転生したら剣でした
てんせいしたらけんでした
2015年10月17日から2024年2月29日まで『小説家になろう』で連載されていたファンタジー小説。原作は棚架ユウ。
2016年にマイクロマガジン社のGCノベルズで書籍化された。イラスト担当はるろお。
幻冬舎の無料Web漫画雑誌『デンシバーズ』にて2016年より丸山朝ヲによる作画で漫画版も連載し、単行本も出ている。2019年1月からは連載先を『comicブースト』に移している。
2021年9月時点で小説版は12巻、漫画版は10巻まで刊行。
短編小冊子等の特典の付いた特装版も出ている。
また、2020年5月から『コミックライド』にてスピンオフ漫画の『転生したら剣でした Another Wish』も連載されている。2021年9月時点で3巻まで刊行。
作画はいのうえひなこ。
ファンの間や、Pixivタグで使われている略称は「転剣」
※本項では、書籍版の内容を基本とします。
主人公が謎の魔剣に転生するという、「異世界転生」の一種「無機物転生」を題材としており、相棒の少女と共に旅をし、旅先で様々なトラブルに巻き込まれたりしながらお互いに強くなっていくというロードムービー的な要素も兼ね備えている。
そのためか、レギュラーキャラクターは主人公一行3名のみと極めて少ない。
また、主人公たちは周囲から見れば十分すぎるほど規格外の強さを持っているのだが、世界でも屈指というほどではなく、自分たち以上の強敵と戦うことも多いため、苦戦する場面が多いのも特徴。
本編
現代日本の社会人だった主人公は、交通事故で死に、気が付くと異世界に転生していた。しかも平原にある台座に突き刺さった正体不明の剣として‥‥。
自力で浮遊し、倒した魔物の「魔石」を吸収する事で成長することが判明した為、しばらくは成長するために魔物狩り三昧の日々を送っていたが、ふとしたことから魔力を吸収する「枯渇の森」の地面に刺さり、動けなくなってしまう。
途方に暮れていたところ、魔物に襲われている奴隷商人の一団が通りかかる事態が発生。
商人の盾にされて次々と奴隷は殺されていくが、最後に残った黒猫族の奴隷の少女が「剣」を抜き、「剣」は少女に自分のスキルを貸し与える事で魔物を倒す事に成功する。
だが生き残った奴隷商人が「剣」を無理矢理取り上げようとしたため、怒った「剣」は商人を殺害し、奴隷契約書を破壊して少女を奴隷から解放する。
商人から取り上げられていた名前「フラン」を取り戻した少女。
彼女は黒猫族の悲願である「進化」を果たすために強くなりたいと願っていた。フランを気に入った「剣」は彼女の力になることを誓う。
こうして、フランと彼女に「師匠」と名付けられた「剣」は、冒険者となって互いに強くなるための旅を始めるのだった。
Another Wish
久しぶりにアレッサの街で活動していた師匠たちだったが、3年に一度現れるという幻のダンジョンの探索を行っていた。
その最奥で見つけた大きな鈴をフランが何気なく割ったところ、まばゆい光に包まれ……。
気が付けば師匠はどこかの国の国宝として保管されており、何故かアマンダがそこの王女となっている上に子供嫌いに性格が変わっていた。
混乱しながらもなんとか合流したフラン&ウルシと師匠の前に、小鳥の姿になったあの鈴の意識体が声をかけた。
フランからは「カラアゲ」と呼ばれることになったその鈴の正体は「願いの鈴」という願望器であり、破壊されたことで師匠たちは並行世界に飛ばされていたのだ。
元の世界に戻る方法は様々な世界に飛ばされた鈴の欠片を回収すること。
そのためには欠片と同化、装備状態になっているその世界の住人の願望をかなえなければならなかった。
かくして、師匠たちの並行世界を渡り歩く新たな旅が始まるのだった。
※具体的な時期は不明だが、「進化ができない」という旨の発言があるので、フランが進化できるようになった書籍版5巻以降と思われる。
また、ランクがCである事に加えて、装備が黒猫シリーズである事から、書籍版の11巻以前とも思われる。
だが、そうなると書籍版ではフラン達の行動履歴はかなり過密スケジュールで、アレッサに戻る暇はろくに無かったので、色々と時系列が合わなくなる。
そのため、恐らくこの『Another Wish』の基本世界自体が、本編とはまた別の並行世界である可能性が高い。
実はアニメ1期の範囲ではろくに登場していなかったりする。
地球のことばや文化と共通する点がたくさんあるが、これは異世界ジャガイモ警察案件ではなく
作中世界の創造に関わる案件である。
- 魔石
- 神剣
- 邪神
- 神々
作中世界を創造した存在。
その正体は「あんなところやこんなところやその他のありとあらゆる場所からこうした存在」(ネタバレ注意)。
作中世界に地球とよく似たものが少なくないのはそのためである。
ただし特定の神がまるっと「こうした」訳ではなく異なる側面が分離し、同じ側面同士が融合して生まれ変わったためかつてと同じ存在というわけではない。
かつていた場所と異なり、歴史上度々姿を表して公の場で自ら奇跡や神罰を行使しているため、作中世界では神は実際に見た者はまずいないが、実在の証拠があり歴史に大きな影響を残している存在となっている。
かつていた場所とは異なり面倒見がよくヒトに対して親身だが、やはり時間感覚や倫理観については人間のそれと程度の差はあれ剥離している(非人型の神ほどその傾向が強い)。
酷い例になると、種族全体に連帯責任で神罰が下る大罪を犯した一味を種族総出で処罰して神に必死に許しを乞い放免された…と思ったら許されておらず50年ものタイムラグの後に神罰が下った、というものもある。
- スキル
冒険者ランク
G~Sの8段階。アルファベットなのは上記の地球絡みの事情だと思われる。
ランクが上がれば上がるほど次の昇級には個人の実力以外の厳しい条件が追加され、
最終的には指揮官としての能力が求められたり、逆に実力を隠蔽・偽装する能力を持ってて当たり前という状態になる。挙句の果てに各国の政治的思惑が絡みだすため、ランクと実力は必ずしも一致しない。
一般冒険者
- E:「1人前、胸を張って冒険者を名乗ってよし」
- D:「中堅、パーティリーダーもやるよ」
- C:「ベテラン、一般人から見たら超人」
一般人が到達できる事実上の最高ランク。他所で言う銀等級。
一般人が、といっても素行や実績は加味されるため、
悪党はよほどの事情(Aランクだったがどこぞの国から指名手配を受けたので降格されたなど)がなければCにも到達できない。
上級冒険者
- B:「トップクラス、小さいギルドはBが一番上」
ここより上は冒険者としての能力だけでは昇格不可能。
具体的には宮廷作法やお偉いさんの後ろ盾などが必要になってくる。
これはBともなればギルドの看板として一挙一動が冒険者全体の風評に関わる上、
実力故に各国の政府や貴族からも指名依頼が入りはじめる(そして専属として懐柔しようとする)ため
「荒くれ者の冒険者」では荷が勝ちすぎてしまうようになる。一方でAとSを見てもらえばわかるように冒険者らしい冒険が許される限界でもある。
- A:「英雄、国に数人、一般人も名前を知ってる」
一人で一国を滅ぼせる。かろうじて人間扱いしてもらえる限界。
存在するだけで抑止力となるため、各地のギルドマスターの合議の末にようやく昇格が認められる。そのためギルドマスターに国家や貴族の息がかかっていたり、支部が腐敗していたりで拒否されるなどした場合は昇格が難しくなる。
昇格したらしたで「このAランクは今どこにいるか」という情報のものが軍事的な意味合いを持つため、後述のSランクよりはマシだがアマンダのように行動を制限されることも少なくない。
また、ギルドや組織から身の安全の心配をしてもらえることもない模様。
最上位:Sランク
「神話級、世界に8人、王様も頭を下げる」。
聞こえはいいが、その実態は歩く核兵器、生きる自然災害に認定されたと同義。
認定されたが最後、徹底的に行動を制限されまともな生活はまず送れない。
実際には王道制限など到底無理な強さなのだが、その強さ故に
「テメーのシマにSがいるのは、Sに俺等を滅ぼす依頼をしたに違いない」
「だから俺らは自衛のために先手を打ってお前らを滅ぼす」
と居場所がバレただけで自身の意志に関係なく戦争の口実にされうるため、積極的に戦争を推し進めている国(及び組織)でもなければ高レベル放射性廃棄物にも等しい厄介者扱いをされてしまう。
そのためSランク冒険者は自分の領地を持って引きこもったり、意図的に消息を絶ち人里離れた場所に隠れ住むといった対処を余儀なくされる。
また、Aランクまでとは一変して神剣所有者は無条件でSランクに認定されて“しまう”。
それにもかかわらず8人しかいないのは神剣使いの多くは自由に動けなることを嫌って
基本的にその正体を隠しているためである(隠し通すだけの能力を持ち得ているということでもある)。
2021年9月24日、TVアニメ化が正式に発表された。
2022年秋アニメとしてTOKYOMX、朝日放送、BS朝日にて放送。また、ABEMAでは地上波1週間先行配信・独占配信。
第1期は2022年10月から12月まで全12話で放送。漫画版の要素を入れつつ、アレッサの街を旅立つまでの原作小説2巻中盤までの話が放送された。
第1期終了後、第2期の制作が決定した。
本作のTVCMのナレーションは転剣と同じGCノベルズから書籍化された転生したらスライムだった件の主人公・リムル=テンペストの担当声優岡咲美保が喋っている。
関連作品
- 転生したらスライムだった件:同じ原作レーベルにおけるなろう原作の異世界転生もの繋がり。前述の余談も参照。
- 勇者パーティーを追放されたビーストテイマー:同時期にアニメが放送されたなろう原作の作品。メインヒロインが獣耳な上に円盤の発売会社まで共通している。
- 不徳のギルド:またも同時期にアニメ放送された作品。同じくメインヒロインが獣耳であるが、作風や展開がうらやまけしからんどころではない為、本作のフランがこの作品のヒロイン達のような目に遭ったらガチでシャレにならない。
- 自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う:同じく主人公が無生物に転生するなろう作品。(基本的に表立っては)自分一人では行動できないため、ヒロインと共に行動する必要がある点も類似する。
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