概要
ヘリック共和国とゼネバス帝国が存在する中央大陸から離れた北方にある暗黒大陸と呼ばれるニクス大陸に存在する軍事国家。
第一次大陸間戦争時代の首都はダークネス(チェピン)。第二次大陸間戦争時の首都はヴァルハラ。
厳冬地帯に位置する北国であり、大陸全体が極めて過酷な環境であることから、住民は常に温暖で住みよい地域を渇望しているというどこかで聞いた事情を持っている。一方で地殻活動は活発で地熱に恵まれているなど北欧神話に絡まった地名も相まって地球のとある島国を彷彿とさせる。
住民の民族・部族名などは不明だが、厳しい環境の中、豊富な地熱を利用して文明を育んできたという点はゼネバス帝国を構成した地底族や火族などにも通じている。
国章は二つあり、90年までの旧バトルストーリーでは黒縁の緑のシールドに宝玉と黒い飛竜が使われ、99年以降の新バトルストーリーでは宝剣に絡まる赤い飛竜が使われている。国章が大きく変った理由は不明。作中で皇帝が初代から二代に代わり遷都もされているたため、それが関係しているのかもしれない。
歴史
トローヤ遺跡の存在から古代文明等も存在したようだが、中央大陸統一戦争時代には戦いに明け暮れる蛮族が暮らしており、一度は中央大陸侵攻も図った(これは初代ヘリックが中央大陸統一に彼らを利用するための工作=自作自演でもあり、初代ヘリックが密かに侵攻を促していた。尚、初代ヘリックは暗黒大陸の事を祖先の伝承である程度、知っていた事から、古くには中央大陸デルポイと暗黒大陸ニクスの間に僅かながらも接触や交流があった事を示唆する)。だが、この時は中央大陸の全民族の抵抗に加えて同地の環境にニクスの兵士もゾイドも適応できずに、まもなく撤退を余儀なくされた。
その中央大陸より地底族長ガイロス(初代ヘリックと統一戦争を戦ったライバルで、ゼネバス皇帝の母方の伯父にあたる人物)がニクスに渡っていった後、ガイロス皇帝1世が現れ、彼によって建国。一代で帝国勃興・大陸統一にまで至った。なお旧地底族長ガイロスと当時のガイロス皇帝1世との関係は不明であるが、「何らかの繋がり」「関与」があることは示唆されている(少なくとも同一人物ではない)。また、族長ガイロスは2人の部下のみを伴って中央大陸を離れたとされている。ガイロス帝国にはプロイツェン家とシュバルツ家がそれぞれ政治と軍事の名門として並び立っていたが、これとも関係しているのかもしれない。その地底族長ガイロスがいかなる思惑や経緯で新天地を目指して旅立ったのかは不明。中央大陸に攻め込んで来た軍勢の捕虜などから北の大陸についての話を聞いたりした可能性もある。
トローヤ遺跡とそれがある大陸東部・テュルクはガイロス帝国発祥の地とされる。尚、大異変によって大陸の一部が水没したため、それ以降のテュルクはニクス本土から細い内海で隔てられた小大陸と化している。ガイロス帝国の勃興と統一の時期と経緯は一切不明だが、少なくとも時期に関してはZAC1957年に地底族長ガイロスが中央大陸を離れた以降に勃興(地底族長ガイロス本人が建国したわけではないのはほぼ確実なので、ZAC1957年やその直後ではないだろうが)、ZAC2039年にゼネバス皇帝とゼネバス軍の亡命を受け入れ、本格的な支援を開始した時期には既に大陸を統一もしくはそれに近い状態にあった事が概ね推定される。
初代皇帝のガイロスについては詳細はほとんど不明。旧バトルストーリーでも冊子に僅かに姿が描かれたりしているだけで(豪奢な肩章付のマントを羽織った黒い長髪の男性だが顔は非常に厳つく、ほとんど人間離れしている。あるいはこの肖像は仮面などで素顔を隠している姿なのかもしれない)、台詞や登場もごく僅か。「鉄の意志の持ち主」とされており、虜囚にしたゼネバスと言葉を交わした事、ZAC2097年に逝去した事以外はほとんど記述がない。一代で大陸を統一して強大な軍事国家を築き、大異変さえなれば惑星Ziの全てを手中にしていたとも言われる稀代の覇王であり、恐らくはその偉業を成すに相応しい覇気に富む人物だったと思われる。一方で大異変で一族の大半を失い、晩年に生存していた唯一の血縁者(直接の子孫なのか血族なのかは不明)は10歳に満たない幼い男児、ルドルフ・ツェッペリンのみであるなど、その最期は憂慮多いものであったことは想像に難くない。尚、後継者のルドルフの姓はツェッペリンだが、初代皇帝ガイロスもそうなのかは不明である。
ドラゴン型ゾイドなどニクス原産の独自のゾイドを持ち、これにより、かつては非常に強力な空陸両用の機種を開発。更にディオハリコンというニクスでのみ産出される物質(鉱物?)を用いたゾイドの強化技術を有するなど、極めて高度かつ独特のゾイドと技術体系を持っていたが、大異変の際にこれらの大半は失われてしまった模様(強力なゾイドの素体となる種の多くが絶滅もしくはそれに近い状態となり、高度な技術もロストテクノロジー化してしまった)。それでも大異変後も軍事関連に力を注ぎ続けているため、軍事技術力ではヘリック共和国の先を行っていた。
バトルストーリーにおけるガイロス帝国は当初は中央大陸デルポイの覇権をへリック共和国と争うゼネバス帝国を支援していたが(この頃は表舞台にはほぼ登場せず、国名どころか「暗黒大陸」という地名しか表記されていなかった)、ゼネバスがへリックに敗れると、その敗軍を吸収し、今度は自らがへリックとの戦いを繰り広げることになる。互いに超強力なゾイドを投入した全面戦争となるも、ZAC2056年の惑星Zi大異変によって巨大隕石の衝突という予期せぬ事態を迎え、大打撃を受けた両軍は休戦を余儀なくされる。
ZAC2099年には復興しており、軍事費に国家予算の6割を捻出する、かつてよりもさらに軍事色の強いお国柄となる。同時代では旧首都のダークネス改めチェピンは軍需産業の拠点となっており、首都はヴァルハラに遷都された。
同年にはヘリック共和国への侵略橋頭保の確立を名目に西方大陸エウロペに進出。翌年ZAC2100年に敗戦し本国へ帰還。ZAC2101年には本土決戦を挑むが、内心では両軍の共倒れを狙っていた帝国摂政プロイツェンの陰謀によって首都ヴァルハラが崩壊し大きな痛手を受ける。その後は新たに勃興したネオゼネバス帝国への対抗としてヘリック共和国との連合に加盟した。
初代皇帝ガイロスの統一期前後は不明ながらも、第二次大陸間戦争前の時期においては帝国内に議会があり、プロイツェンがその掌握によって国政を手中にしている事、国民の絶大な人気と支持を背景にその権力と地位を固めている事が明記されており、少なくともこの時点でのガイロス帝国が皇帝が絶対的な権威のもと優越して振る舞える国家体制(絶対君主制)ではない事は示唆されている。
旧バトルストーリー時代の冊子では初代皇帝ガイロスが複数の「国家」を服従させて成り立っている帝国とあり、皇帝や中央政府が一括して直轄しているのではなく、大陸統一前の勢力、領邦等を幾分か残しているのかもしれない。この設定や体制が受け継がれているかは不明ながらも、第二次大陸間戦争時代のガイロス帝国はゼネバス派の暗躍・国内活動が正規軍(国防軍)にも、まるで関知・周知されていないなど、軍政含めた行政の縦割り組織的な弊害が目立っている(無論、これは摂政プロイツェンによるものも大きいのだろうが)。
バトルストーリー
中央大陸での戦争で、苦戦するゼネバス軍を支援する形で登場。
当時のバトルストーリーでは「暗黒軍」と呼称されていた。
ゼネバス側の敗戦が決定的になるとゼネバス軍を裏切り、残存戦力を吸収して暗黒大陸へと撤退。同時に共和国に対して宣戦を布告し共和国軍との間で第一次大陸間戦争が勃発する。
しかし、惑星Zi大異変(グランドカタストロフ)によって決着の着かぬまま休戦、40年余りの平和な時が過ぎる。
その後、皇帝ガイロス1世の死去により幼い皇太子のルドルフ・ツェッペリンが帝位を相続、ギュンター・プロイツェン元帥が摂政として、まだ年若いルドルフに代わって権力を握ると軍備の再編が優先され、それから間もなくヘリック共和国に対し宣戦布告。中央大陸へ向かうルートとして西方大陸に進撃し第二次大陸間戦争が勃発する。
開戦当初は優勢で戦いを進めるも豊かな国力を持つヘリック共和国が徐々に戦局を握り、暗黒大陸への撤退を余儀なくされ、共和国軍の暗黒大陸上陸に伴い本土決戦が開始される。
しかし、これはヘリック・ガイロス双方の戦力を消耗させ、共倒れを目論むゼネバス皇帝の息子(この素性は隠されていた)であったプロイツェンの陰謀だった。
その後、自身の出自を明かしたプロイツェンの反乱が発生し、彼の率いるPK師団が帝都を占拠するとガイロス軍は共和国軍と休戦して共同戦線を張り、PK師団を壊滅に追い込んでプロイツェンを追い詰めるも、これこそがプロイツェンの自身を餌にした罠であり、ガイロス・ヘリック連合軍を巻き込んだプロイツェンの改造デスザウラーによる自爆によって帝都に攻め込んでいた戦力の大半を喪失、帝都も焦土となってしまう。
プロイツェンの自決からカール・リヒテン・シュバルツ中佐がルドルフ幼帝をギリギリのタイミングで救出していたため皇族全滅の危機は回避され、その後、ルドルフ幼帝は無事復権するも第二次大陸間戦争とプロイツェンの反乱で受けた深刻な打撃から国力が大きく弱体化、表舞台から退くこととなる。
ネオゼネバス帝国成立以降は鉄竜騎兵団による電撃的奇襲攻撃で本国を奪われたヘリック共和国を裏方で支援し凱龍輝開発の為の援助(野生体の提供)を行うなど裏方に徹した。
このようにヘリック共和国とは極めて良好な関係となったが、先帝時代の所業から中央大陸にいる共和国民衆からは未だに敵視されている。
ネオゼネバス側からは先帝時代での裏切りやそれから続いた度重なる旧ゼネバス系将兵への冷遇から反ガイロスを表明されるほど嫌われ、ガイロス側も第二次大陸間戦争で国土のみならず人員面でも大きな打撃を被っているため、ネオゼネバス帝国との関係は最悪の一言に尽きる。
所属人物
※バトルストーリー、公式ファンブックシリーズに登場、記載された者のみ。
太文字は固有の活躍エピソードがある者、斜文字は旧ゼネバス系関係者と明言されている人間。
<ZAC2051年~ZAC2056年>
- ガイロス
<ZAC2099年~ZAC2101年>
- ルドルフ・ツェッペリン
- ギュンター・プロイツェン
- カール・リヒテン・シュバルツ
- ヴォルフ・ムーロア
- ステファン・スコルツェニー
- リッツ・ルンシュテッド
- キルシェ・ハルトリーゲル
- ブリック・スパンツ
- ペール・ジョルドット
- ドクトルF
- ハンナ・ハンナ
- アンナ・ターレス
- ズィグナー・フォイアー
- クーリム・リン
- ヨハン・ホルスト・シュタウフィン
ガイロス帝国製ゾイド一覧
旧ゼネバス製ゾイドは割愛、斜文字は軍内のゼネバス系派閥が制作した機種。
とりわけ第一次大陸間戦争期ゾイド(いわゆる昭和末期ゾイド)では全世代中最強世代との声も昭和ファンの間ではある。ブラックホールを発生させたり、時空を曲げるなど未来的な武装も多い。
一方で、昭和末期は児童向け媒体で過剰な宣伝も多く、実際は実体より盛られた性能であるとの声もある。平成のゾイドは昭和期より格段に強化されているので、昭和ゾイドで対応可能なら平成ゾイドなら十分対応可能とする考察もある。事実デビュー戦では衝撃的なデビューを果たすもそれ以降はやられ役に徹する昭和末期ゾイドも多く、この説を補強する。
より中立的な意見としては、惑星大異変で製造技術や野生体が失われた公式設定もあり、全世代最強の機体もいたにはいたが絶滅しているので比較は出来ないという意見である。
第一次大陸間戦争 |
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第二次大陸間戦争 |
ゾイド-ZOIDS-
アニメ『ゾイド-ZOIDS-』では西方大陸に所在する国家と設定そのものが異なっており、首都も「ガイガロス」となっている。「ガロス」という通貨が使われている模様。
こちらでは既にヘリック共和国との戦いをほぼ制して西方大陸における大きな覇権を有しており、その共和国とは20年間停戦状態にあったが、皇帝の病臥に伴って実権を握った摂政プロイツェンによる「大陸の完全制覇を成し、自身の権威を揺ぎ無いものにする」という思惑により再度戦端が開かれる。猛攻の末、共和国首都陥落まであと一歩にまで迫るも、共和国軍の反撃と皇帝の死を受け、その場は撤退を余儀なくされる。
さらに次期皇帝の座を巡ってプロイツェンが皇太子ルドルフの命を狙うといった事件をきっかけに彼の本性が露わになり、その彼が引き起こした大規模なクーデターを鎮圧する際に両軍の共同戦線が張られ、それが収められると間もなくして共和国と講和に至っている。
アニメ版における主な所属人物
バトストおよびマンガ共通の登場人物は除く。
- トーマ・リヒャルト・シュバルツ
- ハーディン准将
- ホマレフ
- マルクス
- ラルフ
- ミューラー
- メッテルニヒ
- グロスコフ、ビーピー、ワグナー
- シーパース
- デリス
- ロカイ