さらなる高高度へ
Fw190D-9で高性能の液冷エンジンを採用し、待望の高高度性能を獲得したFw190だったが、設計者たるクルト・タンク博士は満足していなかった。
本来の高高度エンジンでは無かったからである。
そこで主に、
・本格的な高高度用エンジンの搭載
・コクピットの与圧
・主翼の拡幅
といった強化を取り入れたTa152の設計に着手した。
『戦闘機は競走馬では無く、軍馬でなければならない』
これはタンク博士の持論である。
戦闘機に限らないことだが、軍事兵器とは過酷な環境で使われてすり減っていくものである。
そこでタンク博士は
・操縦しやすく頑丈で、
・戦場での修理も簡単、
・なおかつ生産もラクチン
という戦闘機を設計した。それが前身Fw190であり、登場以来さまざまな戦場で活躍していた。
戦争と共にFw190も発展をつづけ、液冷エンジンに換装したFw190D-9に頂点を極める。
しかしそれすらも満足するものでは無く、
タンク博士は本格的な高高度戦闘機『Ta152』開発に着手する。
エンジンは当初DB603エンジンを希望していたが、
このエンジンはメッサーシュミット社への供給が優先されていた為、仕方なくユンカースのユモ213を使用した。
このエンジンは生産の手間が少なく、供給されやすいという利点があった。
だがこのエンジンはFw190D-9と同じエンジンであり、後に性能向上型を搭載する事とされた。
(結局完成しなかったが)
ただし、このエンジンはDB603のように精巧で気難しいという事がなく、
結果的にはタンク博士の持論に沿ったものになったといわれる。
活躍について
登場が戦争終結間近だったため、殆ど活躍できていない。
そのころには全ドイツの燃料は尽きており、航空機はもちろん、
トラックの一台を動かす燃料さえ事欠く有様だった。
そんな状況にも関わらず、少数の機体はロールアウトして活躍している。
また、高高度戦闘機と言いながらも肝心の過給機(スーパーチャージャー)が不調だったので、
実際には低空での防空を担当し、Me262の援護に活躍したという。