「交戦規定アルファ!」
「交戦規定アルファ、了解!」
概要
作中において、フェストゥムに同化された人間は救出は不可能とされている。更にその同化された人間もフェストゥムとなって襲ってくるために、攻撃する以外に対処方法が存在しない。
そうした対処方法として発令されるのがこの命令であり、新国連本部による発令と現場単位の発令が存在する。どちらも絶対厳守命令と扱われている。
新国連本部による発令
「戦っている仲間がいるんだ!何万という民間人も!」
以下略
「もう遅い!ポイント入力、攻撃態勢!」
「やめろぉーーーー!!!」
同化された地域や友軍部隊を敵の群れごと焼き払う事実上の最終攻撃命令。『EXODUS』第1話では、ハワイ基地と増援部隊が交戦中で、更に民間人の避難さえまともに行われていない状況下で発令。核攻撃で全て焼き払われた。ただし、生き残った人類軍の兵士や民間人は正式に保護された模様。
この命令は将官クラスが中止命令を出しても認められず、爆撃機の副操縦士が銃を向けて撤回を要求しても逆に拘束される。
現場単位による発令
「機体認識コードをデリート!戦闘中の部隊に交戦規定アルファを発令せよ!」
戦闘地域において、フェストゥムに同化されたファフナー部隊に対する発砲許可。特にディアブロ型は戦闘能力だけでなく、IFFの概念を理解して同化した機体を友軍機として扱われたまま襲ってくるために、この命令下で機体認識コードを消去した上でなければ発砲も不可能。
竜宮島の子供達にとっては、人間が人間を攻撃するというあまりにも信じがたい地獄絵図として映り、各々に大きな心の傷を残す形となった。
命令の形骸化
トリプルプランの一つ『アルファ作戦』とも密接な関係があると思われる、この交戦規定だが作中ではヘスター・ギャロップが新ミール・アルタイルとの対話を試みるナレイン・ワイズマン・ボース率いるペルセウス中隊と竜宮島を敵として発令。
更に、それらを遂行するアルゴス小隊が交戦規定による同士討ちを回避しようとした基地司令官を暗殺して基地を乗っ取るといった暴挙にまで及んでいる。
人類軍の組織の疲弊によって、そこまで配慮する余裕がないと言えばその通りなのだが、ただへスターの意に沿わない派閥を『同化された』という言いがかりで抹殺するための方便とされ、へスター暗殺が度々試みられる事態にも繋がり、新国連も人類軍も瓦解の危機に瀕しているとも言える。
実際にこの交戦規定は、へスターら新国連上層部が極秘に進めていた「赤い靴作戦」を体よく勧めるための隠れ蓑とされていた。
形骸化の実例
「同胞を助けるのが罪か!」
「敵に同化された同胞です!」
「それでも人間か!新国連の狗が!」
形骸化の実例として最も顕著なのが第14話と第15話
第14話においてシュリーナガルを放棄したペルセウス中隊に救援を派遣しようとしたダッカ基地司令官のカマル・デクスターはアルゴス小隊のダスティン・モーガンに暗殺された。その際、実際に救援を要請した連絡を受けていたにも関わらず、ダスティンは交戦規定アルファを優先して「同化された同胞」と見なした。
その後アルゴス小隊はダッカ基地を乗っ取って出撃、まず堂馬広登のマークフュンフを狙撃して、パイロットを殺害して機体を鹵獲。その後で「交戦規定アルファ」を発令するという明らかに逸脱した行為に走る。おそらく、ダッカ基地部隊はカマルがアルゴス小隊に暗殺されたことを知らなかった可能性も高い。
直接続く第15話において、ペルセウス中隊が目の前でフェストゥムと交戦しているにも関わらずフェストゥムごと攻撃、更に明らかな難民キャンプにファフナーや航空機で攻撃を行い、派遣部隊とペルセウス中隊の攻撃中止要請も無視された。
この事例から、もはや交戦規定アルファが発令されたら戦闘中の友軍部隊や現地の民間人も即座に攻撃するという人類軍そのものの組織的な疲弊以外に人類軍が「新国連というミールにただ諾々と従う人類軍という名のフェストゥム」という北極ミール健在時のフェストゥムという状態に成りはてている実態。