概要
ソビエト連邦が開発したセミオート狙撃銃の英字表記「Snayperskaya Vintovka Dragunova(ドラグノフ式狙撃銃)」の頭文字を取った略称。ロシア名「Снайперская винтовка Драгунова」。
形状が非常に特徴的で、狙撃銃という位置づけではあるが、実践的かつ木製部品を多用したレトロなディティール。AK47をベースにした馴染みある形状からイラストレーション作品などにおいてキャラクター等と一緒に描かれる事も多い。主にSVD単体のイラスト(3Dを含む)やSVDと一緒にキャラクターが描かれたイラストにつけられる。
稀に"ドラグノフSVD"、"SVDドラグノフ"といった表記も見られるが、SVDのみで"ドラグノフ式狙撃銃"という意味なので表記としては正しくないと思われる。
しかし、英語圏などで"SVd Dragunova"等して"d"を略字として分かるようにした表記は度々見られるため完全に誤りというわけでもないようである。
ドラグノフのみでは、鉄拳シリーズのセルゲイ・ドラグノフを指すイラストが多いためドラグノフ狙撃銃については本項で説明する。
SVD(ドラグノフ狙撃銃)とは?
ソ連のYe.F.ドラグノフがAK47等参考にして新規に製作設計した、木製の銃床が印象的なソビエト連邦製のセミオート狙撃銃。1963年にソビエト軍が制式採用した。
西側のよく見るセミオート狙撃銃(PSG-1等)と比較すると細身で、軽量化や運搬性向上のため銃床は大きく肉抜きされている。また、前線の兵士が利用する等、ハードな条件化での長期的な運用を前提にされているため、部品数はあまり多くは無く、非常に高い信頼性と耐久性を誇る。また、スコープの装着を前提にした一般的なセミオート式狙撃銃とは異なる点として、照準器が破損した際の非常用にアイアンサイトも標準で装備しており、スコープが無い状態での射撃も可能である。
そのため、通常の狙撃銃より長距離における射撃精度は劣るが、前線において相手を一撃でしとめる事はさほど重要ではなかった(負傷、行動不能にするだけでも十分だった)ため、運用目的としては射撃精度に関してはそれほど大きな問題は無かったようである。
弾丸は、モシン・ナガンやカラシニコフ汎用機関銃と共通の7.62mm×54Rを使用し、精密射撃する場合等には狙撃用の弾薬も使用できる。ガスシステムは腐食を防ぐためにクロムでメッキ処理されている。尚、Rは「Rimmed(リムド)」または「Russian(ロシアン/ラシアン)」の略。ちなみにマガジンの装弾数は10発。
余談だが、一見形が似ているAK-47とは部品形状等が異なるため、各部品の互換性はない。
また本銃に標準装備される光学照準器のPSO-1はレティクル(照準器覗くと見られる照準線)の形状が広く知られており、これを題材にしたイラストもいくつか見られる。
バリエーション
本銃も他の銃器同様、さまざまなバリエーションが存在する。
例として、ライセンス生産を行っていたイズマッシュ社から射撃精度を向上させた近代化モデルが発表されているが、従来設計のままでは仕様上、射撃精度に限界があったため、これを改善するため1998年に発射機構をボルトアクションにした、原型をほとんど保っていないSV-98が発売されている。
しかし近代化モデルには木製の銃床が無かったり形状が大きく異なり全体の印象が変わってしまうものもあるため、スリムな外見と全長1.2mという長さを誇る特徴的なシルエットを持つ初期のバージョンを好む人も多い。
仕様
種別 セミオートマチックライフル
口径 7.62mm
銃身長 620mm
ライフリング 4条右回り
全長 1225mm
重量 4310g
銃口初速 830m/秒