概要
タックス・ヘイブン(tax haven)とは、『租税回避地』『低課税地域』とも呼ばれ、その名称の通り一定の税金の支払い(課税)が、他よりも著しく軽減あるいは完全に免除される優遇措置が施された国や地域のことである。
タックス・ヘブン(tax heaven)とつい誤読してしまいがちだが、フランス語などでは「税の楽園」「税の天国」を意味する「パラディ・フィスカル(paradis fiscal)」とも言われているため、あながち間違いとも言い切れなかったりする(ドイツ語やイタリア語でも同様である)。ちなみに楽園なのはタックスヘイブンがリゾート地に多いことによる。
所謂「パナマ文書」で一般にも知られる言葉となったもので、当然代表国はパナマ。ほかにも香港やヴァージン諸島などがある。特にパナマはパナマ文書以前から知られている(所謂「パナマ船籍の貨物船」の事。日本企業が保有する外洋船の6割はパナマ船籍である)。
産業に乏しく経済力が弱い国・地域が発展するため、外国の富裕層移住や企業進出により雇用や手数料歳入を増加させるための場合もあるが、課税軽減・免除のために規制が緩くされることから秘匿性が強く、移住・進出した富裕層・企業の本国による取締りが困難で、そのため暴力団・マフィアや第三国から流入される資金を洗浄(マネーロンダリング)したり、犯罪やテロの資金を隠匿する場所として利用されることが多いのが現状である。
また粉飾決算する際の所謂「飛ばし」先にされることも多い。有名所ではエンロン、リーマン・ブラザーズ、それに日本の山一證券もやっていた。
また、特定の富裕層や企業が減税・免税され優遇されることから、課税によって国民一人一人の所得の格差を縮小させるという本来の税制機能が破壊され、対象の富裕層・企業の課税逃れや、貧富の差を拡大させる原因にもなっている。
そのため経済協力開発機構(OECD)は、有害なタックスヘイブンを取り締まるための対策を立て、政策を広める活動を行っている。前述の「パナマ船籍の貨物船」に対しても「外国子会社合算税制」により本社がある日本法人に税金がかかるようになっている(それでも(日本より規制が緩い)パナマの法律で運用出来ると言うメリットがあるのだとか。その代償として海上自衛隊から護衛を受ける際に外国船扱いされるため攻撃を受けても対処してもらえない可能性がある。
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GAFA … 「日本法人は存在しない」という理由で、日本でどれだけ稼いでも所得税を納めていなかったが、批判が大きかった為か(不買運動を避ける為か)2019年にはAmazonが納税する事を発表した。
賢者の遺産(らりるれろ) … フィクション作品における一部事例。リンク先ネタバレ注意。