賓客が参りました 我らの素晴らしい王朝に!
外見
忌み呪いの角。忌み王モーゴットのそれを更に進ませたその外見は、さながら伝説上の悪鬼そのものである。彼らは互いに双子であり、産まれた後、共に地下へと幽閉された。
ただ表立って動くことを好まず、デミゴッドたちの暗殺者として影に徹することを選んだモーゴットとは異なり、かなり露出の多い人物であり、その暗躍は狭間の地の各地で見られる。
人物
黄金に彩られた壮麗で、まるで邪教の司祭のような装束を纏った「血の君主」を名乗るデミゴッド。
兄モーゴットとは異なり、産まれ持った「血の呪い」を愛した彼は、やがて「姿なき母」と呼ばれる存在と邂逅する。啓示を受けた彼は、自らの王朝、血と腐敗に満ちた愛の「モーグウィン王朝」を築くことを企むようになった。
自らに従う者たちを「血の貴族」に列したり、白面の戦場医師たちを拉致したりと地の底で着々と準備を進めていき、その最後の大詰めとし、聖樹に宿ったデミゴッド、永遠に幼いミケラを連れ出し、伴侶として共に来たるべき王朝の開闢に向けて眠りについていた。
場所が場所だけにあって、円卓の頭脳たる百智卿ギデオン・オーフニールでさえ、彼の居場所を把握できていなかったため、ルートによっては褪せ人は彼からの依頼でかの王に謁見することになる。
とはいえ、モーグに会うためには確認されている中では二つ存在するルートのうち、どちらかを選ぶことになるだろう。
一つはヴァレーという怪しげな白面の男の試練を進めること、そしてもう一つは聖別雪原にある転送門を使って自力で辿り着く道である。
場合によっては、彼とはモーグウィン王朝とは異なる場所で出会うことになるが、そこから更に先には「とある神性」が封じられており、何故そこに彼がいるのか、そもそも彼は本当に彼本人なのかと疑問が呈されおり、エルデンリングにおいても指折りの謎の一つにもなっている。
戦闘能力
血の君主という名前の通り、彼は血を操るデミゴッドである。
ストーリーの本筋と外れた、いわば「裏ボス」的立場であるため、他の強ボスよりさらにえげつない攻撃を仕掛けてくる。
手に持つ燭台のような三叉槍、『モーグウィンの聖槍』を武器とし、振り下ろし、振り回し、そして突き刺しの三つの攻撃を組み合わせた近接戦闘に、頭上に出現させた魔法陣を介して「姿なき母」から燃える血を取り出し、その炎をこちらに放つ遠距離攻撃を合わせた、所謂「祈祷戦士」に近い戦い方をする。
他のストーリーボスに比べると動きはシンプルで分かりやすいが、彼の扱う血炎は、被弾すれば通常ダメージに加え、スリップダメージがオマケについてくる。被弾しなかった血炎も着弾個所に一定時間着弾点に残りダメージを与えてくるという嫌らしい性能をしている。
また血に関連してか、彼の攻撃には出血属性が付いており、舐めてかかるとゲージが溜まって一気に大ダメージを食らうことになる。
彼にも二段階目が存在し、体力が減ると「トレス」「デュオ」「ウーヌス」(これはラテン語で3・2・1の意)と唱え出し、褪せ人を囲むように輪に似た紋章が三重に浮かび上がっていく。
そして体力が半分以下になると、突然槍を空中に向けて突き刺し、「ニーヒル!」(これもラテン語で0)と歓喜と共に3度唱え出す。
これは回避不能の全画面攻撃というとんでもないもので、問答無用に即死級のダメージを受ける。しかも詠唱に合わせた分の体力を奪われ、モーグはその分の体力を回復する。そして彼の背から漆黒の翼が生え、第二段階に突入する。
この形態に変化すると、空中を飛び回るようになり、ただでさえ面倒な血炎が四方八方からこちらに向けて放たれるようになる。
動きを見切らないと集中砲火を喰らってアボンになってしまう。
ここに第二段階に移行する前の二ーヒル三唱を、聖杯瓶がぶ飲みで乗り切ってしまうと更にジリ貧の戦いを強いられることになるだろう。
とはいえ、血の君主攻略には抜け道がない訳でもなく、忌み鬼マルギットにも使えた「モーグの拘束具」は彼にも、第一段階という縛りはあるものの、一時的にその行動を2回まで止めることが出来る。
他にも強制出血は、ある結晶雫を霊薬に配合することにより大幅に軽減することができる。
血の君主に苦戦を強いられている褪せ人は、まずはリムグレイヴにいる血の指の狩人ユラのイベントを進めて、アルター高原を探索してみるといいだろう。
余談
・彼を倒して得られる戦利品『血の君主の追憶』『モーグの大ルーン』、大ルーンは兄弟、モーゴットと同じ東アルターの神授塔で力を取り戻せ、装備者には効果が無い代わりに遺灰により召喚した霊体、あるいは侵入プレイ時に入手できる「大ルーンの幻影」を使用した侵入先のモブ敵に周囲で出血が発生した時、20秒間攻撃力がアップ、敵を倒した時、プレイヤーのHPを最大HPの10%分回復する血の祝福を与える効果を持つ。追憶は指読みにより彼の振るった大槍『モーグウィンの聖槍』か祈祷『血授』と交換できる。祈祷は彼の使った燃える血を取り出し投擲する祈祷で着弾地点にスリップダメージ床を形成する。聖槍は出血効果の付いた筋力神秘戦士向けの槍であり戦技『血授の儀』であのニーヒル!を放て、自分中心に円範囲で壁貫通効果を持った出血衝撃波を3度まで放ち、20秒間の血炎エンチャントまでついてくる文字通りの出血大サービスである。
ニーヒル!ニーヒル!!ニーヒル!!!
・ギデオンにモーグウィン王朝の場所を伝えると「王朝復古をうそぶく誇大妄想家には相応しい穴倉」「ずっと潜み続けていればよい。そうすれば妄想は見果てぬ甘い夢のままだ」などとモーグに対しかなり辛辣な評価を下している。
・忌み子として産まれながらも、自らの血を愛し、地下の奥底で自らの王朝を築き上げんと暗躍したその精神力の高さは見上げる物があるだろう。
ただ、彼の行動原理には、アイテムテキストや彼に従うヴァレーの発言を顧みるに「愛」が中心に存在するらしい。そのため、時にその行動はある種の変態性を帯びた物になっていったのは仕方がないのかもしれない。
つまり彼が弄られるのは、運命だったのだろう。
上記したラテン語でのカウントダウンと「ニーヒル!」と三度ハイテンションで繰り返す様は、一部で「催眠音声」などと呼ばれており、モーグのASMRなる謎のブームとなっている。
「ニーヒル♡ニーヒル♡ニーヒル♡」
・彼はミケラを自身の伴侶にしようとしているが、ミケラは男でもあるとされ、また彼の父違いの弟である。
そのため彼はペドフィリア&近親相姦野郎扱いされ、ネットではその手のネタがわんさか登場し始めている。
ただ、ミケラはその存在そのものが謎に包まれている。男であるのか、女であるのか判然とせず、それどころか成年でもない。
永遠に幼いこの神は、誰からも愛され、そして愛することを強いることが出来たのだという。
謂わば生ける「幻惑」。モーグが伴侶として見做したのはそういうカラクリもあったのかもしれない。
しかしミケラは劇中では、「恐ろしい」神であると度々言及されており、後に分かることだが、女王マリカの次代を継ぐに足るほどの力を生まれながらに持っていたという。
見方によっては、その能力に惹かれてからの所業だったのかもしれない。
・ミケラという血の近い存在と婚姻を結ぼうとした彼の思惑は、エルデンリングの物語のみならず我々の世界でも決して珍しいものではない。
自らの血統を維持するために、近親間で婚姻を行ったのは古今東西を問わず、所謂貴族や王族と呼ばれた者たちには等しく見られた慣習であった。一般大衆ではそれほど見られなかったものの、中には近親相姦を積極的に推奨する宗教もあったらしい。
とはいえ、そうした婚姻は基本的には互いの意向は無視されがちな側面がある。ミケラがどう思っていたのかは詳らかではないものの、モーグの呼び掛けに一切応えなかった所を見るに、どうやら彼らの契りは失敗したらしい。
それを示唆するかのようなテキストも存在する。
黒布に、豪奢な金意匠が施された
血の君主、モーグの装束
来たるべき新王朝、モーグウィンの
王にして大祭司たる者の証
あるいは、その見果てぬ妄想の証
血の君主の装束より