概要
海上自衛隊が1980年代に検討していた護衛艦。別名「DDV」「要撃機搭載護衛艦」とも。
満載排水量20,000トン程度の船体に全通甲板を持たせ、シーハリアー(ハリアーの艦上機型)を要撃機として搭載し、艦隊防空を担う空母として検討が行われていた。
1986年の昭和59年度中期業務見積り / 59中業に盛り込まれる予定だったが、搭載予定だったシーハリアーは戦闘機としては能力不足で導入を見送られ、1986~1990年の昭和61年度中期防衛力整備計画 / 61中期防にてハリアーの発展型の導入が検討されたが、国内外から強い反発が予想されることから防衛庁内局を中心に強い反対意見が出たため、DDVの計画は頓挫した。
艦隊防空の問題は1990年代に日本初のイージス艦「こんごう型護衛艦」の就役で解決したが、DDVのような空母様の護衛艦は、2021年にヘリコプター搭載護衛艦のいずも型護衛艦「いずも」の飛行甲板でアメリカ海兵隊のF-35Bが発着艦試験をするまで待たねばならなかった。
なお、いずも型護衛艦は基準排水量19,500トン~満載排水量26,000トンであり、計画されていた航空機搭載護衛艦よりも大型となっている。
どちらかといえば、ひゅうが型護衛艦の方が基準排水量13,500トン~満載排水量19,000トン(推定)でありサイズとしては近い。
スペック
- 排水量:15,000~20,000トン前後
- 搭載機:シーハリアー(あるいはそれに相当する戦闘機)10機前後、早期警戒ヘリコプターおよび対潜哨戒ヘリコプター数機
関連タグ
2次防CVH:1950~1960年代に海自が計画していたヘリ空母。DDVが検討で終わったのに対し、こちらは計画段階まで進んでいたが、DDVと同じく頓挫している。
空母いぶき:かわぐちかいじの漫画。自衛隊初の空母「いぶき」が登場するが、同艦の艦種は航空機搭載護衛艦、艦種記号はDDVであり、モデルにしたと思われる。