データ
基準排水量 | 5,200トン |
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満載排水量 | 6,800トン |
全長 | 159m |
全幅 | 17.5m |
深さ | 11.0m |
喫水 | 5.3m(「くらま」は5.5m) |
主機・推進機 | 石川島播磨重工業製蒸気タービン(ギアード・タービン方式、出力:35,000馬力)×2基、スクリュープロペラ×2基 |
最大速力 | 32ノット(「くらま」は31ノット) |
航続距離 | 20ノットで6000海里 |
兵装 | 73式54口径5インチ単装速射砲×2基、シースパロー短SAMシステム8連装発射機×1基、アスロック8連装発射機×1機、高性能20mm機関砲×2基、3連装短魚雷発射管×2基 |
レーダー | OPS-12(対空捜索用、3次元式)×1基、OPS-28(対水上捜索用、2次元式)×1基 |
ソナー | OQS-101(艦首装備型)×1基、SQS-35(可変深度型)×1基(「しらね」のみ、後日SQR-18Aに更新)もしくはSQR-18A(曳航型)×1基(当初「くらま」のみ、後に「しらね」も後日搭載) |
搭載機 | 哨戒ヘリコプター(HSS-2A/B→SH-60J/K)×3機 |
概要
先代のはるな型護衛艦の発展型であり、イージスシステム搭載DDGであるこんごう型護衛艦が建造されるまでは、海上自衛隊最大の護衛艦で、名実共に海上自衛隊の顔であった。なお、設計に蒸気機関及びマックを採用した自衛艦は本型が最後である。
はるな型と同じく哨戒用ヘリコプター3機を搭載する格納庫と離着艦用甲板が船体後半部分を大きく占めているため、それ以外の艦上構造物が船体前部寄りの特徴的なシルエットとなっている。また、固定兵装も船体前方の艦橋前部に集中配置されている。
一方で、全体的な構造を踏襲しつつも離着艦用甲板が若干拡張され、指揮管制能力向上を図り艦橋構造物が1層追加されて大型化している他、艦外に装備するアンテナや電子機器がはるな型と比べて大幅に増加したため、マックも2本に増設された。また、護衛艦としては初めてシースパローミサイルを装備した他、2番艦の「くらま」からはこれも護衛艦初となる高性能20mm機関砲(CIWS)を搭載した(CIWSは「しらね」にも後日装備の形で搭載された)。
システム的な面で特徴的なのは、護衛艦で初めてデータリンクであるリンク11や海洋戦術情報システムへの対応がされた点である。レーダーも、対空捜索用の3次元式のOPS-12・対水上捜索用のOPS-28と、いずれも新規開発された国産品が搭載された。またソナーも艦首に新開発された国産のOQS-101が搭載された他、しらねは可変深度式のものを、くらまが曳航式のものをそれぞれアメリカから輸入して搭載し、自ら音を出し潜水艦を探すアクティブ式から相手の音を拾うパッシブ式の対潜作戦へのターニングポイントとなっている。
なお、これらのうちOPS-12とOQS-101は本型のみの搭載となった(前者はたちかぜ型護衛艦「さわかぜ」に搭載が検討されたがターターシステムとの連接条件に不明点があるという理由から没になり、後者ははるな型への後日搭載が検討されるも大重量であることから実現しなかった)。一方、OPS-28は、継続的な改良を行いつつその後の護衛艦に搭載されている。
はるな型同様、開発当初から旗艦前提の設計で建造された上、VIPの接遇可能な公室を備えた新鋭艦だったことが幸いし、しらね就役後の1981年からからくらま退役直前となる2015年の間に挙行した観艦式において全てしらね型が観閲艦を務めた。
ヘリコプター搭載護衛艦としては、全通甲板と搭載・整備・運用能力を大幅に強化し指揮能力を加えたひゅうが型護衛艦が後継艦となっている。護衛艦ひゅうがが就役した同日に護衛艦はるなが退役し、同時に第1護衛隊群旗艦であった護衛艦しらねも護衛艦ひゅうがと交代し第3護衛隊群旗艦に転属となった。現在の海上自衛隊ではひゅうが型護衛艦のDDHを中心としたグループとイージス艦のDDGを中心としたグループとして運用する等の護衛艦隊の体制変更や新DDHに順次代替する予定であることから、今後の機動艦艇はひゅうが型同様の全通甲板型のヘリコプター搭載護衛艦、汎用護衛艦、イージスシステム搭載ミサイル護衛艦を主とした運用と新造へと移行し、旧来のヘリコプター搭載護衛艦であるしらね型はその役目を終え、ひゅうが型以降に引き継いでいくことになる。
艦名は山岳名である「こんごう」と「きりしま」になる予定だったが、当時の防衛庁長官だった金丸信が、自らの選挙区にある白峰三山北岳の俗称、白根山からとって、「しらね」とすることを推したため、このような変則的命名となった。「こんごう」「きりしま」は、後にこんごう型護衛艦に採用された。