に目が眩んだのか旧ゼネバス国民達が共和国を裏切って、破壊活動や妨害行為を行った。
これらにより防衛線は崩壊し、12月には旧ゼネバス帝都を含む大陸西半分が占領され、とうとう首都を守るマウントアーサ要塞も陥落してしまった。
共和国首都ヘリックシティが鉄竜騎兵団に包囲される中、ルイーズ大統領は自分が今まで戦っていた相手が異母弟である事やゼネバス領民の反乱などで歴史の悲劇が繰り返された事に絶望していた。
だが彼女はトミー・パリスと共に最新鋭機セイバリオンで首都から脱出を開始した。パリスにあるケースを託して。
セイバリオンはどうにか敵の追撃を振り切って首都を脱出したがルイーズ大統領はどこかへ消えていた。あるメッセージを国民に残して・・・
「この敗北が終わりではありません。これが、新たな戦いの始まりなのです」
2年半に渡る戦争の結果、ネオゼネバス帝国によりガイロス帝国は壊滅状態、ヘリック共和国は滅亡し、デルポイはネオゼネバス帝国に征服されてしまった。
その後のZAC2102年1月、ニクスにいた共和国軍は再編成を終えた部隊がウルトラザウルスと共に中央大陸を取り戻すべく出港した。首都を失った後も共和国軍残党は西方大陸を根城にして僅かにゲリラ戦で中央大陸を支配するネオゼネバスに抵抗しながらゴジュラスギガやブロックスゾイドと言った新兵器を作り上げて、中央大陸を取り戻すための戦いに打って出ようとしていた。