偵察機のはじまり
偵察機とは軍隊に欠かせない存在である。
『空を飛ぶ』という事には、戦場を見渡せるという点での有利がある。
空中偵察は気球の実用化とともに始まったと言われ、18世紀末には各国で活用が始まっている。
むろん、この事は航空機にも同じことが言える。
現に、第1次大戦で最初に用いられた用途が偵察である。
戦場を偵察するにつれ、敵と味方とお互いに妨害し始める事になる。戦闘機の登場である。
また、偵察のついでに手榴弾や爆弾を手で落としてくる、と言う用法も始まった。爆撃機の誕生である。
戦場ではこれらが矢つぎ早に生まれていき、あっという間に激しい空中戦となっていった。
戦争とともに
第1次大戦後も航空分野の発展は目ざましく、偵察機は次々に発展していった。
その中で偵察機はしだいにその高速を武器代わりにしていった。
戦闘機が迎撃しても、高度も速度も勝る偵察機は悠々と振り切って帰る、という訳である。
専門の偵察機だけでなく、速度に優れる戦闘機・爆撃機が改造されて使われた事も多い。
モスキートやJu-88、B-29改造のF-13などが有名である。
第2次大戦の後、偵察は大きく様変わりする。
敵の使っている無線や、レーダーの情報を収集する電子偵察(ELINT)の登場である。
これには多くの機材や電力を必要とするため、大型の爆撃機や旅客機改造の偵察機が用いられている。RC-135やERB-47など。
また、人工衛星を使った偵察も使われるようになった。
宇宙は国境によって区切られないので、自由に偵察できるのである。
しかし、地表まで非常に遠いので精度に問題があった。
さらなる手段として、迎撃の及ばない成層圏を飛行しての偵察が見出された。
偵察衛星とは桁違いにハッキリした精度の写真が重宝されたという。
現代の偵察機
いくら高速といっても、偵察機に人間が乗っていく以上は危険がある。
(ましてや、敵の真ん中を突っ切るのである)
そこで登場したのが無人偵察機(偵察ドローン)である。
アメリカはベトナム戦争の頃から実用化している。
当時は「無人機を遠隔地から無線で操縦する」というものであった。
(もちろん、本物の航空機のような操縦装置を使う)
専用の運用母機(DC-130)も開発し、北ベトナムの奥地を偵察している。
撃墜される機も多かったが、重要な情報を収集した事であろう。
現在はより発展し、現在では操縦を完全にコンピュータ任せで偵察している。
最近では攻撃さえ可能なものも登場するなど、兵力削減の担い手となっている。