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飯落の提言の編集履歴

2023-03-21 22:14:30 バージョン

飯落の提言

めしおちのていげん

飯落の提言とは、怪奇創作サイトSCP_Foundationに登場する異常存在の1つである。

概要

アイテム番号:SCP-001-JP


オブジェクトクラス:Anomalous→Keter→Apollyon


旧特別収容プロトコル

SCP-001-JPは現在、サイト-8181の管理官室の壁にあります。

SCP-001-JPは基底現実に進行中のKクラスシナリオの原因だと考えられています。よって収容は無意味であり、SCP-001-JPの影響外にいる平林管理官には事態の解決が求められています。


特別収容プロトコル

SCP-001-JPの収容は不可能です。

説明

SCP-001-JPは〇〇社製のアナログ式壁掛け時計と考えられています。その時計に数字や目盛りはありません。分解をしようとしましたが、オブジェクトの破壊耐性により失敗しました。


SCP-001-JPの秒針は最も近くにある人物の心拍数と同じ運針を行います。針が一周するのにかかる時間は変わらないので時刻のずれは発生しておらず、短針、長針には異常性がありません。この動きは時計の電池を外した時も行われます。


実験により、他に異常性が確認されなかったことから当初、SCP-001-JPはAnomalousに分類されて、サイト管理官の希望によってサイト-8181管理官室に設置されることになりました。

しかし、2019/03/31 23:50に発生した事案によって新たな異常性が発見されて、緊急性の高い事案であると判断され、SCP-001-JPのナンバーが割り振られました。このナンバリングは平林管理官による独断であり、仮に決められたものであることを留意してください。


2019/03/31 24:50

心拍がSCP-001-JPと連動していた人とその人の周辺を除く確認可能な空間、物体が全て静止しました。

この状況からSCP-001-JPの新たな異常性が原因であると考えられますが、詳細は不明です。

追記

追記1:影響範囲外である人は静止している物体を動かすことができます。また、影響範囲内の物体を人が食べるなどで体内に取り込むことで影響範囲外になります。


追記2:静止している物体は動かすことが可能ですが、

物体を動かすには物体に直接力を加える必要があり、家電製品などの直接供給できないエネルギーを使ったものを動かすことはできません。


日誌エントリ-01

とりあえず、思考の整理のために報告書の体裁を最低限整えた。これが解決した時にはログも必要だろうし、ここから追記していくつもりだ。


まずは今までのことを整理しよう。私は今から5日前(これはコンピュータの時刻表示が根拠だ、壁掛け時計は動いていない)事務作業の途中、秒針の音がしないことに気づいた。不思議に思って時計を確認したが、このAnomalousは電池がなくても動く。秒針が止まることなど初めてのことだった。違和感より先に、私はこのAnomalousの再実験申請について考えていた。


事務作業を中断して周囲に気を配ったところで違和感が大きくなる。秒針だけでなく外の音も消えていたし、この部屋の外の照明も全て消えていた。まあ、時間が止まっていると気付いたのは完全に静止した部下を見た時だが。


部屋の中で動きが止まっているのは時計だけだ。消去法で原因はこいつと断定して報告書を書いている。秒針を無理矢理動かそうとしてみたが、びくともしない。現状、解決策はないと思った方がいいかもしれない。


それと、窓から1つも星が見えない。月もだ。光も止まっているのか、星が全て消えたのかは分からないが、地球外にも影響がある可能性が考えられる。


幸いサイト管理室には非常用電源がある。これだけで10日は保つ、節電すればその倍以上は可能だ。時間の把握と日誌記入のためのパソコン一台と、外の探索のための持ち運びライトの充電以外には電力は使わないことにする。


食糧は食糧庫から持ち出せば良い。停止していても食べられることは確認済だ。それが私の骨肉となった場合私も止まる、なんてことがないと良いが。


これだけの把握に5日かかった。外の探索はライトの明かりだけが頼りで、時間がかかる。それでも、頭を動かすためには一定の睡眠は必要だ。とりあえず今日は寝ることにする。


おやすみ。

日誌エントリ-02

7日目。


サイト-8181はかなり規模の大きいサイトだ。収容されているのは殆どがAnomalousおよびSafeのオブジェクトだが、数が多い。今回は、そのオブジェクト群を頼ろうと思う。


もちろん、異常存在に異常存在で対抗するのは基本的に財団の理念に反する。例外であるThaumielクラスオブジェクトはこのサイトにはない。


しかし、こんな緊急事態に理念など気にしていられない。収容室を回り、片っ端から動くかどうかを確認する。特に現状の解決になりそうなのは、別世界へのポータルだと思う。


非常用電源は残り7割と少し。残量が確認できるのは管理がしやすい反面、命綱が少しずつ千切れていくような、終わりが可視化される恐怖も感じる。

日誌エントリ-03

11日目。見立てが甘かった。


機械類のオブジェクトには期待していなかったが、そうでないものも全て異常性を発揮しなかった。CCレモンはそれ以上でも以下でもないただのCCレモンだったし、方眼紙ノートにも普通に数式を書けた。異世界へのポータルも当然動くものなどなかった。つまり、振り出しに戻ったわけだ。


非常用電源は残り5割。徒労に4日も使ったせいで、もう半分しかない。だから、電源を自力で賄う必要がある。管理室の外のコンセントでライトを充電できないのはとっくに確認済だ。もし非常用電源が切れた後、私が過ごす世界は完全な暗闇になる。それだけは避けなければならない。


ああ、声を出して泣くなんて何年ぶりだ?涙がキーボードに垂れたので慌てて拭いた。声を出したのも11日ぶりだ。自分の声に懐かしさを感じて、また泣きそうになった。


13日目、電源は残り4割。


いくつか実験した。私は静止しているものを動かすことは出来るが、静止している機械や生命を動かすことはできない。しかし試してみた結果、ぜんまい仕掛けのオルゴール(部下の机にあった)は動作した。つまり、エネルギーを内部で発生させる前提の物は動かせないが、それ以外の仕掛けやものなら動かせるということだ。この発見は大きい。説明に追記しておく。


代償は小さくない。直接心臓を触るため、近くの収容室にいたDクラスの胸をナイフで切り解体した。切る、というよりは押し退けるのに近い感触だった。血も滴らずにその場に留まったため、手が血で汚れることもなかった。結局心臓を触っても脳を触っても、彼は反応を見せなかった。ただ、部屋が私の吐瀉物で汚れた。


あー、それで。発見から考えた打開策は、電源を賄うために発電機を使うことだ。仮説が正しければ、私が発電機を回すことで発電できる。明日試すつもりだ。


静止している食糧は味がしない。食事の時間が作業なのは私にとっては当然のことだが、乾パンをただ齧るだけのことがこんなに苦痛なのは初めてだ。咀嚼するだけの、つまらない作業。それが今の夕食だった。


まあ、面白い作業なんて今ここには1つもないのだが。

日誌エントリ-04


14日目。


サイト管理官の私はよく知っている。このサイトに人が動力の発電機なんてない。


最寄りの発電所までは30km。地図はあるが、明かり無しで辿り着けるわけがない。昨日の私はどうして試そうなんて書けたんだ?


とりあえず他のことをしようと思う。電力のことは後で考えよう。

日誌エントリ-06

(日誌エントリ-05は省略)

16日目。


最近、日誌の頻度が多い。節電しなければいけないと分かってはいるが、これを書いている時だけは現実から逃れられる。誰かがこれを見るかもしれないという希望に縋っている。


1つ気付いてしまったことがある。電源の確保に躍起になっていたが、確保できたとしてそれは根本的には何も解決していない。


そもそも根本的な解決とはなんだ?何をすればいい?財団職員になった時も、サイト管理官に就任した時も、時間が止まった時の対処法なんてだれも教えてくれなかった!今私がやることに正解なんてあるのか?

日誌エントリ-07

20日目。電源、残り2割。


ここ数日間は資料庫を漁っていた。成果はあった。発電機を含む機械の構造図が描かれた本と、Kクラスシナリオについての考察を纏めた書類の束だ。


16日目から寝れていない。時間を睡眠にかけることが怖くなった。1秒でも無駄な時間を過ごすことが怖くなった。でも、4徹の頭で書類を読み解けるとも思わない。仮眠を取ることにした。


暗闇の中に何か潜んでいて、私を殺してくれればいいのに、異常存在も非異常存在も、馬鹿みたいに動きを止めている。ただ寂しさだけを感じている。私は独身で友人も少ないが、その少ない友人や家族に会いに行くことを本気で考えた。ライトがそこまで保つはずもないのに。


この日誌を書くのだって本当は無駄な時間だ。

日誌エントリ-08

21日目。Kクラスシナリオについての考察は、レベル4クリアランスの私にとっては既知の情報ばかりだった。その紙束からは何も得られず、むしろ嫌なことを思い出した。


Apollyon。割り当てられた前例は存在しない、形式上存在するだけのクラス。能動的にKクラスシナリオを引き起こす収容不可能なオブジェクトに割り当てられるものだ。


知ったときはクラスの存在意義を疑ったが、今考えると、SCP-001-JPに当て嵌まるような気がした。


発電機の構造図の方は使える。ここにある3台のコンピュータのうち2台を分解して、そのパーツで発電機を組み立てることができるかもしれない。


私が諦めたら、世界全てが静止したままになる。それだけはなんとしても避けなければならない。非常用電源は残り1割、なるべく早く組み立てなければ。

日誌エントリ-09

無駄だった。


素人がゼロから発電機を作れるわけがない。私もそれはわかっていた筈だ。ただ、金属片で床が散らかっただけだった。


無駄だったのはタービンの作成だけか?違うな。私は世界が止まってから、何もできていない。いたずらに人を殺め、物資を消費しただけだった。


SCP-001-JPは収容は不可能だ。特別収容プロトコルに何の意味がある?21日前の自分が財団の理念に従い報告書を書いていたことにすらイライラする。


私はいま、人類の遺書として今これを書いている。電源も尽きるから、これが最後になる。


このログと報告書の編集を保存したら、手元の拳銃で自殺するつもりだ。暗闇の中で数十年も過ごすのは耐えられない。


私は全力を尽くし、1人で戦い、そして負けた。それでいいだろう、限界だ。私が悪いんじゃない、あの時計が悪い。諦めた私が悪いんじゃない。私は悪くない。何も悪くない。人類を滅ぼしたのは私ではない、そうだろう?


私は負けた。


おやすみ。


注記: あなたは現在この報告書の旧版を閲覧しています。最新版を閲覧するにはこちらを開いてしてください。


アイテム番号:SCP-001-JP


オブジェクトクラス:Anomalous→Keter→

Apollyon→Thaumiel


特別収容プロトコル: SCP-001-JPはサイト8101の地下にある500×500×30mの特別収容室にある低危険物収容ロッカーに入れられた状態で保管されます。収容室内への立ち入りはO5評議会の承認が必要です。


特別収容室には発電機、ブライト=ザーションヒト科複製機(BZHR)クラスA~E記憶処理剤、心停止を起こさせる薬品、その他プロトコル・ヴェルダンディ遂行のために必要な設備全てが使用可能な状態で設置されます。


特別収容室内のデータベースには、現実性(ヒューム値)学、神学、生物学、物理学、その他財団の把握している異常存在への対処法になる可能性のある情報全てが保管されます。


特別収容室内には、ベリリウム銅、テレキル合金、純水、塩酸、その他複数の金属・合金・化合物が保管されます。


特別収容室内の点検及び設備のメンテナンスは週に1度選抜職員により行われます。メンテナンス終了後、メンテナンスの関係者にはクラスA記憶処理を行います。

説明

SCP-001-JPは〇〇社製のアナログ式壁掛け時計と考えられています。その時計に数字や目盛りはありません。分解をしようとしましたが、オブジェクトの破壊耐性により失敗しました。


SCP-001-JPの秒針は最も近くにある人物の心拍数と同じ運針を行います。針が一周するのにかかる時間は変わらないので時刻のずれは発生しておらず、短針、長針には異常性がありません。この動きは時計の電池を外した時も行われます。


SCP-001-JPと心拍が連動していた人(以降“SCP-001-JP-A”)に心停止が発生した場合、SCP-001-JP-Aの心機能が回復するとともに、SCP-001-JPを設置した室内を除く基底現実世界の存在及び非存在が全て静止します。例外として、SCP-001-JP-Aを除く人は壁面内部に存在していても静止します。


SCP-001-JP-Aは静止している物体は動かすことが可能ですが、物体を動かすには物体に直接力を加える必要があり、家電製品などの直接供給できないエネルギーを使ったものを動かすことはできません。また、SCP-001-JP-Aは静止している物体を動かすことができます。また、影響範囲内の物体を人が食べるなどで体内に取り込むことで影響範囲外になります。これはSCP-001-JP-Aから分裂した全ての細胞も同様に影響範囲外になるため、ブライト=ザーションヒト科複製機(BZHR)などを使ったSCP-001-JP-Aの複製体もSCP-001-JPの影響範囲外になります。


SCP-001-JPによる基底現実世界の静止は、SCP-001-JP-Aの心拍が完全に停止することによって終了します。そのため、不死者などこの条件を満たすことが出来ない人物がSCP-001-JP-Aに変化することはTKクラス-世界静止シナリオを発生させます。


SCP-001-JPは発見当初「人の心拍数と連動する秒針を持った時計」としてAnomalousに分類され、サイト管理官の希望によりサイト-8181管理官室に設置されることとなりました。しかし、2019/03/31 23:50にサイト-8181管理官室で発見された平林サイト管理官の死体とコンピュータ内に残されたログからオブジェクトへの再調査が行われました。SCP-001-JPによる基底現実世界の静止が発生した原因は平林サイト管理官の急性心不全と推測されます。


その後財団に忠誠度の高い職員による追加実験によって異常性の詳細が判明したため、それをもとに報告書の作成とプロトコル・ヴェルダンディの作成が行われ、オブジェクトは001-JPエントリに正式に登録されました。


補遺1

補遺1: SCP-001-JPの異常性をK-クラスシナリオ発生前に使用することで、 世界終焉を大幅に遅延し、対応の猶予とする“プロトコル・ヴェルダンディ”の作成とSCP-001-JPThaumielクラス分類が行われました。以下はその内容です。


"プロトコル・ヴェルダンディ"

このプロトコルは、Kクラスシナリオの発生時にSCP-001-JPを使用して対処するための手順です。


プロトコル・ヴェルダンディの遂行を許可される職員は1年に2度O5評議会により選出されます。選ばれる基準は以下の通りです。


  • 家庭を持たず、両親を亡くしている。
  • 財団に5年以上勤務している。
  • 降格処分・謹慎処分を受けたことがない。
  • 財団の保有する技術・機器に対する充分な知識がある。
  • 直近の財団忠誠度テストで高得点を記録している。
  • 異常性を持たない。

選出された職員はサイト-8101に異動となります。これにより、現在サイト-8101に存在する職員の5%はプロトコル・ヴェルダンディのため選出された職員です。Kクラスシナリオが予測された時、選出職員にはこの報告書のアクセス権限が与えられるとともに、この報告書を含むプロトコル・ヴェルダンディに関連する資料全てを送信されます。


以下に手順の概略を示します。詳しい情報はこちらから参照してください。


  1. サイト-8101地下室に入り、SCP-001-JPを壁面に設置し、ロッカーに保管されている薬物を自身に注射し、心停止を誘発する。
  2. 基底現実の静止を確認したら、特別収容室内に存在する物資及び資料の全てを用いて、K-クラスシナリオの回避を試みる。人員が不足している場合または自身が寿命を迎えた場合、BZHRへ皮膚膜を入れ、自身を複製する。以下は一例。

 AK-クラス:世界終焉シナリオへの対処: 化合物ENUI-5の全世界散布、またそれに類するミームエージェントの作成。

 CK-クラス:再構築シナリオへの対処: シャンク/アナスタサコス恒常時間溝を始めとする空間に影響を与える技術による現実の“再構築”。

 SK-クラス:支配シフトシナリオへの対処: 静止中に全ての新支配種を終了する。

 XK-クラス:世界終焉シナリオへの対処: 原因となる要因の破壊等での解決。

  1. K-クラスシナリオの回避に成功した場合自殺する。これはBZHRによる複製体も含む。

プロトコル・ヴェルダンディは最低でもBZHRの耐用年数である200〜300年以上、Kクラスシナリオ発生の引き延ばしが可能です。

O5-1からのメッセージ

自身が死ぬことが確定していても、世界のため暗闇の中

1人戦い続けることができる職員など限られている。平林管理官の最期はそれを証明したといえる。諦める事は、普通のことだ。


だが、限られていても確かに存在はするのだ。そして、選出された職員たちはそうであると信じている。


これから任務に就く全ての職員に向け、管理者の言葉を引用する。


「人類が健全で正常な世界で生きていけるように、他の人類が光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない」


暗闇の中で死ぬまで戦い続けよ。我々に諦める事は許されない。


O5-1

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