自他共に認める自動販売機マニアである彼は、交通事故から自動販売機を守って死んだ。
そこで人生を終える筈だった彼が目覚めたのは、自然豊かな湖畔だった。
何が起こったのか理解できない彼だったが自分が――自動販売機になっていることだけは理解できてしまう。
異世界の迷宮で一人……一台佇む彼が一人の少女と出会うことにより物語は動き始めるのだった。
概要
「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」とはウェブ小説投稿サイト「小説家になろう」にて、昼熊氏により投稿されているウェブ小説作品。角川スニーカー文庫より書籍化、電撃コミックスNEXTより漫画化されている。
イラストは加藤いつわ氏及び憂姫はぐれ氏、漫画は九二枝氏が担当。
なろう版本編は全277部で完結済。
中世ヨーロッパ風の剣と魔法の世界に自動販売機として転生してしまった主人公がヒロインと共に迷宮を歩み、様々な人々と協力し交友を深めていく物語。
様々な道具を生み出すことができるチート能力系の展開ではあるが、自動販売機である主人公は満足に移動することもできず、意思疎通さえも易々と行えないなど、一癖あるストーリーとなっている。
あらすじ
事故により命を落とした主人公は、気が付けば自身が自動販売機になっており、しかも自身のいる場所が異世界であることに気が付く。
しかし周囲にいるのは言葉の通じない魔物ばかりであり絶対絶命のピンチであったが、そこに空腹で倒れそうな女性がやってくる。
なんとか彼女との意思疎通に成功し、近くの拠点へと連れて行ってもらうことになった。
登場人物
- ハッコン
本作の主人公。自動販売機になってしまった転生者。
前世の記憶を持ち、移動することはできないが自動販売機に備わっている機能を任意に使うことができ、音声機能(「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」など)を駆使して意思疎通を行っている。
迷宮のど真ん中に転生してしまった自分を助けてくれたラッミスのことを大切に想っている。
機転が利き、自動販売機の商品を使って危機を脱することもしばしば。
なお、中身を飲食して空になった容器は消えるようになっている。
- ラッミス
本作のヒロイン。ハンターの女性。
空腹で倒れそうな際に主人公と出会い、彼をハッコンと名付けて以後共に行動するようになる。
『怪力』の加護の持ち主であり、岩を素手で砕き、重さ数百kgはあるハッコンを一人で軽々と持ち上げ背負うことができるほどの尋常ならざる膂力をもって徒手空拳で戦うのだが、余りに力が強すぎるため空回りしていたが、ハッコンを背負うことで重心が安定しその暴力を存分に振るえるようになる。
命の恩人であるハッコンのことを大切にしており、半ば依存しているような様子を見せる。
純朴で少々騙されやすい性格の持ち主だが人の表情の機微には敏く、限られた音声機能の組み合わせでしか会話ができないハッコンの意図を上手く読み取ってくれる。
用語・設定など
- ポイント
自動販売機の商品の仕入れや拡充、新しい機能の追加など様々な用途で用いられるもの。
身体の維持にも使われており、何もしていなくても電力の代わりにこのポイントが消費されている。
自動販売機の商品を購入してもらうことで入手することができるため、商品を販売してポイントを稼ぎ、新しい機能や種類の商品を入荷することで、さらに顧客を増やしてポイントを稼いで……という好循環を繰り返すことが目下の課題である。
「自動販売機で売られている」ものであれば何でも仕入れることができるが、主人公がその自動販売機の存在を知っていなければならない他、自動販売機の形状そのものを変化させる必要のある商品(冷凍食品の解凍機能、カップラーメンのお湯を出す機能、卵の自動販売機など)の場合は必要なポイント数が多くなる。
- 迷宮
主人公らが活動している場所。
森があり川が流れ青空すら存在する場所だが迷宮内であり、実際には屋内。
様々な魔物が生息しており、その討伐を生業とするハンターらが拠点とする集落などもある。
- 加護
その人物に備わっている特別な能力。複数の加護を持つ者もいる。
関連タグ
転生したら剣でした:同じく主人公が無生物に転生する作品。自分一人では行動できないため、ヒロインと共に行動する必要がある点も類似する。