ゲームソフト「電脳戦機バーチャロン」シリーズに登場する巨大人型兵器バーチャロイドの一種。
公式表記は『フェイ・イェン』と中黒入りである。
ただし、バーチャロン作品においても「フェイイェン」表記である事が少なくなく、pixivではたまたま『フェイイェン』が先に多く登録されていたため、現在もその傾向が残っている。
概要
基本的に“ツインテール”の髪型を模した頭部を持ち、強力なハート形のビームを撃ち出して来る少女型ロボットである。
バーチャロイドとしてはかなり特異な外観だが、これは0プラントのプラジナー博士が作りだした自我を持つ等身大サイズの少女型バーチャロイド「VR-014 ファイユーヴ/フェイ・イェン」の構造データの断片を基に、レプリカとして作り出された機体であるためである。
完成1体目のフェイ・イェンには14歳少女の人格がインプットされており、以降は独自の意志を持って活動し、自己修復や自己進化を行う。なぜこのような機体をプラジナー博士が作ったのかは不明のままであり、彼が謎の失踪を遂げた今は全てが闇の中である。
博士の失踪は、娘であるリリン・プラジナー(後にタングラムを完成させ、MARZや白虹騎士団を設立した人物)に深い影を落とす。
当時の前線ではベテランの男性兵士が無理やり乗せられることも少なくなかったが、近年ではフェイ・イェン部隊に所属する女性パイロットが乗ることが多くなっている。更に女性パイロットのスタイルを反映させたオリジナル機を製造するなど、間違った方向で人気を博してきている。
他のバーチャロイド同様に登場作品毎にモデルチェンジと武装強化を繰り返しており、第一世代はセーラームーン、第二世代はアイドル、第三世代はウェイトレスをモチーフとしている。一方で、一部のシステムは未だにブラックボッス化している為、体力が減ると全身が急に金色になったり(ハイパーモード)、操作していないにも拘らず、勝手に女性らしい仕草をしてしまう点についてはどうしようもないらしい。
なお第一世代は後のDNA、第二世代はRNA、第三世代は旧DNA側を母体とする独立プラント、と世代ごとにフェィ・イェンを使用する陣営が大きく変わっているのも特徴。
ゲーム内での特徴
ゲームによっても若干異なるものの、全般的に機動性が高い反面耐久性が低めという、典型的なスピードタイプの設定となっている。
また、体力が50%未満になると金色に輝き、機体の全性能が上昇する「ハイパーモード」を搭載している。(作品によっては体力と引き替えに、任意に発動することが可能)。
第一世代
型式番号:SRV-14-A
シリーズ一作目電脳戦機バーチャロンに登場。
天才科学者プラジナー博士が生み出したオリジナルVR。ゲーム上に登場する機体はオリジナルフェイ・イェンのレプリカ量産型である。
なぜレプリカなのかというと、プラジナー博士が謎の失踪を遂げてしまい、彼の脳内にしか存在しないであろう設計図を誰も見たことが無いからである。
結果、構造データのほとんどがブラックボックス化してしまい、完成品を丸ごと複製コピーする形でしか製造ができなくなってしまった。何で動いているのかは分からないが、とりあえず組み立てれば動いてしまうのだから仕方がない。
とはいえ、オリジナルの形態を忠実に再現しており、後の第二、第三世代よりシンプルな外見だが、その分スラリとした体躯と長いツインテールが特徴。
オリジナル・フェイイェン(以下オリジナル)自体がもとより戦闘用機体ではないため、戦闘用VRとしては性能面にややいびつな点がみられる。
テムジン系に酷似した剣系武器を装備させてはいるものの、特にその独特の女性的なフォルムがそのまま再現された影響か装甲面の弱さが顕著。またオリジナルが火器の類を持っておらず唯一の対敵装備「エモーショナルアタック」機構も再現できなかったため、武装も全て独自のものになっている。
その一方で、主力兵装である胸部内蔵のL-c04型弾芯内包型指向性ビームランチャーの弾が、なぜか勝手にハートマークの弾形状になってしまったり、操作していないにも拘わらず勝手に女性らしいポーズを取ったりと、オリジナルのデータ構造における解析しきれないブラックボックス化した部分の影響が如実に残っている。
本機体にはハイパーモードがあり、体力が減ると全身が金色になり、武装が大幅に強化されるのだが、その現象すらも何故起きているのか謎であり、直近の開発担当も仕様に無い挙動であるとの事。
PS2版「電脳戦機バーチャロン」では、特定の条件を満たすことで、プレイヤーが通常使う機体とは別仕様のフェイ・イェンが最終ボスとして登場する。
これを撃破してクリアすることで、シークレット設定が解放される。(ヤガランデが使用できる、ジグラットでVRを迎撃する、アサルトやチビキャラがすべてのモードで設定できるetc。
なお。このフェイ・イェンについては武装や敗北時の演出などから、オリジナルフェィ・イェン本人と思われるが、UNOFFICIALという機体名のとおりあくまで非公式的な存在であり、オリジナルとの関連は不明である。
第二世代
フェイ・イェン・ザ・ナイト
型式番号:RVR-14
シリーズ二作目『電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム』にて初登場。
他の機体と同様に、よりポップでカラフルなデザインに一新、第一世代をやや幼くしたような、丸みを帯びたものとなっている。
第一世代の量産型フェイ・イェンの発展開発機ではなく、オリジナルフェイ・イェンが自己進化によって姿を変化させたものを、またまた丸ごとコピーで量産化したもの。そのためブラックボックス部分は依然として未解明のままで、製造元も「不明」と表記されている。
ちなみに、姉機にあたるエンジェランは第4プラントで解析された上で、その特徴的な女性らしい外見を残しつつ、兵器化・量産化されている。
体力が半分以下になると全身が金色(ハイパー化)して性能が向上したり、通常弾を撃つと発射時にハート型状になったり、勝手に女性らしい仕草を取ったりと、よくわからない挙動はそのまま残っている。
名称については諸説あり、試作9号機の「ナイン」がその風貌から捩られてナイトとなったという逸話がある。
第二世代型フェイ・イェンはRNA陣営の機体となっているが、他のRNA陣営の機体と異なり、頭部はバイザー状のカメラのみで双眼が無い。これはRNAがVRを作る際、独自技術へ昇華する過渡期にあったことが理由とされる。
生産数が少なく、製造コストも高かったために、性能が高い訳でもないのに勝手にエース専用機として認知されている。
フェイ・イェン・ザ・ナイト "Judge Igniters"
とある魔術の電脳戦機に登場する上記のザ・ナイトがベースの改修機。
白井黒子の搭乗を前提にチューンされ、彼女の持つ空間移動能力を活用した強力なブースト・ウェポンを実用化しており、総合的に高い実力を獲得している。
第三世代
シリーズ三作目『電脳戦機バーチャロン・フォース』、および四作目『電脳戦機バーチャロン・マーズ』に登場。
第2世代までは、オリジナルを丸ごとコピーするしか量産方法が無かったが、失踪した開発者であるプラジナー博士の娘「リリン・プラジナー」が独立ブランドを立ち上げた事により、エンジェラン、ガラヤカと共にようやく正式な開発着手が可能となった。
……とはいっても、ハイパー化をはじめとしたブラックボックス化した仕様部分に関しては、依然として謎のままであるため、よく分からないがそういう挙動で動く仕様として扱われている。
ようやく実用的な武装開発が可能となったため、『フォース』においてはメイン武器を持ち替えたモデルが多数生産された。これら総称してフェイ・イェンシリーズとし、プレイヤー機体として使用可能となっている。
ツインテールの髪型は継承されているが、前二作とは異なり、ウェイトレス風のデザインへと変貌した。企業戦略によって女性パイロットが率先して搭乗するようになり、派生機はフォースに所属する特定のパイロットをモチーフとしている機体も多い。
これにより初代から続く、熟練の男性パイロットが乗せられた挙句、機体がパイロットの意志に反して勝手に女の子らしい動きをする問題が一応は解決した。
指揮官機として扱われる「+」(プラス)型はヘッドドレスがカチューシャからティアラに変更されているのが特徴。ゲーム上では後述の「シンデレラ・ハート」のみ「+」型が無いがCG集「Cinderella(シンデレラ)」の内容から設定上は「シンデレラ・ハート+も在る」らしい。
なおこの世代に限り、腰部保護装甲「ヒップバンパー」が2種、胸部装甲「チェストシェル」のサイズを4段階から選択可能(その名も「ソーラクス換装機構」。ゲームでもきちんと再現されている)。
ファイユーブ本人を目測して制作したバストサイズから男性スタッフが妥協して提示したバストサイズが用意された他、製造中止となったもののフェイ・イェン部隊の女性パイロットを参考にした「ビッグバンX」と名付けられた規格外サイズも存在する。
このバストサイズの変更に関しては、ファイユーブ本人から痛烈な批判意見が述べられている。
ちなみに、ソーラクス換装機構はエンジェランにも採用されている。
フェイ・イェン with VH「ビビッド・ハート」
レイピア「愚者の慈愛」を持つタイプ。制式番号はTF―14 A。
RVR-14に近い性質をもつ基幹機種である。
PSO2にて衣装として実装されたのはこのモデルとその色違い。
武器も武器迷彩として実装されている。
また、ロビーアクション「バーチャロン01」では女性用ロビーアクションがこれの
ニュートラルモーションを再現したものになっている。
原作ゲームからモデルデータをそのまま引っ張ってきたハイクオリティの逸品なんだとか。
『電脳戦記バーチャロン・マーズ』には、フェイ・イェン系はこの機体のみ登場する。
性能は初代およびザ・ナイトに近いものになっており、フォースを未プレイのプレイヤーでも扱いやすい操作感になっている。基本的にはテムジンの下位互換だが、ライフが半分以下になるとハイパー化して破格の性能になる機体である。
フェイ・イェン with BH「ブルー・ハート」
大剣「強者の妄信」を持つタイプ。制式番号はTF―14 B。
レミ・ファンソーラ中尉がガキバ・マシュー大佐の景清と交戦した際の機体(バトルダメージと鹵獲使用した大剣型武装デバイスのセット)をモデルにした近接型である。
※本来は完全再現となるとサイドモノテールになるが、ファンソーラ中尉の涙の抗議で「ピッグテール」と呼ばれる現行の仕様のツインテールになっている。
大剣のデザイン変更はファイユーヴの仕業。
フェイ・イェン with PH「パニック・ハート」
ボーガン「亡者の懴悔」を持つタイプ。制式番号はTF―14 C。
SRV-014Aに先祖返りした武装をもつ射撃型。
※先述のファンソーラ中尉の本来の乗機はこちら。
これのバトルダメージ版とも呼ぶべき「レミ・ファンソーラモデル」が先述のブルー・ハートの原型である。
フェイ・イェン with CH「シンデレラ・ハート」
トレイ状の武器「ペイシェント・トレー」を持つタイプ。制式番号はTF―14 M。
フォース艦隊きっての人気シンデレラガール・折鶴蘭大尉をモデルにしたレア機体で、上記のソーラクス換装機構は、折鶴蘭大尉が搭乗するフェイ・イェンのために実用化された。
なお、イラストで同機と描かれているキャラが折鶴蘭大尉。マスターピース版公式サイトで公開されたキャラデザイン(デザイン担当:竹)に準拠する物となる。
ちなみにビビッド・ハートとシンデレラ・ハート以外は武装以外にも、頭部、ツインテール部分の形状が若干異なる。各人が放つハート(CW)の名前は、各機の名前に準じる。
フォース版のフェイ・イェンはテクスチャーが「ストライプ有り」と「〜無し」の二種類が奢られており、「〜無し」版のテクスチャーが採用された「リアルカラー」の「3P/4P」版の機体はその配色から「メイド服」として一部で絶大の人気を誇っていた(マーズ版は「〜有り」のみなので、お察し)。
その他
オリジナルフェイ・イェン(ファイユーヴ)
裏設定上にのみ登場するバーチャロイド。
天才科学者プラジナー博士が密かに開発した、機動兵器としてのフェイ・イェンのベースとなった機体。
自我を有し、歌と踊りをこよなく愛する自由奔放で明るい性格の14歳の少女の人格を持つ等身大サイズのバーチャロイドで、電脳虚数空間(CIS)と実空間の自由な往来並びに人間形態への変身が可能という、前代未聞の存在。
博士が作り出した三柱のオリジナルバーチャロイドの1体であり、バーチャロイド開発・運営の負の副産物ともいえる「シャドウ現象」に対する切り札として開発された。
TF14/st & TH14/ft
第三世代VRで普及した空間転送技術である「定位リバースコンバート」実行直後に発生するバーチャロイドの一時機能停止現象を解消するために開発された実験機。
プラジナー博士の実娘であるリリン・プラジナーがファイユーブを説得して得られたCIS往来システムの技術が用いられている。
/ftは定位リバースコンバート実験を妨害するSM-06に対抗するために/stを元に
武装を施した機体であり、これを量産したのが第三世代フェイ・イェン(パニックハート)である。
なお量産化はファイユーヴに無断で行われたものであり、あからさまな萌えに走ったデザインの見てくれが本人に気に入られなかったことも含めてファイユーヴの機嫌を損ねてしまったため、第三世代フェイ・イェンに関するデータベースへの執拗な荒らしという報復に見舞われる羽目になった。(AC版フォース公式サイトにおけるフェイ・イェン各機種の説明文の素っ頓狂な内容は、この報復が理由でもある。内容自体はノリノリのイメージポエムのようなものだったりするのだが)
フェイ・イェンHD(ハート・オブ・ディーヴァ)
カトキハジメが「月刊ニュータイプ」誌に描き下ろした『初音ミク調のフェイ・イェン』。
後にバンダイより立体化されたが、なんと『初音ミク・フェイスパーツ』付属。
なお『初音ミク・projectDIVA』にも「フェイ・イェンスタイル」として登場。
電脳空間を闊歩していたファイユーブが初音ミクの魂と出会い、彼女に感化されてその姿を変化させたものという設定を持つ。
スーパーロボット大戦では
電脳暦の世界から物語の世界に転移してきた、という形で参戦。
第3次α
チーフ(テムジンに搭乗しているフォースの主人公をモチーフにしたキャラクター、大人の事情で名乗らない)、ハッターと共に登場。声優はドラマCDでもファイユーブを演じた樋口智恵子女史。
敵が全く出てこない、会話にもあまり絡まないと所謂いるだけ参戦であるが、パイロット、機体共に優秀で大変扱いやすい。
なお、機体はスタッフの趣味で第二世代のフェイ・イェン・ザ・ナイトとなっている。
(言動などから、なぜかナイトの姿になってしまったファイユーブである可能性が示唆されている。チーフ、ハッターは共にMARZの第三世代の機体に搭乗している)
本作での彼女の戦闘テーマ曲は何故かオラタンでもフォースでもないOMG版の「the wind is blowing」。確かにフェイ・イェンのテーマ曲といえばこれだが。
K
チーフ、ハッタ-、クリアリアと共に登場。今回はいるだけ参戦ではなく、キチンとストーリーに絡んでくる。
装甲はやや薄めであるが、回避・命中が高く、武装の射程が長めなので当てて避けるリアル系に近い扱い方ができる。
気力が一定以上になるとハイパーモードにチェンジする。
搭乗機はフェイ・イェン with VH「ビビッド・ハート」で固定。
『α』同様、彼女の中身は謎とされていたが、後に「スパロボKの世界に救援でやってきたファイユーブ本人である」と公式に明言された。
UX
ハート・オブ・ディーヴァ、通称フェイミクだけが参戦。声優はモチーフ元に併せ、藤田咲が担当している。
いるだけ参戦のイロモノキャラだと思いきや、三度にわたる覚醒イベントや歌姫系キャラとの絡みなど見せ場も多く用意されており、挙句ストーリーの中核部分にまで絡んでいると言う始末。
詳しくはこちら
こちらもリアル系統ユニットであるが、状態異常で敵を弱体化させたり、Eウェーブで味方を強化するといった役割が得意である。
関連タグ
エンジェリックレイヤー:作中にフェイ・イェンと同条件で「ハイパーモード」を発動する機能を持った機体「ブランシェ」が登場する。
白井黒子(とある魔術の電脳戦機における搭乗者)