概要
『100万回言えばよかった』は、2023年1月～3月にTBS系列の金曜ドラマ枠で放送されたドラマ。
数奇な運命に翻弄されながらも奇跡を起こそうとする3人の姿を描く完全オリジナルのファンタジーラブストーリー。
脚本は、NHK連続テレビ小説『おかえりモネ』や『失恋ショコラティエ』、『きのう何食べた?』などを手がけた安達奈緒子が担当。主演は、井上真央が務める。主題歌は、マカロニえんぴつの「リンジュー・ラヴ」。
登場人物
- 相馬悠依(演:井上真央)
有名美容院の系列店の店長。かつて、家庭の事情から里親に預けられた過去を持つ。
運命の相手と意識した直木を突然失い、その死をなかなか受け入れられずにいたが、遺体が発見されたことで徐々に彼の死を受け入れ、たとえ幽霊であっても直木と一緒に過ごすことを望んでいる。
その後、第9話で直木が成仏してしまい、悲しみに暮れるものの、彼の想いを汲み取って前に進むことを決意した。しかし、その後何らかの理由で直木が蘇った際には嬉しさのあまり涙を流しながら喜んでいた。蘇った後は直木とデートしたり直木、譲とともにトランプゲームをしたりと楽しい時間を過ごしていたが、直木が現世に蘇ることができるのがほんの数日だけであることが発覚した際には、再び直木に想いを伝え、直木の二度目の成仏を見送った。
- 鳥野直木(演:佐藤健)
調理師。悠依が中学生の頃に預けられた里親・樋口家で、彼女と出会っている。こちらも家庭の事情で里親に預けられた過去を持っており、実の両親とはほぼ絶縁状態だった。
大人になり再会した悠依を運命の人と意識し、プロポーズを決意した矢先、不可解な事件に巻き込まれ亡くなるが、想いを伝えられなかった「思い残し」から幽霊となる。魚住だけにしかその姿が見えておらず、魚住の身体に一時的に憑依が可能だが、長時間はできないらしい。また、樋口との特訓のおかげか口笛を吹いて悠依とコミュニケーションを取ることができるようになった。それに加えて、静電気でも悠依に干渉できるようになった。
第2話では、一時期広田家で共に生活していた尾崎莉桜を探すために莉桜の知人であり殺人事件の被害者でもある高原涼香に会おうとしていたことが判明し、重要参考人として警察から目をつけられていた。
第4話でついに彼の遺体が発見されたが、まだ「思い残し」があるため成仏していない。しかし、「いつか成仏してしまうかもしれない」という考えから彼女に未練を残して貰いたくない一心で何とかして成仏する方法を探し、悠依、譲とともに事件の真相を追う。
第9話で、自身を殺害した犯人が池澤であることが判明し、勝の自宅で池澤が悠依を人質に取ったが、静電気を利用して落雷を誘発させたことで隙を生み、池澤の逮捕に貢献した。しかし、その代償として成仏してしまうことになった。最初は魚住の身体を心配して憑依に躊躇していたが彼の覚悟を見て憑依を決意し、魚住の身体を借りて悠依にありのままの想いを伝えて成仏した…かと思いきや、終盤になぜか実体を得た状態で蘇っていた。蘇った後は弟に再会したり、悠依、譲とともにトランプゲームをしたりと楽しい時間を過ごしていたが、どうやら数日限りの生命だったことが判明。悠依に再び想いを伝えた後、再度成仏した。
- 魚住譲(演:松山ケンイチ)
刑事。実家は千年続く寺で代々霊媒の家系だが、これまで霊とは無縁の生活を送る。
しかし、直木の死に関わる事件を捜査するうち、突如霊媒の才能が覚醒し、直木の霊が見えるようになったことから、悠依と直木の2人の運命に関わることになる。一応、霊を身体に憑依させることもできるらしいが、長時間は不可能で限界が来ると目眩が起こる。ただ、これは魚住家の中でもかなりの特異体質らしく、古文書によると「幽霊と長く接触した者は徐々に寿命を削られていき、やがて死に至る」と記されていた。そのため、第6話では体調に異変が生じ始めている。第7話では姉の口から「直木との相性が良すぎるが故に憑依されてしまっており、三回憑依されると死に至る」という衝撃の事実が語られた。なお、譲は既に二回憑依されており、発覚した時点でかなり末期の状態に瀕していた。一応、姉が霊の嫌いなものがあれば悪影響を受けないと書かれた文献を見つけ出したことから、猫アレルギーの直木が苦手な猫の毛で作った姉お手製のお守りで何とか保っていた。
一応上司にもこのことを伝えているが全く信じてもらえておらず、周りからは変な目で見られている。
悠依が幸せになることを望んでいるが、それには直木が必要不可欠であるため、成仏する方法を探していた直木を「嘘でも『一緒に居る』って言ってあげてください！」と説得して直木を納得させることに成功した。
第9話では、命の危機に瀕しているにもかかわらず、成仏寸前の直木に自身の身体を使うよう要求し、「このお守りと私を信じてください！」と啖呵を切った。その結果、無事に悔いのない形で直木を成仏させることに成功し、自身も何事もなく生活することができた。
周辺人物
- 広田勝(演:春風亭昇太)
悠依と直木の里親。2人に対して実の父親のように接して愛情を注いた。18歳の時に突然家を出ていった尾崎莉桜を心配し、彼女の私物を返すために捜索するように直木に頼んだ。
- 広田美貴子(演:桜一花)
勝の妻。悠依と直木の里親。2人に対して母親のように接して愛情を注いだ。
- 池澤英介(演:荒川良々)
洋食店「ハチドリ」のオーナー。学習塾も経営している。だが、直木に任せっきりである。どうやら、田中や武藤達と何か関係があるようだったが、それもそのはず彼も武藤の悪行に加担してしまっており、良心の呵責に苦しんでいた。
直木に自身の過去を話したものの、直木の優しさが彼にとっては目障りだったため、直木を殺害。後に田中の殺害にも関与していることが明らかとなった。
勝の自宅で悠依を人質に取るものの、直木の決死の行動により発生した静電気によって引き付けられた雷に打たれ悶絶し阻止され、最終的に警察に逮捕された。
- 魚住叶恵(演:平岩紙)
譲の姉。弟とは異なり、幼少期から霊を見る力がある。霊を察知する能力も非常に高く、弟が幽霊になった直木と接触したことを感じ、電話でそのことを伝えてアドバイスしていた。その後、古文書の記述を知り、弟が命の危機に瀕していることを感じた際には父親と共に祈祷を行った上で何度も電話したり、樋口に弟を説得するよう頼んだり、直木に近づかないように懇願するなど弟の身を案じて奔走していたが、直木の成仏を感じ取り、安堵していた。
- 宋夏英(演:シム・ウンギョン)
横浜医科大学病院勤務の脳神経内科医。直木のことで心労から呼吸を乱す悠依を、過換気症候群と診断する。
悠依と一緒にいた譲を目撃して動揺していたが、本人曰く「(譲が)亡くなった韓国人の元夫とそっくりだったから」らしい。
直木のことが見える男。実は直木と同じ成仏できず現世に留まっている幽霊であり、直木に幽霊としての在り方を教える先輩となる。ただし、憑依は出来ないらしく直木に嫉妬していた。後にこれが相性によるものだと判明し、叶恵から譲の件を聞いた上で2人の説得を試みる。直木が成仏した後はまた一人孤独な生活を強いられることとなり寂しさを露わにしていた。
- 尾崎莉桜(演:香里奈)
悠依や直木の知人。小学校時代から騒動を起こす問題児で、児童養護施設では対応できず広田家に預けられ悠依や直木と一時期、生活を共にしていた。
18歳を迎え高校を卒業すると里親のもとを巣立つことから、それ以降疎遠となっていたが、勝の依頼で直木から行方を捜されていた。
譲により、二度の傷害罪の前科があることが確認されている。
その後、「石岡美也子」という偽名で生活しており、その過程で悠依と再会することになった。
だが、何やら秘密を抱えているらしく、警察からは重要参考人として扱われ、自身のことを思い出そうとする悠依を襲って自分と関わらないように忠告した。
第8話で田中とともに練炭自殺を図り、意識不明の重体となっていたが、第9話で意識が回復。事件が終息した後、自身の過去を悠依に打ち明けていた。
- 高原涼香(演:近藤千尋)
譲が追う「西山町女性絞殺事件」の被害女性。買い物依存症の治療で2年前から精神科に通院していた。
尾崎莉桜の中学・高校時代の友人で、莉桜の行方を追う直木が接触を図ろうとしていた。
自己破産してブラックリストに載っていたためカードは使えないが、殺害される1か月前に出所不明の現金300万円で買い物をしていた。
広田家に残されていた莉桜の写真から、莉桜の友人として、中学時代の悠依と横浜の遊園地で会っていたことが判明する。
- 田中希也(演:永島敬三)
直木が涼香の自宅マンションを訪問した際、郵便物の配達ですれ違った配達員。その後の捜査で、偽の配達員であったことが判明する。
武藤千代の製菓教室に出入りし、莉桜と直木の遺体が発見されたことを報じるニュースを共に視聴する。
マンションの防犯カメラ映像の分析から、高原涼香に渡していた紙袋に残された指紋から身元が判明し、15年前に傷害罪で実刑を受けていた前科が浮上、涼香の遺体の爪に残された皮膚片のDNAと一致する。
しかし、第8話で莉桜とともに練炭自殺を図り死亡したが、後に彼の殺害に池澤が関与していたことが明らかとなった。
- 武藤千代(演:神野三鈴)
製菓と刺繡教室を自宅で主催する女性。希也の関係者。莉桜から「ちーちゃん」と呼ばれ、警察から追われる莉桜をワンボックスカーで連れていく。警察から未成年略取と売春の容疑が掛けられ、第9話にてついに逮捕された。
- 原田弥生(演:菊地凛子)
女性の幽霊。直木のマンションに突然姿を現す。仕事でソウルに渡航時、車の運転中に脳出血を発症し、夏英の夫・祐鎮ウジンの運転する車と交通事故を起こし、彼を事故死させている。現地の霊媒を通じて祐鎮の遺族には謝罪できたが、夏英に謝れなかったことが「思い残し」で成仏できず、彼女を追いかけ日本まで帰国している。
悠依達の助けを借りて夏英への謝罪と彼女の後悔を解決することができたため、「思い残し」が無くなり成仏した。なお、成仏直前に夏英が落としていたマフラーを拾って持つことができていたことから、成仏間際になると多少なりとも干渉できるらしい。
- 鳥野拓海(演:青木柚)
直木の8つ年の離れた弟。3歳の頃、血液を作る細胞に異常ができる病を患い、骨髄移植のみでしか症状を寛容できず、骨髄の型が適合する直木から過去3度、骨髄移植を受けている。
「東央メディカル」に就職後は両親と疎遠になり、直木が亡くなったことを知らされておらず、成仏を前に一時的に生き返った直木と再会すると、直木のおかげで今の年齢まで生きることができたと感謝する。
