概要
タックス・ヘイブン(tax haven)とは、『租税回避地』『低課税地域』とも呼ばれ、その名称の通り一定の税金の支払い(課税)が、他よりも著しく軽減あるいは完全に免除される優遇措置が施された国や地域のことである。
フランス語・ドイツ語などでは「税の楽園」「税の天国」を意味する「パラディ・フィスカル(paradis fiscal)」とも言われている。
産業に乏しく経済力が弱い国・地域が発展するため、外国の富裕層移住や企業進出により雇用や手数料歳入を増加させるための場合もあるが、課税軽減・免除のために規制が緩くされることから秘匿性が強く、移住・進出した富裕層・企業の本国による取締りが困難で、そのため暴力団・マフィアや第三国から流入される資金を洗浄(マネーロンダリング)したり、犯罪やテロの資金を隠匿する場所として利用されることが多いのが現状である。
また、特定の富裕層や企業が減税・免税され優遇されることから、課税によって国民一人一人の所得の格差を縮小させるという本来の税制機能が破壊され、対象の富裕層・企業の課税逃れや、貧富の差を拡大させる原因にもなっている。
そのため経済協力開発機構(OECD)は、有害なタックスヘイブンを取り締まるための対策を立て、政策を広める活動を行っている。