ACOG(Advanced Combat Optical Gunsight:高度戦闘光学照準器)は、アメリカのトリジコン社が、開発・製造している銃火器用の光学照準器のシリーズ。銃や用途などに応じて多数のバリエーションが存在する。
アメリカ軍などへ納入されている。
概要
拡大機能を持つレンズが組み込まれた、いわゆるスコープの一種。
倍率は用途やモデルによって異なるものの、主に1.5~8倍の間でラインナップされている。いずれのモデルも固定倍率式。
レティクルは、山型「^」のサイトポストがあるものや、十字のクロスヘアを持つものなど複数。何れも、それぞれの銃と弾薬のドロップ(距離に応じた修正)が簡単に行えるよう数字入りのパターンが描かれている。
また、サイトポストやクロスヘアは、電源を用いることなく常に発光しており、拡大機能付きの照準器でありながら照準の見出しは非常に簡単である。
これは、外光があるときは光ファイバーで集光して発光させ、夜間や暗所ではトリチウムを使用した夜光材を光源に使用しているためで、本体にはバッテリーやLEDといったものは存在しない。故に故障に強く、強力な電磁波が存在する環境などでも問題なく使用できる。(一部モデルには電池式LEDもある)
ダットサイトを上部に搭載し、近距離戦でも使いやすいコンボモデルもある。
主なモデル
・TA01
1987年に登場した最初期モデル。倍率は4倍。SOPMODキットのBlock1に含まれている。後のモデルと違い光ファイバー採光が無い。また軍向けのTA01 NSNにはバックアップアイアンサイトが含まれている。
・TA31
TA01の後継モデル。TA01に光ファイバー採光を採用している。アメリカ軍の多くのM4カービンやM16A4に搭載されており、ミリフォトでも露出が多い。アメリカ軍採用モデルはシェブロン(山)型レティクルのTA31F型。海兵隊は後にレティクルを馬蹄型に変更している(TA31D型)。
TA31、TA01の弱点としてよく挙げられるのは「アイリリーフが非常に短い(僅か3.8cm)」ことが挙げられる。
・TA11
倍率3.5倍モデル。海兵隊の分隊支援火器(M249、M27IAR)に採用されている。海兵隊向けにはダットサイト付きのモデルが納入されている。
TA31と比べてアイリリーフが長い。
スキャンダル
ACOGには、経営者の信念からキリスト教の聖書の一節を示す文字列が刻印されていた。
これは、特に中東に派遣された部隊やキリスト教徒以外の兵士、またはACOGの供与を受けたイラク軍やアフガニスタン軍の兵士らの間で問題となった。
これは、いかなる宗教への改宗の強要を禁じたアメリカ軍の規則に明らかに反するものであるほか、特に中東でACOGが用いられる作戦の殆どが「イスラム原理主義」を自称するイスラム過激派の掃討作戦であったため、キリスト教の経典が刻まれた照準器で異教徒を殺傷するという十字軍の再来の如き構図となったため、各地で抗議集会が開かれた。
これに対してメーカーは、アメリカ軍に既存の刻印を削除するキットを納入したほか、新規製造のものには刻印を入れない方針とした。
因みに刻印されていた聖書の節は、「光」に関連した項目である。製品の特長(電池なしで発光する)を僅かな隙間に入れて表現していたのだ。