ボイジャー計画
ぼいじゃーけいかく
「Look again at that dot. That's here. That's home. That's us.」
(あの点を振り返ってごらん。あれはここだ。あれは我が家だ。あれは、私たちだ。)
~カール・セーガン
概要
ボイジャー計画及び探査機は1977年にNASAによって打ち上げられ、ボイジャー1号が土星と木星とその衛星を観測、2号が土星・木星・天王星・海王星とその衛星を観測した。またボイジャー計画は惑星配置の関係により、スイングバイ航法を利用すれば木星・土星・天王星・海王星を連続的に探査する惑星グランドツアーを行うことが可能であった機会を利用して打ち上げられた。ちなみにもしこれを逃したら次のチャンスは175年後である。
本来は1号によって冥王星の探査も行われる予定であったが、土星の衛星タイタンの探査が優先された(タイタンに接近するには軌道を大きく変える必要があった)こと、失敗するリスクを負ってまで向かうほどの魅力が冥王星には無い(1978年に衛星カロンが発見され、予想より遥かに小さいことが分かっていた)と判断されたこと、といった理由でキャンセルされた。
2022年時点で、ボイジャー2号は天王星と海王星を訪れた唯一の探査機であり、土星以遠の天体を訪れた探査機としても、後年のニュー・ホライズンズと当機の二機しかない。
現在は太陽系を脱出(※)し航行中であり、1号については人工物としてもっとも地球から離れたところに存在している。1号・2号共に現在も現役であり、電源の寿命が尽きる2020年代半ば~2030年頃まで恒星空間の観測を行い続ける予定である。
※太陽系は太陽風の影響が及ぶ範囲までとする見方と、太陽の重力に拘束される範囲までとする見方があり、後者の見方を取って、『太陽圏脱出』という表現を使う事もある。因みに、後者の意味だと『太陽系脱出』は3万年以上も先の話になる。
機体構造
質量は721.9kg、主電源として3基の原子力電池(出力合計470W)、カメラなど各種観測機器を搭載し記録はいったんテープレコーダーに記録したのち地球に送信していた。
ゴールデンレコード
2機のボイジャーには「地球の音」と題された金メッキされた銅板製レコードがついており、そこには地球上の様々な音や音楽、55種類の言語による挨拶、様々な科学情報などを紹介するアナログ形式でコード化された写真、イラストなどが収録されている。
太陽系家族写真
1990年2月14日、ボイジャー1号によって太陽から約60億㎞離れた位置から太陽系惑星の撮影が行われた。水星と火星、及び当時は惑星だった冥王星を除く全ての惑星と太陽が39枚の写真として撮影された。有名な『ペイル・ブルー・ドット』はこのうちの地球を捉えた写真のこと(冒頭のコメントはこの写真について述べられたもの)。これらの写真を撮影後に1号のカメラの電源は落とされ、現在1号・2号共に写真撮影は出来ない状態にある。
この写真は2017年12月5日にニュー・ホライズンズによって記録が破られるまで最も地球から離れた場所から撮影された写真であり、2022年現在最も遠くから地球を捉えた写真である。
余談だが、水星探査機メッセンジャーも2010年11月に太陽系家族写真を撮影している(但しボイジャーとは逆に太陽系の内側から撮影されている)。また、土星探査機カッシーニも、土星軌道上からペイル・ブルー・ドットのような写真を2006年9月と2013年7月に撮影している。既に太陽系家族写真撮影時のボイジャーよりずっと遠くにあるニュー・ホライズンズも同じような写真を撮影する可能性があるが、当該機はまだカイパーベルトの探査中であり、撮影されるとしても当分先のことになると思われる。
関連項目
ビーストウォーズ:劇中に登場するゴールデンディスクは、ボイジャー探査機に搭載されたゴールデンレコードと同一のものである。
パイオニア計画:ボイジャーの先輩とも言える探査計画。
ニュー・ホライズンズ:ボイジャー以降に天王星以遠に到達した現状唯一の探査機であり、ある意味後継機。