曖昧さ回避
アミナの名前はアラブ系及びイスラム圏で女性名として使われている。アラビア語本来の発音はアーミナ(意味:安全な、安寧な)もしくはアミーナ(意味:誠実な、正直な)だが、日本語での慣用表記ではこれら別々の女性名のいずれもから長母音の「ー」を抜くためどちらもアミナと書かれることが一般的である。
概要
CV:ファイルーズあい
ケイに飼われている異国(東南アジア系と思われる)の少女。金髪で色黒。どんな絶望的な状況の中に居ても、その瞳には力強い光が宿っている。前の主人(後述)も日本人で、1年ほど教育されているため、英語混じりで片言ではあるが生活に不自由しないレベルの日本語が喋れる。
人身売買により密輸されて日本に来たゆえに戸籍がなく、ケイに言われ入管に怯えてすごしていたが、裏世界の何でも屋・関ひではるによる偽造ビザで自由の身となった。
殺人や略奪などが後を絶たない母国での生い立ちゆえに「生きる」ことに現実的な考え方を持つ。そのため「お金よりも命が大事」という思想を持ち、飼い主であるケイが裏社会で危険を晒し続けることに警告をすることもある。またケイのために自分の命を危険に晒すことには躊躇が無く、土壇場ではケイ以上の胆力を示したこともある。
一方で、ケイとWiiと思わしきスキーゲームや麻雀で遊ぶ歳相応な面もある。
ケイはかつて両親に保険金目当てで殺された弟を彼女に投影しているようで、恋愛感情ではなく唯一の大切な家族として接しており、彼女の前だけでは感情が歳相応の少年のものになる。
作中でアミナは戸籍・病気・誘拐など様々な危機に陥っているが、そのたび冷静さをウリにしているはずのケイは周りが見えなくなっており、自らを命の危険に晒すことも厭わなくなる。アミナの病気について相談した高津則之から「まぁ無理だな」と返されると、無言でガラスのコップを握りつぶして「『無理』じゃヤクザにならないんですよ」と詰めるほどである(相手はヤクザの組長なのに!)。その後アミナの病気を治す条件となった竜凰位戦、さらには羽鳥戦でも、ケイは敗北したら相手の奴隷になるという条件の下に闘うこととなる。
続編『凍牌 コールドガール』では大きく成長した姿となって主人公を務める。
来歴
以下ネタバレ注意
無印(第一部)
詳しい出生は不明だが、東南アジア生まれであることが窺える。人身売買で幼女を飼育する違法牧場の経営者である日本人・南部に売られて飼われ、陵辱を含む調教を受けていた。後に関に買い取られ、彼の組織が取り仕切る裏DVD等の商品として、まっちゃんに飼われてDVを受けていたが、そこに現れたケイとの出会いで運命が変わる。ケイとまっちゃんの麻雀勝負の最中にタガログ語の通し(イカサマ)に関するヒントを喋り、ケイの勝利のきっかけを作る。ケイが勝利した後、彼に引き取られて新しい生活に足を踏み入れていくことになる。
しかし彼女は実は腎芽腫を患っており、実の親に捨てられたのも、関がケイに彼女を相場の半値で売ったのもそれを知っていたからであった。ケイに引き取られた後も世話を続けていた関がアミナをコントロールしやすいように洗脳していたせいもあり、「ケイにバレたらまた(実親の時のように)捨てられる」と隠し続けていた。
ケイにバレた頃にはすでに末期まで進行してしまっており、腎臓移植をしなければ助からない状況に陥り入院し生死の境を彷徨う。ケイは移植を実現するために竜凰位戦で優勝し、羽鳥への挑戦権を手に入れる。
人柱篇
ケイが自らが首を吊るという捨て身の奇策を用いて羽鳥に文字通り命懸けで勝利し、入手した名簿により腎臓移植に成功して完治。ケイとの念願の再会を果たす。しかしそれ以降、自分がケイと関わると不幸になるという不安から、ケイの帰宅時には彼を避けるような行動をとるようになった。
ケイは『サバイバル麻雀』に出発する前「最後に君の顔が見たかった」と五億円を置いて去った。
しかしサバイバル麻雀の大詰め、卓割れで勝敗が決着しかけた土壇場に、ケイを守るという覚悟を固めたアミナがその一億円をもって登場。参加の条件となるロシアンルーレットも顔色一つ変えずクリアした。
点数計算はまだできず、字牌の切り順にも頓着しないなど粗は多いものの、日々のゲームでの練習やケイの仕込みによってベタオリからイカサマまで様々な技を身につけており、結果的にケイを自分が守るという願いを見事果たした。
ミナゴロシ篇
高津の死後からしばらく経ち、ケイの幼馴染・桂木優と共に家事をしており、ケイの留守番をしている。
ケイが恩義のあるカズが窮地に立たされていると聞き迷っていたところ、以前であれば裏麻雀の世界から連れ戻そうとしていたアミナであったが、「今まで氷のK今まで私のため戦った チェンジしよう K 自分のためなら戦うのがいいヨ」と逆に背中を押している。
以降はしばらくご無沙汰だったが、単行本3巻以降のおまけ漫画で優と遊ぶコミカルな場面が描かれている(後述)。
しかしいよいよ迎えた竜鳳位戦の決勝卓では囚われ、ケイが失点するごとに足の温度が下がる「斬足麻雀」の人質となってしまう。
最終的には指を左右併せて5本も失うが、幸い義足にはならずに済んだ。
最終回では優とともに「榊原」姓となり、『亜美奈』という日本名もついて名実ともにケイの家族となるという大団円を迎えた。
おまけ漫画
『ミナゴロシ篇』3巻のおまけではアミナ作・双六遊び「人生ゲーム」で優と遊んでいる。500万円借金するところから始まり、「入管に見つかる」「地雷を踏む 片足がなくなる」「変な病気になる」「突然死ぬ(スタートに戻る)」など、アミナがケイと出会う前の母国の事情の凄惨な部分が反映されたブラックで現実的な面が濃く描かれていた。しかし最後は「ゴール 神様が来る 世界から貧困と飢えがなくなる」と締めくくるなど、同時に世界平和を願っているという聖人な面も描かれた。
4巻では、優と潮干狩りに行った際に昆布を食べる、優が作ったあさりの味噌汁を貝ごと噛み砕くなどコミカルな面が強調された。
殺風景になりがちな本作において、コメディリリーフの役回りを演じ、読者の目の保養と安心感を与えた。
コールドガール
ケイが裏社会の帝王となった世界で、2代目高津組を率いている。
髪は短く切っており、大人に近い姿に成長している。
日本語は若干片言が抜けていないが、昔に比べればほぼネイティブと遜色無い話し方ができるようになった。
以前からの死線をくぐり抜けてきた胆力に加え、ケイ譲りの雀力・機知・記憶力で闘う。
麻雀で他人を泣かせてきた悪人どもを麻雀で成敗し、「自分達の番がきたんだよ」と言い放つのが決め台詞となっている。
一方で高校の麻雀部でみんなと純粋に麻雀を楽しめていることを「青春っぽい!」と感慨深げにしているような、普通の女子高生としての感性も持ち併せている。
またヤクザという自覚は薄く、人を動かすには権威による威圧を乱用せずに、きちんと金を払う。
ある闘牌をきっかけに、豪腕な女部下の増田(マスダ)とともに女子高生として谷津高校に潜入し、高校に巣食う半グレたちとの戦いを繰り広げることとなる。
3巻巻末の5段階評価では知力・麻雀力は意外にも「3」で、忍耐力・胃腸が「5」という、メンタルが最大の武器というキャラ付けになっている。