LGBTQにおいて身体的な性と自認する性の不一致を感じているが、定まった性自認を持っていない人や、自認する性が女性でも男性でもない人、あるいはその両方である人など、男女いずれかに区分出来ない状態の性自認を持つ人を示す。広義におけるトランスジェンダーの一種として扱われることがある。
ただしXジェンダーという言葉は日本特有の言い方であり、国際的なものではない。
海外ではXジェンダーに該当するものには様々な分類があり、より細かく定義されている。
代表例:
- ノンバイナリー(男女どちらでもない、またはどちらでもある人。Non-Binaryの略称「NB」の発音に基づいて「エンビー(Enby)」と呼ぶこともある)
- ジェンダーニュートラル(男女どちらでもあり中性的な自認を持つ人)
- デミジェンダー(出生時の性別に違和感を持っているわけではないが、社会的に定義された性別観や役割とは異なる生き方を望む人)
- サードジェンダー(第三の性)
- ジェンダーフルイド(自認する性が流動的であり日によって異なる人)
- アジェンダー(いずれの性別の自認も持たない人)
日本における「Xジェンダー」とほぼ同じ意味・定義で使われるものとしてはノンバイナリーが最も近く、また使用者も多い。日本においても宇多田ヒカル氏がノンバイナリーであることを告白した件など、正規の報道メディアでも使用されつつある。
当事者への配慮について
一般的なトランスジェンダーなど性別違和を抱えている人同様、Xジェンダー(ノンバイナリー)の当事者である人への性別に関した表現には配慮を要する。
例えば三人称に関する事柄の場合、トランスジェンダーに対しては各々の自認する性に合わせた表現をすること(トランス女性/MtFに対しては「彼女」で呼ぶなど)が通例となっているが、Xジェンダーの場合は個人によって適切な三人称が異なる場合がある。
Xジェンダーの場合は男女どちらかの定まった性自認を持たず、いずれにも区分されたくないという人も多いため、「彼」「彼女」のどちらも使用してほしくない人もいれば、そのどちらを使っても構わない人など、人によって大きく異なる。
できれば本人の意思確認を行うことが最も望ましいが、各自の望む表現を一人一人確認することは難しいため、このような場合は男女いずれかを特定しない中性的な表現を使うことが無難である。
日本語での例:
- 「彼は~」「彼女は~」の代わりに「この方は~」という言い方をする
- 「○○男子」「○○女子」などの表現に含めることは避ける
- 俳優の場合、「男優」「女優」の代わりに「俳優」という表現をする
等
海外においては英語の文法の都合上、性別に準じた三人称に関する表現は特に問題になりやすいため、近年「He」「She」のどちらの使用も望まない人物を示すために「They」を単数形で使用することが多い。 ⇒ 単数形のTheyについての記事