概要
ギリシア神話に登場する半人半鳥の怪物。猛禽の胴体に人間の女の上半身を持つ。
父は大洋神タウマース、母は水の女神達オケア二スの一人エレクトラ。
名はギリシア語で「掠め盗る女」を意味する。
一般に大神ゼウスの手下とされている。
元々はクレタ島に伝承される風の精霊だったと言われ、古書には「暴風と共に飛び、群雲の乳を搾る」と記されている。“雲の乳を搾る”とは雨を司る事を詩的に表現した記述。
英語圏では「ハーピー」と発音し、日本ではこの通称の方が有名。
複数形だとハルピュイアイになる。
名が残されているハルピュイア
アエロー(Aello 疾風)
オーキュペテー(Okypete 速く飛ぶ者)
ケライノゥ(Kelaino 黒い雲)
ポダルゲー(Podarge 足の速い者)
以上の4姉妹が有名。
文献によってはアエローとオーキュぺテーの2姉妹、或いはそれにケライノゥを加えた3姉妹とする事もある。
ハルピュイアが登場する作品
『アルゴー号の探索(アルゴナウタイの冒険)』(イアーソーン)
神々に不敬の罪を着せられ、盲目になった預言者・ピネウスを苦しめるエピソードが有名。作中では老婆の顔、熊の耳、ハゲワシの翼、大鷲の爪を持つ。食欲旺盛で意地汚く、その上食い散らかした残飯や残った食糧の上に汚物を撒き散らすと言う、この上なく不潔で下品な怪物と描写されている。
『神曲』地獄篇(ダンテ)
地獄第七圏第二の環「自殺者の森」において極卒の役割を担う。「自殺者の森」では自ら命を絶った者が樹木に変貌させられ、ハルピュイアに夜と無く昼と無く枝葉を毟られ、その身を啄ばまれる。
※余談だが、神々の女王ヘラの侍女である、虹の女神イリスはハルピュイアイの姉に当たる。
姉妹で差がありすぎる気もするが、もともとは神の血筋のため、ハルピュイアイも美しく描かれることが多かった。