概要
ヘリック共和国を象徴するゾイドの一種であるゴジュラスの代表的な強化型のバリエーションである。媒体にもよるが、単純な性能では量産型5機でデスザウラーと互角、限定型なら2機揃えればデスザウラーと互角になる凄まじい強さを誇る。
「ナインバリエーション」の一つである「長距離砲タイプ」が礎であるが、様々な箇所に変更点が見られ、とくにロケットブースターを撤去されているのが大きな違いである。
先んじて対ゴジュラスを想定して投入されたアイアンコングとの交戦から洗い出された、格闘戦では勝るが砲撃能力で劣るという弱点を踏まえ、長距離用大型砲、4連速射砲、エネルギータンク、ミサイルポッド、スタビライザーなどの各種装備を増設されている。
主武装の「ロングレンジバスターキャノン」は、大出力と機体サイズと重量を持つゴジュラスだからこそ安定して扱える大型実弾砲であり、他の機体ではブレードライガーミラージュ・タイプBなどの限られた事例しか存在しない。後付けの装備ながら、現在ではゴジュラスMk-IIを象徴する武装として扱われている。実際、「ゴジュラスキャノン」という俗称も見られるほどイメージとして定着している(一部ゲームでは長すぎるためか「ゴジュラスキャノン」「GC」と呼称されている)。
HMM版では、中央大陸戦争時にオギータ研究所で開発されたとされており、ロケットブースターが備えつけられているため、反動の制御だけでなく機動性をアップさせて白兵戦でも役立つ汎用性を持つという設定がなされている。
また、ロングレンジバスターキャノンのためのスタビライザーがゴジュラスの基本装備に含まれており、「第3・4の脚」にもなるためにカンガルーキックの様なダブルキックも繰り出せるとされる。また、砲弾マガジンを採用したことにより、榴弾、散弾、徹甲弾、自立推進型弾などのかなり多くの実弾タイプに換装ができるとされる。自立推進型弾の射程はなんと150km以上とされている。
さらに、特殊金属を用いているため、その強度を利用して砲身で敵を殴り飛ばすこともできるとされている。
AZ4連装ショックカノンは、通常型ゴジュラスの4連速射砲と形状こそ同じだが、ショックカノンになっている。分厚くデザインされており、盾としても使えるとされる。
また、ゴジュラス・ジ・オーガはアーバインとの関わりも描かれたため、非常に有名かつ人気の高い個体である。
しかし、武装を強化したので整備や配備などのコストも増大し、機体数も限定されていたため、エースパイロットなどを中心に配備された。
世界観こそ異なるが、『ゾイドコンセプトアート』シリーズや『ゾイドFOR』に登場した、ゴジュラスとは別系統の種類である「ゴジュラスCA」の亜種の一つである「単機攻撃型」はゴジュラスMK-Ⅱを意識した機体コンセプトになっている。
バリエーション
Mk-Ⅱ限定型
エースパイロット中心に配備された純粋な強化種。量産型に比べ武装が多く、それを補うためエネルギータンクで各種出力を強化されている。単純な戦力では2機揃えればデスザウラーと互角になる。量産型に比べてデスザウラーに食らいつけるのは出力強化で動きが速く、多彩な武装でデスザウラーの弱点が狙いやすいからだと推測される。これにOSを組み込むとゴジュラスジオーガになる。尚HMM設定では特に強力な個体にOSを積んだからよりジオーガは強くなったと掘り下げられている。
Mk-Ⅱ量産型
- 文字通りの量産型で、装備の一部が簡略化されている。配備以降はこのタイプがゴジュラスの標準仕様となっている。デスザウラーには5機揃えないと互角にならない。
- 玩具のパッケージの写真では通常のゴジュラスと同じく目が赤色のクリアパーツとなっていたが、実際の製品では緑色のクリアパーツが使用されていた。ただし、後年発売された復刻版ではパッケージ写真と同じ仕様となっている。
ゴジュラスガナー
- 平成以降のシリーズに登場した機体。CP-10ゴジュラスキャノンセットをRZ版ゴジュラスに装備すればこの仕様を再現する事が可能。要するにゴジュラスMk-Ⅱ量産型の色違いのようなものであるが、各部に改良が施されており、旧量産型に比べて性能は大幅に向上している。いわゆる平成バトスト第二シリーズではこの形態のゴジュラスが共和国軍の初期から中期の決戦兵器として扱われた。距離をとってくる相手にはバスターキャノンで、接近すれば格闘戦で対処する。直接的な活躍は描かれなかったものの、アイアンコングやジェノザウラーにはブレードライガーと本機が対抗していたことが窺える。まさに共和国軍の重要かつ必要不可欠な最高戦力であった。
- ゴジュラスは格闘戦ならジェノブレイカークラスでも勝て、パワーだけならデススティンガーと互角とされ、バスターキャノンは小型、中型ゾイドなら部隊ごと壊滅させられ、急所に直撃すれば量産型デススティンガークラスも撃破可能であるため、冷静に考えれば凄まじい強さを誇る機体である。
ゴジュラス・ジ・オーガ
- ガイロス帝国軍に対抗するべく古代文明の遺産・オーガノイドシステムを搭載したゴジュラス。
- 装備が基本タイプ(限定型)に準拠している事からもわかるように、帝国軍のオーガノイドシステム搭載機とは比べ物にならないほど完成度は低いと見做されているものの、全ての能力が飛躍的に上昇し、重武装化も相まって戦闘力は通常型の10倍に上昇した。更に、戦闘中にも発現するレベルの強力な高速自己修復能力まで手に入れている。(ゴジュラスは元より生命力がゾイドの中でもトップクラスに高く、ドックなどで整備しなくても徐々に自己再生するのだが、戦場で即座に再生するレベルではない。)また、反応速度も飛躍的に向上しており、高速ゾイドが機動性で翻弄しようとしてもそれに対応して補足してしまうほどの瞬発力を誇る。
- パイロットとの精神リンクによって動作している為、ゴジュラスギガ共々、ゾイドの制御を狂わせるダークスパイナーのジャミングウェーブも通じない。
- しかし、ただでさえ凶暴で扱いが難しい事で知られるゴジュラスに凶暴性を高めるオーガノイドシステムを搭載した事により、いかなるパイロットも寄せ付けない凶暴な機体になった為、「悪鬼(オーガ)」という名付けられ、自動操縦で動く移動砲台として戦地に送られることになった。
- 自身が心を許したパイロットに会えず長い間ロブ基地倉庫の中に眠っていたが、敵襲時にアーバインとその愛機であるコマンドウルフが身を挺して守った事により覚醒。以後は彼と共に戦場に赴き、デストロイヤー兵団の護衛任務を経て、第2次中央大陸戦争のゲリラ戦まで戦い続けている。
- 単純な性能面ではあのデススティンガーと互角、デスザウラー相手にも勝率3割はあるという。(3割というと微妙に聞こえるかもしれないが、第一シリーズでゴジュラスはデスザウラー一機相手に部隊ごと壊滅させられているレベルであると考えれば、タイマンでの勝率3割は非常に善戦しているといえる。)また、上記の通り反射神経もゴジュラスとは比較にならないほど上がっており、セイバータイガーやライトニングサイクスやジェノザウラー相手には圧勝しジェノブレイカーにすらやや有利に戦えるほど。
- 最後の戦いでは地中で待ち伏せしていたステルススティンガーの奇襲によってゾイドコアに致命傷を負うも、未完成だったゴジュラスギガを守るべくダークスパイナーの大群を撃破した末に命を落とす。しかし、その後に現れた直系の新型機と言えるゴジュラスギガがステルススティンガーを倒し仇を討つ形となった。
- 旧ゴジュラス機種でありながらも大活躍し、わかりやすく強そうな見た目と相まって往年のファンのみならず平成ファンの心も掴んだ大人気の傑作機である。
ゴジュラスマリナー
- 旧トミー(現:タカラトミー)の公式サイトで公開されていたWEBコミック『ゾイド妄想戦記』第4話『STORY 04 水雷竜王』に登場した水中戦仕様のゴジュラスで、海上輸送された物資(ゴジュラスギガ)の護衛任務に就き、シンカーやデススティンガーと交戦した。背部のバスターキャノンを直撃させれば量産型デススティンガークラスなら倒せる可能性があるという。劇中では水中での敏捷性を利用してデススティンガーの攻撃を致命傷にならないように躱している際にゴジュラスギガが覚醒してデススティンガーが倒されたことで事なきを得ている。
- 通常型ゴジュラスの改造機である「水陸両用タイプ」のコンセプトを受け継いでいると思われる。
- ギルバート少佐が搭乗する17号機とハヤミ大尉が搭乗する18号機の2種類が登場した。いずれも原型機となるゴジュラスから大幅に外観が変化しており、浮力の恩恵で陸上よりも機敏に動けるらしい。17号機は背部にブースターと魚雷発射管を備え、18号機はモササウルスのような頭部と鰭が付いている。
その他
劇中での活躍
バトルストーリー
第1巻では「大氷原の死闘」にて同誌の執筆者でもあるロイ・ジー・トーマス中尉が搭乗し、帝国軍の"エコー"中佐の駆るアイアンコングMk-Ⅱに勝利した。
アニメゾイド
ゴジュラスは『ゾイド-ZOIDS-』および『ゾイド新世紀/ゼロ』に登場しているが、アニメに登場した個体のほとんどはガナー準拠でロングレンジバスターキャノンを装備しており、実質的な基本装備となっている。一方で、4連ショックカノンは装備している場合としていない場合が散見される。
ゴジュラス・ジ・オーガに該当する武装を持つ個体は、アーバインとロブ・ハーマンが操縦した機体など数少ない。
- ゴジュラスガナーがアニメにおける標準装備と化したのは、制作費と容量の都合上で固定砲台にせざるを得ない状況が関係していたと思われる。
- ネットでは、この状況をネタ的に「ゾイドは金で動かすんだよ、金で。」と表現する視聴者もいる。
逆に、ロングレンジバスターキャノンを装備していないのは、第一話でウインドコロニー近くの遺跡で死亡(?)した個体など、かなり限られている。
ロングレンジバスターキャノンの威力はすさまじく、一発で敵部隊を丸ごと吹き飛ばしてしまうほど。
ロブ・ハーマンが初めて搭乗した際には、圧倒的な破壊力を見せつけて帝国軍を退けたものの、調整が不完全な状態で出撃した事もあり、機械系のトラブルによってわずかな時間で機能停止してしまい、傍から見物していたレイヴンに詰めの甘さを嘲笑われていた。
- この際、ハーマンが急にトリガーハッピーになって若干ネタキャラと化したため、バトルストーリーでの(ゾイド的にも人間的にも)因縁の相手であるデスザウラーとギュンター・プロイツェンの初陣の際に、プロイツェンがデスザウラーに精神を侵食されてキャラが崩壊したのと、皮肉だがどこか似ている。
また、『ゾイド-ZOIDS-』では、後期オープニングや導入部などで「ロングレンジバスターキャノン」を発射するシーンがよく使われていた。
『ゾイド新世紀/ゼロ』では、「ロイヤルカップ」でのやられ役の他、警察のゾイドとして多数が配備されており、警察機なのにゴジュラスキャノンを基準装備している。ゴジュラスキャノンをどの様に警察機が使うのかは不明である。
『ゾイドフューザーズ』ではゴジュラス自体が登場せず、代わりに後継機のゴジュラスギガが出演しており、圧倒的なパワーを活かして活躍している。
ガミー機のゴジュラスギガは「Ziユニゾン」を披露しておらず、本来の対応機であるバスターイーグルはサベージハンマーによってバスターフューラーへと利用されたため、ゴジュラスMk-Ⅱのイメージを踏襲したゴジュラスギガは登場しなかった。
- 同じく治安組織に所属していた『ゾイド新世紀/ゼロ』における配属機とは異なり、このゴジュラスギガは外付けの大型武装は装備しておらず、ネットランチャーやパトランプも装備しているなど、より警察機らしい機体コンセプトになっていた。
- ゴジュラスギガの本作における活躍は、CG技術と予算の関係でブレードライガーのレーザーブレードが考案されたが、『ゾイド新世紀/ゼロ』ではストライクレーザークローが実現できた背景と類似しており、上記の通り諸事情によって固定砲台やかませ役になってしまったゴジュラスの無念を晴らすかの様な描写になっている。
キット
- 基本タイプは、後発のMk-Ⅱ量産型と区別する為に「限定型」とも呼ばれており、玩具はゾイド生誕3周年記念品として数量限定で販売されていた。
- ゴジュラスマリナーは、ハピネット流通限定品として2002年に発売されたキットは17号機のカラーリングを再現しているが、上述の特徴的な改修結果はあまり反映されず、又、ブースター等の追加装備も付属しない。付属の印刷物等を除けば、実態としてMk-Ⅱ量産型のカラーリングを変更したのみに留まっている。
- 2006年には、カラーバリエーションとして「キャラホビ2006」にて発売された「密林戦仕様」や、トイザらスにて発売された無色透明の「ホロテック仕様」が限定販売されている。
- 生産拠点をタイに移したことが祟り、2011年に発生した洪水で金型が滅失したため、再生産は絶望的と言われている。
余談
- ゴジュラスMk-2は昭和バトルストーリーいわゆる第一シリーズでは限定型は活躍し、量産型は苦戦が目立つ。また、平成バトルストーリーでは限定型にあたるジオーガが大活躍したものの、量産型にあたるガナーは直接描写さえされなかった。
- 昭和期の苦戦は、エースパイロットを中心に限定型が、一般パイロットに量産型が割り振られたことに加え、初期に無双したゴジュラスの強化種である量産型Mk-2を倒す事で帝国新型ゾイドの強さを描くにうってつけのポジションだったからといえる。
- 平成期の描写不足は、高速ゾイド全盛の環境で、重戦車型の量産型Mk-2は描く暇がなく、また、冷静に考えれば量産型デススティンガーとほぼ互角以上という強さの味方ゾイドは高速ゾイドのお株を奪ってしまいかねないため描きにくかった、とも考えられる。
- 通常のゴジュラスでさえ、フルスペックのデススティンガーとパワーは互角で、(尚、超重装甲は突破できない為、実戦では倒すのは難しいとされる)量産型デススティンガーは出力が落ちている為ある程度押し返せる可能性はある。そんな機体が大型ゾイドでも直撃すれば撃破可能なバスターキャノンを装備した機体がMk-2ないしガナーであるので、実際はゴジュラスガナーは平成ゾイドでも初期なら最強クラス、中期以降でも充分強豪として通用するレベルである。しかもゴジュラスは自我が非常に強く凶暴で、ゾイドは凶暴なほどスペック以上の強さを発揮するので、ライガーゼロシュナイダー以上の強さはあったと考えられる。直接描写こそされなかったものの、戦線を支えた強豪ゾイドであった事は仄めかされている。アロザウラー付属のバトルストーリーのパイロットは元ゴジュラス乗りであり、時期的にもガナーに乗っていたと推測される。
- バトルストーリーや公式の改造例、アニメやゲームなどの関連媒体には「ゴジュラス用に開発された大型砲を搭載した機体」が非常に多く見られ、とくに「ロングレンジバスターキャノン」は、おそらく全てのゾイドの武器において最も使われた強化武装の一つである。
- HMM版の設定では、なんとグスタフや小型ゾイドにも応用されたとされている。また、ライガータイプには短砲身型のバージョンが個別に設計されていたと記載されている。
- 以下の様に、「ロングレンジバスターキャノン」以外でもゴジュラス用の武器が流用されたケースも少なくない。
- ゴジュラスMk-Ⅱのコンセプトは、後継機であるゴジュラスギガにも受け継がれており、ロングレンジバスターキャノン、バスターイーグルのバスターキャノン、マグネイズキャノンを装備する事例が知られる。
- 後発の共和国系の獣脚類型ゾイドである、凱龍輝・デストロイ(「ゴジュラスMK-III」が企画段階の呼称だった)、LBゴジュラス、ゼノレックス・バスター、ティガゴドスなどにもゴジュラスMk-Ⅱの影響が見られる。
- ライジングライガーも『ゾイドワイルドZERO』の世界観に準拠する「ロングレンジバスターキャノン」を装備する場面があった。