概要
ライデンの製造コストがあまりにも高く生産不能という事態に追い込まれてしまった為、主戦闘VR(MBV)と支援攻撃VR(SAV/ライデンは本来SAVだったが試験運用の評価から『格上げ』する形で『重戦闘VR(HBV)』として扱われた)による編隊編成という当初の予定にかげりが見えてきた。そこで急遽ライデンの代替機となるVRを製造することになり、そのコンセプトの元にライデンの安価版として開発されたのが本VR『ベルグドル』である。
しかし、開発スケジュールや予算に余裕が無く出来上がったものはお世辞にも秀逸な設計とは言いがたいものであり、ミサイルランチャーを両肩上部に設定したのと、それを制御するセンサー類が頭部に全て集約させて取り付けられた(このミサイルランチャーは本来、機動兵器用では無かったためセンサー類が外付け式というとんでもない落とし穴があった)せいでライデン以上に機体重心が高くなってしまい、転倒しやすく装甲もテムジン並でしかなかった。しかも携行火器もクレームで大量返品されたものを製造元がこれ見よがしに押し付けたものだった。その為ライデンのような攻撃的防御戦術は期待できず完全な後方支援VRとして扱われる様になってしまった。
※『SAV(支援攻撃バーチャロイド(Support Attack Virtuaroid))』
結局、ライデンの代替は後に重量級VRの決定版と呼ばれる「ドルカス」の登場まで待たなければならなくなる。とはいえ、製造コストはテムジン並(量産効果によりそれ以下)に安く(ライデンの単価がベルグドル21機分、テムジン4機分である)、頭数を揃えるには容易な為に各戦地に大量導入され、結果として第1世代VRで一番多く製造される事となったが、これに乗った一般パイロットからは「使いにくい機体」という苦情が終始絶えなかった。
後にこのベルグドルは何度も改修が重ねられ、重心面を改良した『ベルグドル3M』(生産時期により細部の仕様が異なった既存機体も本仕様に『再リバースコンバート』された)、低重心化の為に頭部を胴体と一体化させた機種転換用複座機『ベルメイト』などの後継種を生み出し、後の名機『グリス・ボック』を始めとするVokシリーズを生み出す原動力となっていった。
ゲームでは
設定とは裏腹に、ゲーマー達は『転倒しやすい』特徴を逆に高機動戦闘に応用。『ベルグドル使い』と呼ばれる猛者達がアーケードにそれなりに闊歩していた(ゲーム攻略の解説記事で設定と真逆の評価がされているケースが在るのは、その辺りの事情による)。
余談
コトブキヤの『ワンコイングランデ』シリーズでの製品(トレーディングフィギュア)や『バーチャロンマーズ』からプレイステーション2版OMGまでの広報用CGは実は先述の『〜3M』系列だったりする。
ドルカスの『ファランクス/ファイヤーボール』ユニットは本来は(世界観上の話)ベルグドル用に開発されていたユニットだが、納期に間に合わなかった為ドルカスに回された経緯が在る(仮にこれをベルグドルが採用してもさほど評価は上がらなかったかも知れないが)。
・・・この事が呪いになったのか、OMGにまつわる月面上での『ある戦い』からDNAはドルカスの有効性に疑問を抱き、追加発注をキャンセルしてしまう(お金に困窮している人がコスパを気にする余り結果的に損をする買い物をしてしまうのと同じ事をしている訳だ)。
Vokシリーズの開発過程で、当初ムーニー・バレー(MV-03)は(ベルグドルを大量配備している現状から)新型SAVとしてベルグドルのアッパーコンパチ案を計画していたが、リファレンス・ポイント(RP-07)の新型MBVの開発遅延から『新型機にはSAVとしてだけで無くMBVとしても扱える性能を』とのDNAからの要請が有り、同案はNGになってしまう。
詳細な仕様は不明だが、ベルグドルの改良を押し付けられていた(MV-03はそもそもの開発元では無い)ムーニー・バレーには問題点の改善と戦力強化の方策として『腕部の武装ユニット化(火力増強と重心配置の分散による操安性の向上に繋がる)』が有効策で有る事は見えていたハズであり、それが後にVokシリーズのUSS(ユニットスケルトンシステム)の外腕武装ユニットに繋がった事は想像に難くない。
どうも、VOXシリーズの『D-100』系列(所謂『ダン系』)はグリス・ボックの後継と言うより、この『〜アッパーコンパチ案』のコンセプトを継承しているフシが在る。