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怪獣使いの遺産の編集履歴

2020-01-09 21:48:24 バージョン

怪獣使いの遺産

かいじゅうつかいのいさん

怪獣使いの遺産とは、『ウルトラマンメビウス』の第32話。『怪獣使いと少年』の続編。

概要

2006年11月11日放送。

脚本:朱川湊人、監督:八木毅


帰ってきたウルトラマン』ひいてはウルトラシリーズ屈指の問題作『怪獣使いと少年』の続編。

朱川氏によるノベライズ版もあり、テレビ版では描写できなかった場面が補完されている。


予告

ビオ「野蛮で暴力的な地球。俺たちの怒りと憎しみがある限り決して破壊と戦いをやめない」

リュウ「そんなに地球人が憎いか!?」

ビオ「ああ憎いね。殺されたメイツ星人は私の父だ」

次回『怪獣使いの遺産』

(テレビ版)


かつて誤解の末、人間に殺されたメイツ星人の息子が怪獣ゾアムルチを連れて地球に訪れた。

果たして彼の目的とは?

次回、新ウルトラマン列伝『メビウスとメイツ星人 怪獣使いの遺産』

(列伝版)


あらすじ

いつ頃からかは不明だが、河原の地面を掘り返す一人の少年がいた。

少年は何日も何日も、ただひたすら穴を掘り続けていた。ある日、一人の少女が少年に何をしているのか尋ねる。

少年は「円盤を掘っている」と返す。その少年は、町の人から宇宙人と恐れられていた。


時は流れ現代。地球に接近する正体不明の物体をGUYSがキャッチした。

物体の落下予測場所はタクマ山。そこでは今日みやま保育園の園児たちが遠足に来ているのだった。

園児たちを守るためにGUYSはガンウィンガーで出撃する。テッペイの予測によれば、物体の中には生体反応があり怪獣が中にいる可能性がある。リュウとトリヤマ補佐官は先制攻撃を主張するも、サコミズ隊長は来訪者の様子を見ることを命じた。

GUYSクルーは地上に降りて調査を開始。その時、ヒビノ・ミライの前にビオと名乗る黒衣の男が現れた。

ビオは地球と友好関係を結ぶためにやってきたことを告げる。ビオはミライの正体がウルトラマンメビウスと知っており、GUYSの予測通り物体の中に怪獣がいることを告げるが、これはあくまでも護衛用で、ウルトラマンを地球側の兵器とし攻撃に備えてのことだった。


そしてビオは30数年前、地球で起こった悲劇を語る。

怪獣頻出期の時期に、地球の気候風土を調査するために一人のメイツ星人が降り立った。しかし星人が地球人に化けていることを知った人々は恐怖にかられ、ヘイトスクラムの末に星人を殺したのだった。

殺された星人と同じメイツ星人であるビオにとって、地球との友好前にこの問題をどうしても解決しなければならなかった。

ビオはこの問題は地球とメイツ星人の問題とし、ミライに不干渉を要求する。ミライもまた平和的交渉を条件に要求を呑む。

しかし悲劇は繰り返された。タイミング悪く現れたリュウがミライが宇宙人に襲われていると誤解し、発砲してしまった!


そのころGUYS基地ではビオが語った事件についての確認が行われていた。「ドキュメントMAT」に確かにこの悲しい事件は記録されていた。


テッペイ「なんとなくわかります。いきなり目の前に宇宙人が現れたら誰だって怖いと思うんです」

サコミズ「だから勇気をもって話し合うことが必要なんだ」


サコミズの言葉に、コノミが思い出したように言った。


「園長先生も、隊長と同じことを言っていました……」


場所は変わってタクマ山。負傷したビオは平和的交渉を放棄し武力行使に出た。

手始めに前の事件の賠償責任として地球の大陸の20%を要求。宇宙船で街を攻撃し始めたのだった。同じ事件が繰り返されたことに心を痛めたサコミズは街の人を救うために宇宙船の攻撃を命令した。

傷を負ったビオは人間の姿となる。そこに保育士に引率された園児たちが通りがかった。ビオの傷口から緑色の血が出ていることを恐れる保育士たち。

すると一人の女の子がビオに駆け寄り、ハンカチを差し出したのだった。


「宇宙人だってけがをしたら痛いよ」


その言葉を受け、何人かの園児もハンカチを差し出した。同行していた園長先生も園児たちを立派と褒め、ハンカチを差し出す。

そこへリュウとミライが合流。最後まで平和的解決を呼びかけるが、すでに地球人に失望していたビオには届かない。

地球とメイツ星。異なる二つの惑星の立場に板挟みになり苦しむミライ。すると


「ミライ、何やってる!街が大変なことになってるだぞ!!」


リュウの言葉に我に返ったミライはウルトラマンメビウスへと変身。それを見たビオはウルトラマンが介入したとみなし、物体の中の怪獣を覚醒させる。

それは以前メイツ星人が封印し、ウルトラマンジャックに倒されたムルチを強化したゾアムルチだった。

ビオはリュウに告げた。30数年前、地球人に殺されたメイツ星人が自分の父だったことを。

ゾアムルチはビオの脳波とリンクしており、彼の感情に合わせて暴れていた。今の感情は「憎しみ」

劣勢になるメビウスに勝ち誇るビオ。そんな彼に園長先生が近づいてきた。


「お会いしたかった…」


数十年前、河原で穴を掘っていた少年に話しかけた少女。その少女こそ園長先生だった。

園長先生はビオに語る。30数年前に地球に来たメイツ星人は一人の地球人の少年と暮らしていた。少年はいつの日か地球とメイツ星の懸け橋となることを望み、メイツ星人もまたそれを望んでいた。

かつてその少年、佐久間良からそのことを聞いた若き日の園長先生は、その言葉をほかの人に伝えたいと願い、保育園の園長になった。


「あなたのお父さんが地球に遺した愛情という遺産は、私の園の子どもたちが受け継いでいます」


その言葉に衝撃を受け、手当てを受けた腕をじっと見つめるビオ。知らなかったとはいえ今回の事件の元凶となってしまったリュウは言った。


「俺が言えた義理じゃないのは分かってる。でも、もう一度地球人を信じてみてくれないか」


いつのまにか、雨が降り出していた。メビウスとゾアムルチの戦いは依然としてゾアムルチ優勢。

しかしそこにビオの咆哮が木霊する。


「もう一度地球人を信じてみようという気持ちが起こっているのに…、憎しみが止められないんだ!!」

「私の憎しみを消し去ってくれ、ウルトラマンメビウス!」


その言葉を受けたメビウスはメビュームシュートでゾアムルチを粉砕したのだった。


雨は上がり、空には美しい虹がかかっていた。

ビオに握手を求めるリュウだったが、ビオは辞退する。


「握手は父の残した遺産の花を見届けてからにしよう……」


その言葉を残し、宇宙船でメイツ星へと帰っていくビオ。


かつてメイツ星人とともに暮らし、河原で宇宙船を掘り出すために穴を掘っていた佐久間良の行方は誰も知らない。

だが彼の姿は、あの日の少女の心に深く刻み込まれていたのだった。


関連項目

怪獣使いと少年

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