※メイン画像は海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦であるが、ヘリ空母に性格が近いため選んだもの。
概要
ヘリ空母(ヘリコプター空母の略)は、空母のうち、ヘリコプターの運用を専門にするものを指す。ヘリコプター揚陸艦との区分は曖昧で、正規空母・軽空母とは固定翼機の運用機能を持たないことで区分される。
来歴
第二次大戦後、アメリカ海軍および海兵隊では、核戦争下でも迅速な揚陸ができる方法を模索していた。その方法として、従来の揚陸舟艇に変わり、ヘリコプターを用いることが考えられた。そのためのプラットホームとして、1955年、護衛空母セティス・ベイを大改装し、強襲ヘリコプター空母(Carrier Vessel,Helicopter,Assault)として運用したのが、ヘリ空母の始まりであるとされる。
なお、この運用方法は現在ではヘリコプター揚陸艦のそれに当たるものである。実際、艦種としてのヘリコプター揚陸艦が生まれると、セティス・ベイはLPH(Landing Plattform Helicopter)に艦種変更される。ヘリコプター揚陸艦はのちにウェルドックを備えた強襲揚陸艦へと発展した。
フランス海軍の運用していたジャンヌ・ダルクやイタリア海軍のヴィットリオ・ヴェネトなど、多数のヘリコプター運用が可能な巡洋艦もヘリ母艦扱いされることがある。
特徴
- ヘリコプター複数機を離発着可能な広い飛行甲板を持つ。
- ヘリコプターの運用に特化している(CTOL機やSTOVL機を運用しない)
- ヘリコプターの整備・補給能力を持ち、複数のヘリを長期運用可能。
これらは全てヘリコプター揚陸艦にも共通する特徴である。実のところ、ヘリコプター揚陸艦とヘリ空母は設計の相違ではなく、搭載したヘリで何をやるかによって区別されていると言える。この点で、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦は、ヘリコプターを対潜任務などに充て、揚陸を主任務としていないため、ヘリ空母に近い存在である。