概要
イスラポルトより西南西へ船で進むと見つかる、地上13階・地下1階のホテル。
ここでは賞金首金輪際ゴーストが出現する。賞金首についてはそちらの項目へ。
荒れ果てたこの時代に、ましてや酸性雨が降る土地であるこのアシッドキャニオンにおいて、これほど清潔な水が飲めてフカフカのベッドがあつらえられた施設など、ここを除いてほかにはそうないだろう。
しかし今となっては、建物に侵入するにも一苦労で、さらに探索は本格的に行うととんでもない手間になる。
入れたとしても、家具でバリケードが作られていたり、エレベーターが故障してもいないのに停止中のため、まともに上層階へ上がらせてくれない。
ビルの窓清掃用のリフトが動いているので、これを使って壊れた窓からフロアへ潜入できるようになっている。かなり自由に動かせる分、きちんと自分がどこへ向かっているか把握しないと余計迷う。
賞金首を倒すなら以下の手順で。
- スロープから地下へ。
- ボス「シンデレラウォール」を倒す。
- 1Fのドラム缶をどかして通路を開き、正面から入れるようにする。
- 3Fの壊れた窓からリフトに乗り、同じく壊れた各階へ潜入するルートを進む。
- リフトで屋上へ行き、13階でポルターガイストを倒す。
- 以降、ここのコンピュータに入力するパスワードを探すことになる。パスワードは入力する度に道が開けるので、逐一入力を。
- リフトで6階へ潜入し、5階に降りてポルターガイストを倒し、エレベータを動かすパスワードを手に入れる。
- 13階でエレベータをONにして、8階の流し台へでポルターガイストを倒し、レベル1シャッターのパスワードを入手。
- 一度1階へ戻り、エレベータで11階へ行ってポルターガイストを倒し、レベル2シャッターのパスワードを入手。
- 複数のエレベータを使い、12階から13階へ一旦登ってから5階に降りる手順を踏み、ここでポルターガイストを倒し、レベル3シャッターのパスワードを入手。
- 適当なフロアの流し台に置かれている鍋から「くさったスープ」を回収。
- 12階経由でエレベータで13階へ進み、熱センサーをダウンロード。
- あとは金輪際ゴーストへ話しかける。
- くさったスープは所持しているだけではダメ。戦闘中に相手へ撒かないと意味が無い。
- もしもスープを使わず逃げられてしまったら、監視モニターを見ている人から情報を聴いて追い詰めること。
金輪際ホテル殺人事件
ここでは賞金首とは別に、上記タイトルでの個別クエストが発生する。ゲームとしては手間がかかり報酬が割安のためあまり旨みが多くない。テーマがテーマだけに物語として陰鬱なシーンもあるが、開発陣は「RPGで殺人事件をテーマにした物語を作る」という試みを一度やってみたかったとのこと。
RPGというプラットフォームだが、アドベンチャーゲームの工程をまるまる入れるような手間が掛かっており、通常なら短ければ1日〜長くても1週間で書き上げるイベントシナリオを、この物語にかんしては3ヶ月も要したという。
暗転した画面に事件のタイトルが表示されたり、ラストの場面のあからさまな構図は、ベタに火曜サスペンス劇場を意識した演出になっている。
主人公の戦う動機や、オープニングで共に戦ったかつての先輩・仲間たちについて、今一度考えさせられるイベントでもある。
メタルマックス全体としてもかなり特殊なイベントであり、サスペンスものにつき一度イベントが始まったら終わるまでプレイヤーは出られない。ネタバレは後述。
アイテム回収地獄
そして、ある意味このホテルの最難関ともいえるのが、ここで手に入るアイテムの回収を狙った場合である。
拾得可能なアイテム数は200個。
地下や屋上を含めた全フロアにちりばめられているのである。アイテムの無い階層は一切存在しない。
部屋毎にかたまっているアイテム同士の組み合わせを見ていくと、どんな客が宿泊しにやってきたかがなんとなく見えてくる芸の細かさが光る。
だが、いかんせん数が多すぎる。
イベント・賞金首・アイテムを全てコンプリートしたプレイヤーは金輪際こんなところには来たくないという感想を抱くとか抱かないとか。
余談
名前の元ネタは三谷幸喜脚本・監督の映画『THE 有頂天ホテル』。
「有頂天」「金輪際」は元々どちらも仏教用語で、それぞれざっくり説明すると「天の最頂上」「大地の最底辺」を意味する。
元々は『メタルマックス3』用に用意されていた施設だったが、容量の関係でカットされ『2R』に採用された経緯がある。『3』ではその代案として強雑魚として用意されていたスクラヴードゥーと、強ボスに調整したアメーバブラザーズが賞金首として登場することになった。
『金輪際ホテル殺人事件』は当初は港町イスラポルトで起きるはずのイベントだったが、脱出手段が豊富で密室事件が成立しない場所だったため、当ホテルに白羽の矢が立った。
『メタルマックス4』では同じ経営者による「金輪際リゾート」というリゾート地が登場するが…
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以下、「金輪際ホテル殺人事件」の顛末のネタバレが含まれます。
金輪際ゴーストの事件が片付いたことが知れ渡ると、各地からその噂を聞きつけた7人の冒険者「ジニー」「アケミ」「リー」「ヒロ」「サンダー」「ハボック」「スンヒ」が集まってくる。どうやらお宝がこのホテルにあるらしく、それを目当てに集ってきたらしい。
しかし船が無ければ辿り着けない立地だったことが原因で、案内役としてネメシス号を持っている主人公が案内役として白羽の矢が立った。
主人公一行にとってはすでに探索の経験がある土地。冒険者たちもモンスターハンター業をやっているようなので過剰な心配はなく、無事にホテルへと案内することができた。
くしくも外は嵐。そこで皆でとりあえずホテルへと入り、まずは一晩休んでから宝探しへと動くつもりだったようだ。
いまはもう、金輪際ゴーストもいない。ポルターガイストも発生しない。安心して眠りにつこうとしたその時・・・
1人の悲鳴が地下から聞こえてきた。
様子を見るため地下へと集まる一行の眼前に見えたのは、同行してきた冒険者のうちジニーの死体。
宝に目が眩んで欲張った末に、モンスターに殺されたんじゃないか。
消せない不安。
もしかしたら、ここに残っているモンスターを放置しておくのはまずいのでは。
そこで一行は手分けして担当フロアを分担し、それぞれの階層にいるモンスターを駆逐することになる。
ひたすらザコモンスターとの戦いが続くが、通常エンカウントで普通に戦い続ければ殲滅した知らせが来るので、延々と戦っていこう。
皆も今頃モンスターを倒し終えた頃だろう。
ようやく部屋で休もうとしたところ、今度は外で悲鳴が聞こえてくる。見に行ってみると、どうやら転落死したリーのようだ。
しかしモンスターは殲滅したはず。悲鳴が起こる状況ではない。このタイミングで転落とはあまりに不自然だった。
アケミが事件の匂いを嗅ぎ取る。もしかすると、誰かがこの男を突き落としたのでは?
自分たちは、誰かに命を狙われているかもしれない。皆の制止を振り切って、アケミはホテルの一室にバリケードを張り、閉じこもってしまった。
だが、その密室で銃声が聞こえてくる。
普通には開かない扉を強引に突破すると、1人で閉じこもっているはずのアケミが銃殺されている。だが、この人の性格からして、断じて自殺ではない。
扉の外ではスンヒがアケミを説得しようと試みていたので、誰かが入ってくる痕跡はない。
では、何が起こったというのか。
それにこのままでは、ここへ案内した主人公たちも、得体の知れない殺人犯の手にかかってしまう可能性があるのではないか。
少なくとも、もう皆を別々の場所で休ませるのは危険だ。
ヒロの提案で、13階にある大広間の寝室に集まって休むことになった。
扉の入口ではヒロが見張っている。彼の身が無事である限り、もう何も起こらないだろう。
疲れた主人公一行は、そのままベッドで深い眠りに入った。
そして、どれぐらい眠ったのか、ふと目を覚ますと、やけに部屋から音がしない。皆が眠っているにしても静か過ぎる。
よく調べてみると、ベッドで寝ていたはずのハボックがそのまま死んでいる。
入口にいたはずのヒロの姿もない。
部屋を出てみると、屋上へ向かう道の途中でサンダーも死んでいた。
かくして真相は屋上で明かされた。
主人公以外に残っていたのは、ヒロとスンヒの2人。
⋯否、ヒロに銃口を向けている、もう1人の冒険者の姿があった。
アーチストの、リーだった。
本作、あるいはオリジナル版でもいい。冒頭を覚えているだろうか。
そう、主人公の育ての親マリアとその仲間たちが、マドの町を守ろうとして、バイアス・グラップラーの四天王テッドブロイラーに焼殺されたことを。
人間狩りはマドだけでなく各地の町でも行われ、だからこそ同じように腕利きの用心棒を雇って町を守ろうと考えた人々もいた。
ヒロ、スンヒ、リーたちはそんな事件に関わった人々だった。
スンヒとリーは用心棒を雇う側で、ヒロたち残りのメンバーは用心棒として雇われた側。
ただ、マドの町の事件と大きく違っていたのは、雇われたはずのヒロたちは事前にテッドブロイラーの存在を知り、恐れをなして前金だけ持ち逃げしたことだった。
前金を先に渡した町の対応が甘かったのもあるかもしれない。
こんな時代だし自分だけ生き残る選択を誰がやってもおかしくない。
なにより相手はテッドブロイラー。戦えばマドの町の時と同じ結末は、確実に避けられなかった。
わかっているのは、取り残されたリーの兄が殺されたことで、ヒロたちがスンヒとリーの恨みを買ったことである。
スンヒとリーはその恨みを晴らすため、一介の冒険者を装って、当時雇ったハンターたちを集め、巨大な密室として成立する金輪際ホテルへ連れて行く。そして共犯であることが露呈しないよう、スンヒとリーは他人を装って行動開始し、1人1人殺していった。
リーは自分に疑いの目を向けられることのないよう、アーチストのスキルを使って早々に死んだフリを決行。スンヒがナースだったのを利用して、「ナースの診断」という信用を逆手に取り、示し合わせて死亡を入念に偽装。
殺人事件を察知して部屋に閉じこもったアケミを秘密裏に殺す事が出来た理由は、アケミが入口のバリケードに使用した冷蔵庫の中にリーが隠れていたため。傍から見れば説得していたように見えたスンヒも、無論リーの計画に加担するための動き以外の何物でもなかった。
これだけ怪しい連続殺人事件に主人公たちがまったく巻き込まれなかったのも当然で、部外者なのだから狙われる理由がなかった。
スンヒとリーは、真相を知って開き直ろうとするヒロの銃よりも早く引き金を引き、タッチの差でヒロを撃つ。
だが、これでようやく復讐が終わったと安堵する2人だったが、ヒロの執念による最後の銃弾が2人を襲う。
素早くスンヒを庇うリーだったが、銃弾は一撃で心臓まで達しており、二度と目を覚ますことはなく。
結局、復讐をスタートとした金輪際ホテル殺人事件は、主人公たちを除けばスンヒを残して全員死亡という結果に終わった。だが、生き残ったスンヒも、リーが死んだことで絶望し、飛び降り自殺を図ってしまう。
ここまで事件に対してはほぼ傍観者に徹していた主人公たちだが、スンヒに1つの選択を提示する。
「生きてれば、イイ事がある」となだめるか。「生きろ! 2人の分まで」と檄を飛ばすか。
ちなみに後者の場合は、なんとか押しとどめ、スンヒはその場に泣き崩れ、リーの墓とともにこのホテルで暮らしていく。
前者を選んだ場合?
メイン画像が全てを物語ってますよね。