概要
『MOTHER3』に登場するキャラクターで、『タツマイリ村』の『クロスロード』に居る高身長の男性。村に何かあった際に鐘をついている。
基本的に常に無口で、その為なのか村の住民達もあまり話しかける事はしないようだが......。
※この先は、本編に関する重大なネタバレが含まれております。閲覧の際には充分ご注意下さい。
◆そうだよ かねつきおとこの リダだ。
◆おどろいただろうね。
◆わたしが こうして
ことばを しゃべるだけでも
びっくりしている ことだろうね。
◆いままでの ながいながい じかん
しゃべれなかったんじゃなくて
しゃべらなかったんだ。
◆誰にも しゃべれないことを
こころのなかに
ずっと
ためたまま
クロスロードの かねを
ついていたんだ。
◆だが もう
まもりつづけてきた
ひみつは もれはじめている。
◆リュカ いま きみに
すべてを つたえておく ときがきた。
◆これから わたしが かたることは
しりたくないこと かもしれない。
◆それでも どうしても
きいてもらわなくては いけない。
◆ながいはなしになるが
ぜんぶ きいてくれ。
1人だけに託された真実(ネタバレ注意)
第8章『なにもかも なにもかも』の中盤で、自身が『ニューポークシティ』の無人アパートに監禁されている中でヘコキムシを追っていったボニーの元に駆けつけたリュカ達と再会。そして、彼らがこの世界の未来に深く関わると確信したリダは、遂に誰にも言えなかったノーウェア島の真実を語る事を決意する。
なお、非常に長い話である為ヘコキムシさんに話を記録してもらうようにお願いした(イベント後にこの生き物に話しかけると、内容が全て載った『ヘコキムシのきおく』がゲット出来る)。
過去の『世界』とノーウェア島
実は、かつてノーウェア島以外にも更に広い『世界』があり、多くの人々が住んでいた(リダ曰く「島全部の砂粒の数よりも更に多い人が住んでいた」)。しかし、ある日人間の行動が原因で遂に世界が滅びる瞬間が来てしまった。
だが、その直前にこの出来事を予期して造られた『白い船』に乗って脱出した僅かな人々だけが、この島に辿り着く事が出来た。つまり、ノーウェア島の人々は皆『世界』から抜け出したほんの一部の人間達だったのである。
ここは、島とほぼ同じ大きさを誇る巨大な闇のドラゴンのエネルギーに包まれており、『世界』が失われても必ず残る特別な場所となっていた。かつては人々とドラゴンが共に生きていたが、次第に共存が出来なくなった事を機に大昔からノーウェア島に住んでいたマジプシーの祖先が7本の針を打ち、いつか再び解放する瞬間が来るまで長い間封印し続けたらしい。
こうして、ドラゴンの力によって守られたノーウェア島は『世界』の滅亡から逃れる事から出来たのであった。
人々の本当の素性と記憶
『白い船』でやって来た人々は、再び『世界』が滅亡する事もありうるかもしれないと恐れていた。そこで、真剣な議論の末全ての人々は以前の『世界』の記憶を全部消し、新しいルールと役割の元に皆で考えた理想的な物語を皆が演じて生きていくという事を決意した。
しかし、同時に記憶の入れ替えが行われたという事実の記録を残す必要もあった。そこで、かつての『世界』の事全てと『白い船』の人々全員の記憶をしまう為の装置『ハミングバードのタマゴ』を作り、オソヘ城に保存する事にした。
タツマイリ村の人々は、子供の頃に憧れた素朴で平和な村を舞台に今までの『世界』の記憶や自分の持っていた物、自分達を取り巻くるルールなど全ての古い記憶を忘れ、それぞれの新しい役割の人生でやり直す事で新しく作った物語と取り替える。彼らは皆そのようにして生きてきたのであった。
また、それはリュカ達も例外ではなくダスターの場合、ウエスとは血の繋がっていない親子でない可能性がある。ウエスとダスターの役割は物語に大きな危機が迫った際に、泥棒役として『ハミングバードのタマゴ』を守る使命が与えられていた為であった。
実際、ブタマスクたちが侵攻してきた時に『オソヘ城』に隠しておいた秘宝を保護しに向かっていた。
更に、クマトラも厳密には純粋なオソヘ城の王家の血筋を継ぐ末裔ではなかった事が明らかになる。本当の王家の人々は、いつか来るドラゴンの目覚めを恐れた為『白い船』が来た頃には既に島を出てしまった後だったらしい。
一方、彼女は『白い船』に乗り込む前の時点で両親を亡くしたばかりの赤ちゃんだった。その後、ノーウェア島に来て以降マジプシーが面倒を見る事になり、同時に"オソヘ城の姫君"という役割やウエスとダスターが姫の家来である事もこの時に決められたのであった。
そして、過去の『世界』の記憶を覚え続ける役割の人間も1人用意する必要もあった。そこで、村の人々の中で唯一新しい物語の役を貰っていなかったリダがその大役を引き受ける事になった。
なお、彼の名前には"リーダー"という意味も秘めており、背が高さで目印になりやすく何か尋ねたくなるという点で相応しいと認められ、話し合いで決まったらしい。普段はクロスロードの鐘をついて皆が作り物の記憶を思い出さないように暗示をし、いつか本当に大事な時が来た際にこの真実を明かす役割を担っていたのであった。
因みに、急ごしらえで物語を作った為にタツマイリ村の過去や歴史は、100年や1000年前の事は殆ど明らかにならない程極端に少ないという特徴があった。その中で、『オソヘ城』はこの島にある数少ない大事な過去となっていたようだ(更に、リダは神話や伝説もたっぷり作っておきたかったが大急ぎで作った物語だった事で出来なかったと残念に感じている)。
こうして、タツマイリ村の将来がどうなるのかという不安を抱えつつも、完全に新しい人格に慣れた人々が互いに仲良く平和に暮らし続ける日々を願っていた。少なくともリダの主観ではそれなりにうまくいっていた。
再び訪れる滅亡の予兆
しかし、その平和なひと時も長くは続かなかった。というのも、タイムトンネルというマシンで時間と空間を超えて旅をしていたポーキーが、他の時代から寄せ集めた沢山の人々と共にノーウェア島に転がり込んで来た為であった。
どの時間や空間からも受け入れてもらえなかった彼は、洗脳によって自らの意思をブタマスク達や『ニューポークシティ』の住民達を増やしていき、同時にこの島を自分のわがまま放題出来る"おもちゃ箱"のように侵略するようになった。更に、突如マジプシーを裏切りポーキーの仲間になったロクリアが『白い船』の人々やドラゴンの秘密も伝えてしまった事で、ポーキーはドラゴンを目覚めさせてその力を我が物にしようと画策するようになってしまう。
(ただし、リダはロクリアの動向の全ては知らなかった。)
とはいうものの、大地の力をつかさどるドラゴンは封印の針を抜く者がその主となるが、針を抜ける者はごく限られた人間であり彼にも流石にはその力は無かったようだ。しかし、ポーキーがドラゴンの力を従えさせられる者を仲間にした事で、彼の野望や世界の滅亡が実現する危険性が高くなった。
このままで見過ごして良い筈が無いと危機感を抱いたリダは、ポーキーの居場所と敵の動きを教えた後「最後の針を必ず君が抜いてくれ」と最初で最後のリーダーの命令をリュカに頼んだ。
関連イラスト
関連動画
- 『リダのジムノペディ』
リダが話をしている際に流れるBGM。1888年にエリック・サティが作曲した『ジムノペディ』をそのまま使用している。
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参考作品
1993年に発売されたロイス・ローリーの児童文学で、ギヴァーシリーズの第1作目。日本では1995年に旧訳版が出版された。
12歳の儀式に"記憶の器(レシーバー)"に任命された少年・ジョナスは、先代の"記憶を注ぐ者(ギヴァー)"である老人との交流を通して外の世界や自分達が住んでいるコミュニティの真実を知っていく物語。"ただ1人で世界の記憶を管理し続けている"という点が共通している。
なお、旧訳版の方は絶版になっている為、現在は2010年に刊行された新訳版『ギヴァー 記憶を注ぐ者』や2014年に公開された同題の実写版が広く知られている。もし気になった人は是非読んでみよう。