CV:皆川純子
人物
「ケダモノランドグループ」の総帥。「おひねりちゃん(上納金)」や調教などの厳格な制度で、恐怖政治を敷いている。
冷酷な人物で、組織の足を引っ張ると判断すれば、切り捨てたり、さらに上位幹部など身内ですら粛清を厭わないなど、グループ維持のためには手段を選ばない。
あまり感情的にならない、いわゆるポーカーフェイス。
作中の動向
4話の総会で、壇上に立った「コンコンカフェ」(萌え萌え序列では上位の幹部クラスの店)の店長の金策の腕を褒めた直後、おひねりちゃんを着服したことでその場で射殺する。
グループ内でも売り上げ底辺の「とんとことん」が、同傘下の優良店「メイドシープ」を潰す事件が発生し(ただし原因は「メイドシープ」側にあった。詳細は薫子の記事を参照)、懲罰も兼ねる形で、第6話で「とんとことん」に「メイドリアングループ」への単独でのカチコミを命じ、切り捨てを図る。
それと同時に「メイドリアン」代表の宇垣和枝に対し、「ケダモノランド」と「メイドリアン」の合併を持ち掛ける。合併の条件は、「メイドリアン」の問題児と化していた愛美を排除する事であり、抗争を望まない宇垣はその申し入れに乗って、見捨てられた愛美は「とんとことん」に倒される。
しかし愛美の亡き後、合併に反対するタカ派が去った「メイドリアン」は大幅に弱体化しており、「ケダモノランド」側にとって一方的に有利な条件を突きつけられても呑まざるを得ず、「メイドリアン」は実質的に吸収され、消滅した。しかし凪は、愛美と共倒れになればよいと目論んだ「とんとことん」が無事だったことは忌々しく思っている。
先の一件の手打ちとして行われた、「とんとことん」と「メイドリアングループ」改め「ウーパールーパーズ」との親善野球試合。この試合には凪もスタンドで見守った。そんな凪の眼前で、宇垣が愛美の仇討ちを図ったみやびに殺害される。こうして、邪魔だった宇垣とみやびが共倒れする形となり、凪にとっての敵は完全に一掃された。
ただ「ひとり」を除いて…
試合後、凪は嵐子と15年ぶりの邂逅を果たす。そこで、凪はグループへの「忠誠」、明るく振る舞う店員としてのメイドの時代は終わったとして、銃を手に取るべきだと語りかける。
しかし、その凪の問いに対して嵐子は答えなかった…。
アキバを統一した記念でアキバメイドフェスティバルを開催し、メインイベント「お萌様登り」で自身の直営店である「ギラギライオン」を優勝させるために取り立て屋を通して八百長に関する手引書を他店舗に渡して出来レースを指示。他店舗が報復を恐れて従う中、「とんとことん」は店長の靖子が手引書を確認していなかったため「とんとことん」メンバーはそのことを知らず、本気で勝負を挑んで「ギラギライオン」を制して「とんとことん」が優勝し、生態系が崩されてグループ店舗のトップから転落してしまった。
何も知らない「とんとことん」と観客は歓声を上げる一方で、メイド達は動揺と戸惑いが隠せない中、表彰式で優勝を手にしたなごみら「とんとことん」を表向きは讃えた。だが、「とんとことん」以外のメイド達に向けて「お萌様となったメイドが、その栄誉に本当にふさわしいのかすぐに証明されることになるだろう」と発言し、暗に報復宣言とも思える内容にメイド達を慄かせた。
その後、八百長の指示を徹底しなかった取り立て屋を射殺し、すべてを台無しにした「とんとことん」に、凪としては珍しく、怒りの形相を浮かべていた。
過去
かつて、嵐子とともに「侍女茶館」のメイドとして所属していた。そして、ラーメン屋「怒羅磨」の大将の仲人のもと、「姉妹の契り」をかわす。
しかし、美千代の専守防衛の方針を守るべきとする嵐子と、積極的に戦っていくべきとする自らの考えが対立、「姉妹の契り」を破棄してしまう。
美千代が射殺された際、運転手をしている姿が見受けられる。
なお、「凪」は本名ではなく、当時を知る嵐子や「怒羅磨」の大将からは「ウズコ」(渦子?)と呼ばれている。
※彼女の衣装をよく見ると、侍女茶館時代の衣装が闇堕ちしたかのようにデコられているようにも見える。
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ネタバレ注意
※10話以降のネタバレがあります
10話で、美千代の射殺を指示した黒幕と判明。
おそらく、彼女が美千代の周りが手薄となる暗殺実行日を実行犯のメイド(現在、パンダの御徒町)にリークし、美千代射殺後はそのメイドを「殺し屋」の末広に始末させていた(しかし、口封じは失敗し、今日まで「とんとことん」で彼女は働いていた)。
出所していた嵐子を懐柔しようとする一方で、末広に嵐子の始末を依頼して接近させていた。その後の「お萌様登り」で面子を潰された不始末から一刻も早く末広に嵐子の始末させようとしていたが、末広は途中で本気で嵐子を愛してしまい駆け落ちしようとしたため依頼を放棄してしまう。その後、過去の清算に来た御徒町によって末広は殺害され、その末広から凪が美千代殺害を指示した黒幕であることを聞いた御徒町によって、過去の真実が嵐子に伝えられる。
11話で凶行に走った理由が、美千代の方針では「侍女茶館」のメイド達が命の危機にさらされると、最悪全員皆殺しにされると、店よりも仲間達の命を優先に考え、ならば誰よりも尊敬する美千代を亡き者するしかないと苦渋の決断をしたと語っていた。
その後、御徒町を襲ってパンダの着ぐるみをラジオ館の電飾看板に磔にし、パンダの頭に絶縁状を貼り付け、「とんとことん」に「ケダモノランドグループ」からの絶縁を叩き付けた。その後も他店舗のメイド達を使って営業妨害を行い、さらに窮地に立たせた。
しかし、「とんとことん」が「ギラギライオン」を襲撃してエースを人質に取って立て籠もりを起こした際、知らせに来た幹部に対し、人質や直営店であることを意に介することなく非情に「殺せ」とだけ命令して他の幹部達を慄かせる。
だが、それを陽動と見抜いて大勢のメイド達を本社に待ち伏せさせ、本社に侵入した嵐子となごみを確保すると、武器を取り上げるがそのまま自分がいる部屋に通した。
なごみにお萌様の称号と人形を返却されるがその人形でなごみを殴り倒すと、嵐子に拳銃を投げて嵐子のための幹部の席を用意する代わりに「とんとことん」を始末しろと取引し、自分の部下になれば富も名声も将来も約束され、昔みたいに一緒にメイドをやろうと勧誘する。だが、嵐子はそれを固辞し、自分の命と引き換えに「とんとことん」の絶縁を解除してほしいと土下座して懇願する。
それに激怒した凪は飾っていた日本刀を抜くと嵐子の右手を突き刺し、どうしてそこまで「とんとことん」に拘るか聞き、嵐子は家族のような楽しさがあると答えた。その答えを聞いた凪は高笑いすると、なごみに詰めろ(髪を切り落とせ)と命令する。なごみはすぐに従って日本刀を受け取ってツインテールの片方を切り落とそうとして嵐子がそれを止めようとしたため、なごみは嵐子にとって大切な存在と見抜いた凪は、日本刀を奪ってなごみを人質にして刃を向け、嵐子に自分を殺すかなごみを見殺しにするか天秤を懸けて選択を迫る。
激昂した嵐子に銃を向けられるが、なごみが必死に説得して我に返り、嵐子から涙ながらに「とんとことん」は自分の家だと主張し、改めて自分の命と引き換えに「とんとことん」の絶縁の解除を懇願された。その様子にかつての「侍女茶館」時代の日々を思い浮かべた凪は、凪の勧誘を諦めてなごみを解放すると、おひねりちゃんを今までの10倍納めることで手を打ち、「とんとことん」の絶縁を解除した。
そして、二人の去る際に、嵐子から「ぜひ「とんとことん」に来てみてください。「とんとことん」は、いつでもご主人様のお家になりますブー」とお願いされるが、二人が部屋から出て行った時に「誰が豚小屋なんかに行くか」と呟いた。
だが、それが嵐子との今生の別れになるとは、予想もしていなかった……
末路~変化に葛藤した“孤独な少女”~
嵐子の死後、その犯人の元「チュキチュキつきちゃん」メイドが引き出される。しかし、凪は「何が楽しいメイドだ」と吐き捨て、不問に付した上、「とんとことん」壊滅を指示する。この二転三転する凪に、幹部からは不満の声が上がり、孤立していく。しかし、凪はそんな不満分子を容赦なく粛清し実行に移す。
「とんとことん」に乗り込むのを前に、「怒羅磨」の大将に立ち退きを求める。このとき大将が口にした嵐子の話に激昂した凪は大将を射殺する。
いよいよ「とんとことん」へと乗り込んだ凪。
しかし、そこには明るい笑顔で出迎える「とんとことん」の面々がいた。それに対し、凪はすぐには手を下さず、メンバー全員に着席を命じ、全員分の飲み物を注文している。
そして、なごみの“命を懸けた”最後のライブが始まる。
凪はなごみのキレのないダンスに、愚痴るように呟く。しかし、凪はかつて嵐子に同じようなことを言っていたことを思い出す。不意に苛立った凪は、なごみへ銃弾を撃ち込む。
なごみは一瞬怯んだが、それにも負けず、歌い続ける。次第にメイド達も感化されて合いの手を入れるなど声援へと変わっていく。
そして、なごみが歌いきると、直営店のエースメイドをはじめ数人がなごみを讃えて拍手を送るが、それに苛立った凪はエースメイドを射殺し、なごみに「糞みたいなメイドだ。お前は嵐子に似ている」とけなす。
しかし、その言葉を褒め言葉として受け止めたなごみ。
さらに、なごみは暴力のしない平和なメイドを訴える。だが、凪はそれを「綺麗事」だと一蹴する。
そんな凪になごみは「寂しくないですか」と訴えかけ、絶縁騒動の際、会長室を出る嵐子が、去り際に口にした言葉を語りかけられる。
これに激昂した凪はなごみに向けて乱射する。
しかし…
翻意した元「チュキチュキつきちゃん」メイドに頭を撃ち抜かれる。さらに、止めに御徒町が投擲した竹槍を胸に刺し抜かれた凪は絶命、あっけない最期を迎えたのであった。
過去(ネタバレ)
かつて凪(渦子)は浮浪児で、美千代が拾った子だった。当時、美千代は武闘派として名を馳せており、「何かに飢えた目をした」渦子を見込み、後継者として育てようとした。
そんな美千代に、凪も美千代が見せる「戦うメイド」に憧れを強めていく。
しかし、「侍女茶館」に嵐子が入ると一変。純粋な嵐子から感化を受けた美千代は非暴力路線へと変更する。
これを受け入れられなかった渦子は、美千代を嵌め射殺、自らが憧れていたかつての美千代の武闘派路線をひた走っていった。
だが、15年を経て嵐子が出所、「侍女茶館」と同じ場所に出来ていた「とんとことん」に入る。
凪はそんな「とんとことん」と嵐子を強く意識していく。
そして、凪は「とんとことん」に「絶縁」を突きつけるが、その解除を求めてきた嵐子の涙ながらの訴えに、かつての「侍女茶館」での日々が楽しかったことを思い出す。
不意に気持ちが醒めた凪は、「絶縁」を解除する。
しかし、嵐子が殺害されると、「やはり暴力が全てである」と思ったのか、犯人を不問に付し、「とんとことん」を潰すと宣言。
その後の凪も、首尾一貫しない行動が目立つ。
あの時の、「義妹(いもうと)」・嵐子の涙ながらの訴えに、葛藤し、心ここにあらずだったのかもしれない。
凪は「とんとことん」に乗り込むが、扉を開けると、「侍女茶館」とその衣服を身に纏った嵐子に撃ち抜かれる錯覚を目にするが、これはそんな凪の思いを投影したものだったのかもしれない。
そして、なごみが口にした、“嵐子の言葉”に激昂し乱射するが、皮肉にも嵐子を殺害した元「チュキチュキつきちゃん」メイドと美千代を殺害した御徒町の手にかかり死亡する。
かつての美千代の姿(幻影)に憧れ続けた少女は、その変化を、葛藤しながら、最期まで受け入れることが出来なかったのかもしれない…。