演者
演:高橋元太郎
長期シリーズ故に幾度となくレギュラー出演者の交代がなされていたTBS時代劇「水戸黄門」であったが、そんな中、レギュラー出演者では唯一、2部から28部まで、降板する事も役者を変更する事もなく、一貫して連続して高橋氏が演じ続けた。
その為、一行の中では唯一、再登場時に年を重ねた風貌となっている。
人物像
元は江戸に住むケチな盗賊見習いだったが、すりを働いて助さん達に捕まったのをきっかけに黄門様一行に加わった。
普段は御老公の住まいである西山荘で使用人として奉公し、御老公の身の回りのお世話をしているが、御老公が旅に出る際には一行の案内役兼武士だらけの一行が町人である事を偽装する為のカムフラージュ的な役目として同行する。
とぼけた言動で視聴者の笑いを誘う、所謂コメディリリーフで、反省の弁を述べる際に「こいつぁうっかりだ」と言う口癖から「うっかり八兵衛」の異名がついた。
趣味は食い道楽で、御老公や助格達からも「食べ物に関する事になれば目がない」「八といえば食い物」と評される程にとにかく食いしん坊な卑しん坊で、ご当地名物(食べ物限定)を語らせれば右に出る物はおらず、水戸黄門の物語の始まりの半分以上は、その回で舞台となる土地の名物(の食べ物)に関する八兵衛の薀蓄か、質問で始まる。
そして、よくその土地の名物や茶店で売られている好物の団子などを、食べ過ぎで腹を壊して怒られる。
基本的に色気より食い気だが、色気にも割と釣られる。
大体トラブルメーカーになる事が多く、言葉の弾みから御老公にとってのNGワード(「年寄り」「ケチ」「頑固」)をつい”うっかり”触れてしまったり、御老公の酔狂に対し「また始まったよ。ご隠居の『物好き』が…」と辟易するなどして、御老公の機嫌を損ねる事もしばしば。
また、初期は御老公や助格に対してもあからさまに皮肉るなど結構、生意気な一面も強かった。
能力
助格や弥七、お銀、飛猿などの隠密達と違い、あくまで町人である為、彼ら程修羅場慣れしておらず、武芸もからっきしだが、一方では、非力なりに自分にできる形でも弱者を守ろうとする気概を持った正義漢。
また、物売りや芝居小屋の呼び込みや口上などの言葉を活かす場ではその陽気な性格や饒舌をフルに活かし、多くの人を呼び集める才能を見せている。
31部以降
29部にて光圀役が石坂浩二に代わり、設定がすべてリブートされた事に伴い、うっかり八兵衛もその存在が消滅してしまったが、31部で光圀役が里見浩太朗に代わり、石坂黄門以前の設定も再び復活する様になった事で、1000回記念スペシャルにてゲスト出演であったが無事に復活。
設定変更も相まって、いつの間にか西山荘から離れていた事が判明する。
その後、『御老公一行のコメディリリーフ』としての役回りとして『よろず屋の千太』『おけらの新助』といった後継キャラが登場し、八兵衛自身は時たまにスペシャル回などに登場する程度であったが、40部にて、江戸で出会った同じ『八兵衛』の名を持つ孤児 『ちゃっかり八兵衛』(演:林家三平)を実の子同然に世話をしている事が判明。
ちゃっかり八兵衛を「かつての自分の様に諸国を旅させて色々と学ばせてやってほしい」と光圀に頼み、「2代目八兵衛」として御一行に加えた。
43部の時点では諸国の旅で得た経験を活かし、生業を蕎麦打ちに転身している。
残念ながら、BS-TBS版になってからは八兵衛やそれに値するコメディリリーフのキャラクターは、再度消滅してしまっている。
余談
戦闘要員ではない為、クライマックスの大殺陣の時はもっぱら拘束した悪党を連れてくるか、その場に居合わせた一般人を避難させるのが役目であるが、実は7部12話『忘れてしまった仇討ち』と、31話『助さん格さん子守唄』の2回だけ印籠を出す役目を担った事がある。
…ただし、そのうち後者の回はすぐに格さんに譲り渡し、改めて出し直されてしまっていたが…
上述にもあるとおり、八兵衛の好物は団子だが、演じた高橋氏は毎回撮影の度に団子ばかり食べさせられる(そのうえ、撮り直しさせられる度に食べ直さなければならなかった)羽目になった結果、大の団子嫌いになってしまった。
また、うっかり屋でトラブルメーカーな八兵衛の役柄と裏腹に、普段の高橋氏は、撮影の際にほとんど遅刻もせず、稽古も熱心に行うなど非常に真面目で几帳面な性格として有名で、そんな高橋氏の人柄を知る者達の中には八兵衛とのギャップを引き合いに『しっかり八兵衛』と呼ぶ者もいるらしい。