概要
阿部智里作の小説。
【八咫烏シリーズ】の第1作である。
舞台設定
舞台となるのは山内と呼ばれる八咫烏の住処である。
この八咫烏は人形(人の姿)と鳥形(鳥の姿)を取ることができる、オリジナルの生物。
この山内は東 西 南 北 にわかれており、それぞれの当主が統治している。
その主人となるのが宗家と呼ばれるものである。
山内の最高身分家系で、当主は金烏と呼ばれる。
しかし、現在の宗家当主は特別な理由から金烏代(金烏の代わり)である。
現在の後継者として
長束と若宮は腹違いの兄弟で、若宮の母・十六夜は既に亡くなっており
長束の母・大紫の御前が絶大な権力を握っている。
現在。
長束派と若宮派で後継者争いが起きている。
しかし、ある理由によって
今の時点では若宮が有力となっており、
若宮が後継者として扱われている。
(続編に行くにつれて
この話もどんどん進んでいる。)
主な内容
【次期当主である若宮の妃選び】
【東西南北の家の関係】
についてである。
次期当主の妃は桜の君と呼ばれる。
その桜の君になるために、東西南北それぞれを統治する当主の娘達が桜花宮に登殿する。
一年の選定期間ののち、若宮が気に入った姫だけが桜の君として入内が叶う。
娘が桜の君になれば
宗家と太いパイプを持つことができるため、東西南北の順列にも大いに関わってくるのである。
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東家のニノ姫は本来登殿するはずだった姉・双葉が疱瘡を患ってしまい、その代わりとして急遽登殿が決まる。
優しい父や温かく見守ってくれた東家の者達に見送られ、女房のうこぎを連れて宗家の桜花宮に到着したニノ姫だったが
他の家の姫達の迫力に圧倒されてしまう。
更には挨拶をした大紫の御前に
【あせび】という名をつけられる。
しかしあせびは「馬酔木」と書く有毒植物。
食べてしまった馬を酔わせる花であり『馬程度の男ならお前の色香に酔うだろう』という
二ノ姫、ひいては彼女を目にするであろう若宮に対する多大な皮肉と嫌味が込められていた。
二の姫の味方は女房うこぎと、桜花宮を取り仕切る若宮の妹、内親王の藤波のみ。
東のあせび、西の真酥の薄、南の浜木綿、北の白珠
四美姫による桜の君の座を巡る争いが始まろうとしていた。
しかしそこには
宗家、そして東西南北の家にまつわる不運な因果が付き纏ってくることとなる――――――
人物達
【春殿】東家……楽人を多く輩出する。
あせび(二の姫)
【夏殿】南家……商才に恵まれた商家である。
【秋殿】西家……優秀な職工たちを多数抱える。
【冬殿】北家……山内の軍を統括する。