「すべての栄光を我らゼネバスの子らの手に!」
概要
小学館刊『機獣新世紀ゾイド公式ファンブック3』掲載の『ゾイドバトルストーリー』に登場する人物。アニメなどの映像作品には登場していないが、PS2用シミュレーションゲーム『ゾイドタクティクス』に登場した際には羽多野渉氏によるキャラクターボイスが当てられている。
ガイロス帝国軍大佐で、同国の影の部隊「鉄竜騎兵団」の司令官。だが彼はガイロス軍でありながら鉄竜騎兵団を率いて他のガイロス帝国軍を攻撃している。
それもそのはず。実は彼の正体は今は亡きゼネバス帝国皇帝ゼネバス・ムーロアの孫にしてガイロス帝国摂政ギュンター・プロイツェンの息子でもあった。
大佐という高官であるがガイロス帝国軍のカール・リヒテン・シュバルツ中佐がその名と存在を全く知らなかったことから、ガイロス帝国軍所属というのは、ほとんど便宜的なもので、その名と階級は実質、鉄竜騎兵団のみでのものだったと思われる(ガイロス正規軍=国防軍として活動する際の偽名と軍籍も持っていた可能性もあるが、この場合もギュンター・プロイツェンの子であることは伏せられていたと思われる)。
後継者として育成されてきた彼は父や他のゼネバス帝国出身者と共にガイロス帝国内部で密かにゼネバス帝国再建と怨敵とも言えるヘリック共和国及び自分や同胞を冷遇し虐げてきたガイロス帝国への復讐を密かに目論んでおり、そして父の命をかけた策でガイロス、ヘリックの両国を出し抜いて中央大陸を制圧した後に建国したネオゼネバス帝国2代目皇帝(初代は父ギュンター)となる。
父親を彷彿とさせる酷薄な美貌と、幼なじみであるアンナ・ターレスを死地に送り出す果断さの持ち主だが、実際はその心根は指導者に不向きと言われるまでに優しい性格であるとされ、時に一人の部下を助けるためだけに自ら危険を冒したり、戦闘中の事故で両軍全体に危機が及んだ際には敵側の兵にも退避を勧告して彼らも助けようとしたりと、本質的には敵味方問わず無駄な犠牲を出すことは好まない人間である。
ゾイド乗りとしては、ガイロス帝国の大佐の地位についていた以上相当レベルのはずだが、当初は卑怯な戦術を使っていたこともあって、経験に劣る状態であった。
しかし宿敵との出会いを経て自分を磨いたことで、共和国軍のレオマスターに匹敵、あるいは上回るほどのレベルに成長している。
父親はギュンター・プロイツェンと明言されているが、母親については一切、不明。ゼネバスの復権を大いに嘱望されている身であることから、母親も旧ゼネバス関係者の可能性はある。
活動歴
ZAC2100年10月。西方大陸エウロペ大陸の帝国軍ニクシー基地はウルトラザウルスの攻撃で壊滅状態となり、共和国軍がニクシー基地へなだれ込む。
オーガノイドシステムに欠けていたピースともいえる小ゾイドのインターフェイスを本国へ持ち帰るべく、ヴォルフは未完成のバーサークフューラーで、共和国軍の小隊と戦闘し殲滅。その戦闘に生き残り、ライガーゼロを強奪したレイ・グレックとの交戦が、因縁の始まりとなる。
ZAC2101年7月。ヴォルフは鉄竜騎兵団を率い、暗黒大陸へ上陸した共和国軍と、友軍であるはずの帝国軍双方を襲撃。両軍をまとめて潰すため、双方の軍備バランスを取っていたが、自分たちの秘密基地を発見した共和国軍の独立部隊「閃光師団(レイフォース)」を迎撃。
バーサークフューラーで圧倒したものの、敵の増援で思わぬ反撃に遭い、部下の奮戦もあってどうにか撤退して本隊と合流し、防備が手薄状態の中央大陸へ出発した。
ZAC2101年12月。ヴァルハラでの父の自爆を知った彼は、鉄竜騎兵団を率いてヘリック共和国に侵攻。旧ゼネバス国民の協力もあって首都ヘリックシティを陥落させ、事実上の瓦解に追い込む。
ZAC2102年。ネオゼネバス帝国を正式に樹立。
共和国議会解散と共和国軍解体によってデルポイ大陸全域を制圧。
中央大陸の全体統治のため、反ガイロス思想に沿うことで旧共和国国民を含む人心を掌握したが、東方大陸(ZOITEC)に技術提供を恫喝的に迫ったことで、同盟を結んだ共和国軍残党、因縁浅からぬガイロス帝国との全面戦争に突入することとなる。
主な乗機
人間関係
実の父親。ただし髪の色が真逆であることもあり、容姿的には(祖父であるゼネバスとも)余り似ていない。
彼に対する感情を述べる場面がほとんど無いため、どのように思っていたのかは明言されていないが、慕い尊敬していたと思われる。
なおゲーム『ゾイドタクティクス』のアニメルートでは彼の死について、「人の心を失っていた」と決別の言葉を述べている(こちらのプロイツェンは当然アニメ準拠の人物なので、色々な意味でその通りではある)
幼馴染にして親友(と言うよりは・・・)であり、ヴォルフを呼び捨てで呼んでいた数少ない人物。デススティンガーの改造機KFD(キラー・フロム・ダーク)に乗り込み共和国軍と戦ったが、レイ率いる共和国軍のライガーゼロ部隊によって倒される。彼女の死はヴォルフの心に深い傷を残し、レイとの因縁を決定づけた。
- ズィグナー・フォイアー
鉄竜騎兵団副司令官にしてヴォルフの副官。
彼を「殿下」と呼び、影のように付き従い絶対的な忠誠を誓っている腹心である。
共和国軍のレオマスターの1人で、その後は閃光師団、懲罰部隊へと転属を繰り返していく。ヴォルフにとっては因縁の敵であり、ライバルとも言える。
余談
ゲーム『ゾイドタクティクス』のアニメルートではヒルツとデスザウラーの敗北をもってネオゼネバス帝国を旗上げしているが、この時はヘリック、ガイロスどころか、惑星Ziが滅亡するかどうかの瀬戸際だったため、ここで人類が敗北した場合、ゼネバスの復活どころではなかったのに、なぜ静観していたのかは疑問である(このゲームでは、アニメルートの場合、後半の整合性がとれていないのは、この点に限ったことではないが…)