概要
シンギュラリティを経て久しい「電脳歴」という現在より遥か未来の世界。企業国家と呼ばれる、企業によって運営される共同体が従来の国家を既に過去のものにした時代。地球圏最大勢力の企業国家DN社は、月面にて人類の有史以来の記録の範疇を逸脱した遺跡を発見する。このオーバーテクノロジーを解析し、数々の実験を行い、その過程において製造されたのがバーチャロイドである。
この時代に於いて従来の戦争は既に情報戦・サイバー戦の極地化の末、その意味を無くしていたが企業国家群の利害衝突を調整する場と、爛熟した文化の中で刺激ある娯楽を求める大衆・市場の欲求とが結びついた「限定戦争」が誕生し、圧倒的な人気を博していた。
それは開催場所・期間を限定して行われる「ショービジネス・スポーツ化した戦争」「戦争の興行」であった。
あらゆるものが商業化された(この世界の人類は機械・バイオ技術の発達で、その在り方すら大きく変貌しており、資金さえあれば自らの新たな肉体や精神などといったもの=新たな自己、すら容易に買える)一方で、途方もない経済格差が固定化されて久しい停滞した世界では、自らの命すら投資対象、商品化することも普遍的となっていた。そのため限定戦争は社会に幅広く受け入れられていた。
「有人操縦型巨大人型ロボット同士によるバトル」はこの戦争興行において、「わかりやすい人間同士の戦い」と、「派手でダイナミックでありながら過度な残酷さを視覚的に排除」という点を両立させた、理想的な最適解となった結果、地球圏のみならず太陽系の他の惑星までをも舞台にした戦争興行が爆発的に広がる事になる。それと共にバーチャロイドの開発も続々と進むことになった。