概要
ウスター級軽巡洋艦はアメリカ海軍の軽巡洋艦であり、本級はアメリカ海軍が最後に建造した軽巡洋艦である。
第二次世界大戦では防空巡洋艦という艦種が著しく発展したが、更に高々度飛行可能な陸上重爆撃機や対艦ミサイルの迎撃を企図した大型・長射程の対空砲の必要性が認識された。合衆国海軍では巡洋艦用の自動装填装置を備えた速射砲として、デモイン級重巡洋艦に搭載された55口径8インチ対艦砲Mk16と同時期に47口径6インチ両用砲Mk16の開発が行われ、艦船局はこの新型高角砲の搭載を中心として新型防空巡洋艦を開発した。これがウスター級軽巡である。
船体規模
就役時のウスター級の船体は排水量約14000t、全長207mを誇る(因みに妙高型重巡の全長は205m、全幅は22mである。)。つまり“軽”巡洋艦でありながら重巡であるボルチモア級並みの構造となっていた。主砲塔の大型化と強化された防御、そして戦訓を元にした頑丈な船体構造のせいで本級の満載排水量は約18000tにまで迫り、同時期の重巡洋艦並みの125000馬力もの機関出力が必要とされた(なお、デモイン級重巡の機関出力は120000馬力である)。
出力の強化は戦時下に対空火器その他を満載した合衆国海軍の軽巡洋艦の速力が当初予期されていたよりも遅かったことが判明した為、空母直衛艦としての定位置を維持するに足る速力が必要とされたからである。
装備
主砲
前述通り47口径6インチ両用砲Mk16であるが、これは6インチ砲として初めて対空・対水上射撃の両立が可能となった自動砲で、合衆国艦艇で唯一この砲が搭載された本級は連装砲塔で6基12門装備した。在来型合衆国軽巡に対空用として装備されてきた38口径5インチ両用砲のような副砲は無く、12門の6インチ主砲がそのまま両用砲として使用できる事は射撃指揮の単純化に大きく寄与した。一番艦ウースターの就役時には3インチ砲は装備されておらず、試験航海時には6基の20ミリ機銃座のみが装備された。
レーダー
就役時には捜索レーダーとしてメインマストにSR2、SG6を搭載し、後部煙突正面のマストにSR6を、後部マストにSP1を設置した。SR2レーダーのアンテナは直径1.5インチの硬質な同軸ケーブルでできており、セラミック製ドーナツ型スペーサーで支えられた0.25インチの中心導体を持っていた。が、あまり有効なレーダーではなかったようで、最終的に後部煙突前のSR6レーダーと交換で撤去されている。射撃管制レーダーは対空戦闘における分火射撃に適するよう各砲塔毎に設置され、合計19基搭載された。
航空兵装
航空艤装として、水上機を運用する為のクレーンが艦尾に搭載されたが、戦後就役の艦艇である本級では水上機よりも主にシコルスキーHO3Sなどのヘリコプターが運用された。実際にウースターの艦載ヘリは、朝鮮戦争時に近海に不時着したパイロットの救助作業に活躍している。艦尾に航空兵装が集中しているのは、第二次大戦の戦訓により航空用ガソリン等の火災を避けるためである。
経歴
1944年度計画から建造が開始され9隻の建造が予定されていたが、1945年度以降に建造予定だった7隻は大戦終結のためキャンセルされており、完成した2隻も終戦後に竣工している。あまりに大型化しすぎたため使いづらい艦となっており、米海軍最悪の艦艇として当クラスの名を挙げる艦船マ ニアも居るようである。
これ以降の新造巡洋艦はターターやテリアなどの誘導ミサイルを搭載するミサイル巡洋艦へ移行していった。
同盟艦
No | 艦名 | 工廠 | 起工 | 進水 | 竣工 | 戦没 |
一番艦 | ウスター | ニューヨーク | 1945/01/29 | 1947/02/04 | 1948/06/26 | 1958/12/19(退役) |
二番艦 | ロアノーク | ニューヨーク | 1945/05/15 | 1947/06/16 | 1949/04/04 | 1958/10/31(退役) |