概要
大学の次にあたる教育機関(学校)。学生が通う場所としては一番上(最終)の学校である。2年間の修士課程と3年間の博士課程の2段階で構成されていることが多いが、医学や薬学などもともと6年かかって大学を卒業する分野の大学院には修士課程がなく4年間の博士課程だけが存在する。また法科大学院のように研究をするためではなく特定の職業に就く資格を取るための専門職大学院も通う年数が異なる場合がある。
大抵の場合は大学に付属しているが、稀に大学院しかないところも存在する(いわゆる大学院大学)。
社会に出てから大学院に入学する人、会社に通いながら大学院に通う人もいるので大学以上に学生の年齢層は幅広い。特にMBA(経営学修士)はキャリアアップを狙う大卒社会人の間で人気の学位であり、MBA取得のために国内外の大学院・ビジネススクールに通う社会人も増えている。
創作の世界では中学や高校、大学が舞台になりやすいのに対して大学院は学生が若くても22歳と年齢層が高いうえ部活やサークルなども普通存在せず研究ばかりしているということ、人口のほとんどは大学院まで行かないので共感を得られるターゲットが少ないことなどが理由なのか舞台になることは稀である。
海外では、
- アメリカ
日本と同じで修士2年・博士3年か修博5年。修博5年の場合は途中退学する学生に修士号を授与する制度を設けているところもある。
- ヨーロッパ
ドイツやフランスなど『ボローニャ・プロセス』に加盟している国は修士号は1~2年・博士号は3~4年で取れる場合がある。
またドイツでは伝統的に『作曲と演奏に博士号を授与しない』というルールがある。
入院と修了
大学院に入ることは、大学までと同様に「入学」という風に表現されることが多いが、大学院生の間では大学院入学が「入院」という風に自虐的に表現されることもある。
一方で、大学院の全課程を終えたことは通例「修了」という風に表現され、「卒業」という表現が使われることはほとんどない。
就職
特に理系の場合は修了のために多大な努力を要するにもかかわらず、就職においては大卒者に比べればもちろん、時には高卒者よりも敬遠される存在となる。文系の博士課程でよりその傾向が強く、理由としては職歴の割に高年齢であるために即戦力にならず、既存の人間関係に溶け込めない恐れがあること、一匹狼的な個人努力で人生経験を積んできた人材であるために体育会系的な日本企業の風土に合わない恐れが高いこと、人事担当者の学歴コンプレックス、地頭がよく口が立つために目上の人(特に大学院修了者が避けては通れない存在である年下の上司)に簡単に逆らうイメージがあることなどである。
このため、専門分野の研究職を溢れたポスドクが大量に非正規雇用に流入し、高学歴ワーキングプアと呼ばれる社会問題になっている。また、このような閉鎖的な企業風土のない/少ない海外企業への就職を試みる人間も多く、貴重な頭脳が海外へ流出してしまうという問題も起きている。