「どうしたの 震えてるよ」
概要
初登場時は高校1年生。本名の漢字表記は「圭(けい)」。昼は高校生・夜は麻雀打ちという生活を送っている。両親とはある事情により同居していないため一人暮らし…ではなく、密かに自宅に異国の少女・アミナを飼っているため二人暮らしである。
一人称は「僕」であったが、『ミナゴロシ篇』から「俺」に変わっている。
元々他者に対して淡白な上、他者の破滅や暴力を目の当たりにしたり、自らがハンデを背負おうがお構いなしに冷静であっさりとしている。
ギャンブルではたった半荘2回打っただけでガン牌を覚えきるという化け物じみた記憶力と探偵並みの洞察力、拳銃を突きつけられたり隣で殺人が起きたりしているような状況でも顔色を変えず行動を選択する冷徹さで敵を圧倒するその様から「氷のK」の異名を持つ。
記事冒頭のセリフは無印で使っていたケイの決め台詞で、最初期では「凍死」も決め台詞として使っていた。
しかしながら彼の本質は「氷」以上に、勝負の世界で生きるスリルへの渇望であり、それを作中で何度も指摘されている。ケイ自身それを自覚しつつも、その欲求に抗えず、何度も裏と表の世界を行ったり戻ったりすることになる。
「麻雀と指一本…どう考えても麻雀の方が重い!!」という迷言は、彼の中の合理性と非合理性の同居を端的に表している。
同様に一見冷徹な雀風も期待値を計算するデジタル派ではなく、命懸けの最終局でも平然と裏ドラに期待するスリルを味わおうとしたり、「波(流れ)」を考慮に入れて戦略を組み立てるなど、むしろアナログ派である。
誰もが冷静を保てなくなるような高レートや危険な条件でイカサマもアリの裏麻雀でケイの冷徹さは真価を発揮する一方で、そうした要素の無く競技性の強い"表の麻雀"では(常人から見れば異次元の強さとはいえ)最強にまではなれないという弱点を指摘されている。それに気づかされた時はスランプに陥ったが、あるきっかけで自分の生きる世界は裏麻雀だと決めてからは実力を回復している。
クラスメートを含め、どうでもいい人間に対しては生死を含めて本当にどうでもいいという冷徹な態度で臨む。しかしアミナに対しては優しく世話を焼いており、彼女に危険が及ぶと表情を一変させる。自分のために命を張ってくれたカズ、麻雀友達になった畑山など、自分に損得を超えて関心を持つ人間が窮地に立っている時も表情を変えることがある。また一度でも卓を囲んだ人間(クズを除く)に対して特別な感情を持っている描写も窺える。
幼馴染の桂木優に対しては最初は冷たくあしらっていたが、優の想いが伝わるにつれて彼女を大事な存在だと認識を変え、それに従って彼女の動向に感情を左右されることが増えた。
貸し借りについてもかなり厳しいところがあり、義理を貫くためなら自分の指を切ったり腹を掻っ捌いて腸が露出することも厭わない。密約を結んだ相手との裏切りの条件を満たしつつ、筋を通すために元の雇用主を勝たせるという荒業もやってのけている。
このように「氷」と称されているとはいえ、内実は血の通っていない人間というわけではなく、むしろ義理に堅く人情に厚いのがケイの魅力である。
圧倒的な実力に加えてそうした男らしい態度から、数多のヤクザをも男(中には女も)惚れさせており、彼のために命を擲ち、実際に命を落としてしまった者も多い。
来歴
幼少時代、弟の孝を両親によって保険金目当てで事故を装って殺された。このことが、ケイの精神と人格形成に影響を与え、「良い子にしなければ殺される」という思いで必死に生き続けた。そのさなかで幼馴染の桂木優の父から麻雀を教わる。
中学時代、両親がいない間、暇潰しに始めたネット麻雀で「まっちゃん」を打ち負かし、彼にその強さを見込まれ「オフ会で賭け麻雀をしないか」という甘言に乗せられて、迎え役の高木の手引きによりまっちゃんの住むマンションに赴く。そこは裏世界で密輸された東南アジア系の幼女たちがまっちゃんたちによるDV被害を被り裏DVDの撮影場所として使っていた場所であることを知り恐々と麻雀を打つ破目になる。そのなかで後の「氷のK」としての能力が開花し、まっちゃんやその仲間によるタガログ語の通しを少女・アミナによる狂言で見破り、さらにスリカエのイカサマを見破り完全勝利を収める。その場に現れたマンションの統括者・関ひではるによりまっちゃんは粛清され、この現場から逃れたいがために、関に頼んで自分を助けたアミナを勝ち金の代わりに引き取る。また、この時関に自身の連絡先を携帯に登録され、「生活費とアミナを養うこと」を建前にスリルを求め、裏レートの雀荘に足を運ぶようになる。
高校生になってから、やがて代打ちを率いる桜輪会高津組の組長・高津則之との出会いを通して、途中右足の小指を失いつつも「一軍」の代打ちとしても活躍し、竜凰位戦優勝をはじめ幾度もの死線をくぐり抜けて裏麻雀最強の一角として名を馳せるようになる。
しかし『人柱篇』から徐々にスリルを求めるよりも、大切な人たちとの穏やかな生活こそが自分にとって大事だと気づくようになり、裏麻雀を引退しようと試みて高津と対戦。これに高津に敗北して一度は支配下に置かれるも、『サバイバル麻雀』での死闘の末高津を死に至らしめ、裏麻雀の世界から足を洗うことになった。
『ミナゴロシ篇』では表の世界でアルバイトをしながら優・アミナと仲良く暮らしていたが、自身とアミナを傷つけようとする勢力が現れたことにより、本当の自由を手に入れるためにまたしても裏麻雀の世界へ足を踏み入れることになる。