はるな型護衛艦
はるながたごえいかん
1967年~1971年までの軍備計画である「第3次防衛力整備計画」にて計画された旧来型護衛艦(対潜水艦掃討に重点を置いた護衛艦)であり、海上自衛隊ひいては日本初となる「ヘリコプター搭載護衛艦」である。
最大の特徴は船体後部を全て航空甲板とすることで3機の哨戒ヘリコプターを搭載、甲板前部に1機を駐機させつつ、後部発着スポットでもう1機を発着艦させることができことである。着艦拘束装置としてカナダ海軍の開発したベアトラップ・ システムを採用している。
「駆逐艦で大型の哨戒ヘリを運用する」という発想は既にカナダ海軍で実績はあったが、駆逐艦サイズでの搭載数は2機が限度であり、3機以上の搭載は最低でも巡洋艦クラスのサイズが必要であった。
それを「基準排水量4700トンで3機の運用」というのは世界的に見ても非常にユニークであった。4700トンは旧日本海軍における軽巡洋艦相当ではあるが、現在の海上自衛隊が保有するこんごう型護衛艦の半分以下でしかない。
これは、中型ヘリのシコルスキーS58を2機、小型ヘリのベル47G2機を輸送・哨戒用にそれぞれ搭載し「ミニ空母」と呼ばれていた海上保安庁の巡視船(南極観測船)「宗谷」(4200トン)の運用実績を参考にしたものである。
上記の通り哨戒ヘリコプター3機を運用できるという機能から、海上自衛隊の「新八八艦隊」の各護衛艦隊旗艦として活躍し、ベアトラップについても改良を行いながら本型以降のヘリコプター搭載能力を持つ護衛艦の殆どに搭載されるなど、技術面でも発展に寄与している。
同型艦はネームシップの「はるな」と二番艦の「ひえい」で、共に太平洋戦争で名を馳せた金剛型戦艦榛名・比叡の名を引き継いだ。
退役した後のはるなは、2010年に広島県江田島市の解体工場にて海上解体されたのだが、江田島は前代である「榛名」が終戦を迎えた地でもある。