「仮にも東家を代表して登殿したのです」
「もう少しそれなりの意地というものをお持ちになった方がよろしいのでは?」
cv:釘宮理恵
概要
白珠とは、【八咫烏シリーズ】の第一作目烏に単は似合わないの登場人物。
軍事武力を誇る北家の三の姫。
登殿に対してのんきに構えるあせびに対しては冷ややかな態度をとっており、「仮にも東家を代表して登殿したのだからそれなりの意地を持つべき」と非難した。
その後もあせびに「何代も前から準備を重ねてきた自分と同じ心構えと思えない」、「あなたが入内しなくても東家の人間は許してくれるはず」と度々入内を諦めるよう進めている。
容姿
他の三人よりほっそり小柄で、折れそうなくらい華奢。何べんも梳っただろう一本一本細い黒髪は綺麗に切り揃えられており、黒檀の髪に縁取られた顔は小さく、愛らしい、垂れた目尻は大粒の黒真珠の如くとびきり大きい。
特に素晴らしいのは輝くような肌の色白さで、一度も陽の光を浴びたことがないような、いっそ神々しいまでの色白。
春の陽光の明るさを持つようなあせびと違い、冬の朝に薄く舞い降りた、霜のような儚さを持っている。
あせびが桜がそのまま人の姿になったかのようなと表されているのに対し、雪の結晶が体を持ったかのようと言われている。
他の姫同様、見たものの心をとろかすような、素晴らしい美少女。
人物
冬殿の姫。一人称は「あたくし」。
北家当主・玄哉は祖父にあたる。ちなみに同じ北領の雪哉とはろくに面識もない。
北領の地方貴族と、かつて北家代表として登殿した北家当主一の姫である六つの花の娘。
武人の多い北領内では美人が育たないと言われており、宗家への入内もここ数年難しくなっていたが、彼女が生まれたことで母の六つの花は本家へ呼び出され、白珠は祖父母の養女となり、若宮の正妻として大切に守られ、相応しい養育を受けて育つ。
武門の家に似つかわしくない容貌と、見た目に違わぬ大人し気な姫で、物言いも静か。
「白珠」という名前には、真珠の如く堅牢な貝殻に生まれて育った、輝くように美しい姫であることから。
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※ネタバレ注意
祖母(六つの花の母親)は宮烏ではなく、純粋な宮烏ではない血筋を持っている。
北家の宮烏らによる、宗家への入内の少なさの対策として、中央の花街で一番の美姫と名高い遊女を北家当主に身請けすることで、見目の良い姫を産ませようとした。
しかし生まれたのは父親似の六つの花であり、入内には至らなかった。期待が大きかっただけに宮烏らの落胆は大きく、非難の矛先が危ぶまれた矢先、誕生したのが白珠である。
そのため白珠は物心つく前から盛んに登殿について言われ続けており、登殿決定後はそれ以前より一層騒がしく、多大なる期待を背負っていった。
そんな中で親しく接していた庭師で幼馴染の一巳に対し、当初は恋心はなかったものの、登殿が決まった際に告白され気持ちが傾くが、若宮の正室になるという北家の期待を背負っているため一巳の申し出を断った。
そのため若宮に恋する真赭の薄と違い、若宮には一切関心がなく、北家周りの人間の悲願を果たすという義務感で桜花宮に登殿した。
しかしその後は一切姿を見せない若宮や、桜花宮の人間模様などに心を擦り減らしていく。
北家からの重圧に応えようとする自分とは真逆に能天気なあせびに対する自身の言動に嫌気が差して自死すら考えるほどに追い詰められ、限界が近くなっていった。
そして目の前で烏の姿の一巳が斬首される瞬間を見てしまい、完全に心を壊してしまった。
コミカライズ版では、彼女の心の壊れ具合は最早ホラー級のシーンに仕上がっている。
最終的には若宮に宿下がりを願う。そして斬首されたのは別の人物であると真相が語られ、生きていた一巳に引き合わされ、彼と一緒になる。作者の発言を信じる限り、今は幸せにやっている模様。
……ちなみに彼女は、唯一あの女をはじめから思いっきり嫌っており、本編で攻撃らしい攻撃まで加えた数少ない人物。
また当初は山烏を蔑んでそうな印象を持たれていたが、実際は真逆であった。そして本人の台詞にもあるように、登殿を一番真剣に考えていたのは彼女だったのだろう。まさに冬と春の如く正反対である。