概要
ヘリック共和国軍のライガー型ゾイドであるライガーゼロは様々な作戦や戦況に応じて武装や装甲を換装する「CAS」を採用している事で知られているが、本来ライガーゼロはガイロス帝国がバーサークフューラーと同時に開発を進めていたゾイドである。
しかし、帝国軍が暗黒大陸へと撤退した際に開発途中だった試作機を共和国軍に奪取され、以降共和国軍高速戦闘ゾイドの中核としてガイロス帝国に牙を剥く事になってしまう。
だが、共和国が開発していたブレードライガーの後継プランと共和国によるライガーゼロの開発プランを手に入れ、プロトセイバーやエレファンダーなどのデータも利用して「イクスユニット」の開発に望むことになる。
それから半年後、「ライガーゼロファントム」という前身を経て、帝国軍はようやく独自の専用CASを完成させ、ライガーゼロを実戦投入した。
それがこの「イクス」である。
光学迷彩による脅威のステルス性と強力な電撃系武装を持つ。総合能力では共和国が開発したどのCAS形態よりも万能性が高く、ブロックスとの合体形態(「B-CAS」)を除けば最強の形態である。
- HMM版では、共和国側の3種類の「CAS」の機能を総合的に取り入れる構想があったとされる。
また、「サンダーライガー」という後継プランも存在したが、戦争の混乱にてお流れとなったとされる。
装備
イクスユニット
スタスティックジェネレーターによって電力を発生させ、機体後部のドラムコンデンサーによって貯蔵する。
背部に備えられた展開式の高電磁剣「スタンブレード」とそこから放たれる高電圧ビーム砲(電磁砲とする媒体もある)の「エレクトロンドライバー」は同クラスのゾイドを一撃で破壊する威力を秘めている。これはバーサークフューラーの「バスタークロー」を参考にしたとされており、まさに兄弟機の名にふさわしい。
- ただし、「マグネーザー」を装備するプラン自体は、「銀牙」⇒「バスターライガー」など、共和国側の方が先に構想していたとされる。
- HMM版の設定では、高出力のゾイドコアに向かって電撃光線の軌道が誘導されたり、電撃であるゆえに曲射も可能で弾道の予測が難しいなど、敵側からしたらかなり厄介な武装だとされている。
また、エレクトロンドライバー使用時には尾部の先端部のアースユニットを地面に突き刺してアースとしての役割を果たしたり、放熱フィンを使って放熱する。また、アースユニットを使って地面からエネルギーを吸い上げることも可能だとされる。
弱点はドラムコンデンサーであり、破壊されると機能が著しく低下してしまう。
カッターフェアリング
タテガミであり、放熱板と敵を切り裂くブレードとしての機能を併せ持つ。
HMM版によれば、高周波を放出して攻撃力を上げており、ステルス状態でもドラムコンデンサに依存しない貴重な武装であるとされる。
また、コンセプトアートには、頭の上側のフェアリングが可動して、エレクトロンドライバーになる予定もあったとされている。
アクティブステルス
ライガーゼロイクスの最大の武器の一つ。いわゆる光学迷彩であり、ヘルキャットの機構をアップグレードしたものである。
対物ブレードセンサー
障害物を探知して高速走行を補佐する。
チャフディスペンサー
両肩に装備しており、ネコ科型ゾイドでは珍しい装備である。
バリエーション
ドナー
『サイバードライブゾイド』に登場するバリエーション。ドイツ語で「雷」を意味する「ドナー」と呼ばれる。共和国カラーの素体のバージョンもある。
どこかシーザー・ザ・キングを思わせるかもしれない (参照)。
共和国仕様
ゲームソフト『PSゾイド2 ヘリック共和国VSガイロス帝国』で登場。
鹵獲によって共和国軍で使用した際のイクスで、蒼い装甲に金色のタテガミと銀色のエレクトロンドライバーをしている。
これとは別に、『ゾイドオフィシャルファンブック・エクストラ』でも共和国所属の複数個体がレイ・グレックなどに配属され、ヴォルフ・ムーロアの護衛隊に偽装して潜入作戦を行っていた。
ストーリー
ケーニッヒウルフやセイバータイガーとの因縁がとても強く、ライバルとして描写される事例が目立つ。
バトルストーリー
小学館より発売された「機獣新世紀ZOIDS 公式ファンブック」内のバトルストーリーでは、ガイロス帝国内で旧ゼネバス帝国出身者やその血縁者を数多く擁する精鋭部隊鉄竜騎兵団配下のゾイドとして登場。
同部隊内でステルス性や機動性に優れたゾイドを専門に扱う幻影部隊に所属するヨハン・ホルスト・シュタウフィン軍曹が本機(84%の完成度)に搭乗し、トリム高地基地で行われているヘリック・ガイロス両国の部隊による極秘会談を妨害、カール・リヒテン・シュバルツ大佐の搭乗するセイバータイガーSSを撃破し、彼に瀕死の重傷を負わせるも、マッドサンダーに目を奪われた隙を付かれてロブ・ハーマン少佐の駆るケーニッヒウルフによって倒された。
また、共和国軍不在の隙を突いた鉄竜騎兵団による中央大陸本土強襲の際にも他のゾイドに混じって戦線投入されているのが確認でき、その後もこの帝国製ゼロおよびイクスはネオゼネバス帝国のゾイドとして運用された。
ZOIDS惑星Zi
グゥの機体。ザバットにケーニッヒウルフの「デュアルスナイパーライフル」を運搬させて、一時的に装備したこともある。
バックスVSマヤ
マヤ・ベルケットの機体。やはりケーニッヒウルフと戦っている。
てれびくん版
セイバータイガー2体を相手どって撃破している。
余談
- 名称の「イクス」は、アルファベットの「X」のドイツ語読みが由来である。
- コロコロコミックにて募集された応募デザインが由来となっている(参照)。
- 『ゾイド新世紀/ゼロ』にも『ゾイドフューザーズ』にも登場せず、『フューザーズ』の世界観でも、他の3種については言及されたが、イクスは描写されなかった。RDのライガーゼロが、共和国のカラーリングに近いためなのかもしれない。
- 人気機種ライガーゼロの強化機であり、本来の姿ともいえる。しかし、当時は一部の古参ファンから高速ゾイドライガー優遇を批判する声があったことが祟ったか、バトルストーリーではケーニッヒウルフに撃破されている。いわば大人の事情に翻弄された機体であり、高速ゾイドが決してライガーだけではないことを演出するために使われたといえる。