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連結会計の編集履歴

2023-04-15 08:26:05 バージョン

連結会計

れんけつかいけい

連結会計とは、連結財務諸表を作成する、会計の一連の手続き。

概要

ある一社の財務諸表(私たちが普段作成する財務諸表)は個別財務諸表とも呼ぶが、これに対して企業集団の経営状態を評価するための資料を連結財務諸表と呼ぶ。

この連結財務諸表を作成する一連の手続きを連結会計という。


連結財務諸表は簡単に言えば企業集団の個別財務諸表を一つにまとめたもので、企業集団の親会社と、主に親会社が取得した全ての子会社の個別財務諸表をまとめている。

また、親会社が取得した関連会社についても、一部については連結財務諸表で考慮する(本項では扱わない)。


基本的に連結財務諸表は個別財務諸表と似たものを作成するが、金融商品取引法の規定により連結包括利益計算書も作成する必要がある。


連結財務諸表は企業集団の親会社が、子会社と関連会社の財務諸表を集めた後で作成するため、決算日の翌日から親会社も子会社・関連会社も個別財務諸表を作成することを考えると、連結財務諸表の作成は早くとも3か月以上後の話になる(ちなみに連結財務諸表を作成する関係で、親会社が取得した子会社と関連会社の決算日は実務上でも親会社と同じ日に合わせる。このため親会社に合わせた決算日と元来の決算日が存在するため、子会社と関連会社はそれぞれで財務諸表を作成する手間が生じることもある)。

ただし、会社法及び金融商品取引法では、連結財務諸表は主に上場企業の親会社に作成義務があるものの、日本の上場企業は2022年4月時点で3800社ほどで、日本の企業全体では僅か0.4%しかない。

とはいえ上場を見越して作成する場合や、上場しないまでも子会社も含めた経営状態の評価を経営者が見たい場合に作成する機会は考えられる。

倒産や経営破綻が増えている昨今では投資家や銀行などの金融機関では貸借対照表の重要度(これは子会社などの貸借対照表も含む)が高まっている背景がある他、日商簿記検定2級以上から出題される最難関論点として見ても、会計知識としての重要度は高いと言える。


以降は学習上でよく見かける連結貸借対照表と連結損益計算書を中心に記載する。


作業工程

連結貸借対照表と連結損益計算書以外の連結財務諸表も作成する必要はあるが、本項では扱わない。


  • 連結初年度:連結貸借対照表の作成

資本連結(投資と資本の相殺消去→投資消去差額の処理→非支配株主持分の振替)


連結初年度は資本連結のみを行う。

資本連結とは、連結貸借対照表を作成する手続きであり、親会社と子会社の資産・負債・純資産を一つにまとめた上で、子会社の取得のために行なった取引などを取り消す一連の作業を指す。

先んじて記載するが、特に非支配株主持分の振替については親会社が子会社株式の100%を取得した場合(完全子会社)は、そもそも非支配株主が存在しないため処理を行わない。


  • 連結2年目以降:連結貸借対照表と連結損益計算書の作成

資本連結(上記と同じ)

成果連結(取引高などの相殺消去)


連結2年度以降は、上記の資本連結に加え、成果連結も行う。

成果連結とは、連結損益計算書を作成する手続きであり、親会社と子会社の収益と費用を一つにまとめた上で、連結初年度に発生したのれんの償却、親会社と子会社の間の取引を取り消す作業を指す。

日商簿記検定2級でアップ・ストリームダウン・ストリームで悩む受験生が多い取引でもある。


連結初年度の投資と資本の相殺消去

親会社が子会社を取得(支配獲得)する方法は、「一度に過半数の株式を取得する」または「段階的に株式を取得し、取得株式数を過半数にする」の2つがあるが、ここでは学習上よく見かける前者の例を解説する。


支配獲得日は連結初年度(または連結1年目など)とも呼ぶが、この時は連結貸借対照表を作成する(連結損益計算書は連結初年度は作成しない)。

基本的には親会社と子会社の資産・負債・純資産をそのまま合算する。

ただし、子会社の株主資本(資本金と利益剰余金)については、子会社を取得する際に親会社側の資産(現金や当座預金など)によって増加したものも含まれる。

親会社が子会社を取得した時、親会社と子会社では以下の仕訳を行なったものと考えられる。


親会社:(借方)S社株式※○○○/(貸方)現金など○○○

子会社:(借方)現金など○○○/(貸方)資本金○○○


※連結会計の学習上では子会社株式を「S社株式」と表現するのが一般的。


このため上記の仕訳を無くす意味合いで、親会社が子会社を取得するために払い込んだ金額(S社株式)と子会社に払い込まれた金額(資本金)を訂正仕訳のように修正する

この処理のことを投資と資本の相殺消去と呼ぶ。

なお、上記の現金などについては、子会社に払い込んだものの結局は親会社に返ってくる(帰属する)という流れになるため、投資と資本の相殺消去では次の仕訳のみで事足りる。


(借方)資本金○○○/(貸方)S社株式○○○


親会社が子会社を取得する際、少なくとも子会社の資本金以上の金額で取得することになるだろう。

仮に子会社の資本金が親会社の払込み金額より少ないなら、親会社にとっては収益が見込めず取得のメリットがないからである。

一方で子会社の資本金よりも多い金額での取得は一般的で、子会社の資本金と利益剰余金の合計額が親会社の払込み金額と同額でなければ、のれんが生じる。


  • 親会社の払込み金額が、子会社の資本金と利益剰余金の合計額と同じ場合

(借方)資本金○○○・利益剰余金○○○/(貸方)S社株式○○○


同額ならのれんは生じない。


  • 親会社が子会社取得のために払込んだ金額が、子会社の資本金と利益剰余金の合計額より多い場合

(借方)資本金○○○・利益剰余金○○○・のれん○○○/S社株式○○○


払込んだ金額より多い場合、その「投資の超過分」がのれん(正ののれん)となり、連結貸借対照表の借方の資産に「のれん」を加える。


  • 親会社が子会社取得のために払込んだ金額が、子会社の資本金と利益剰余金の合計額より少ない場合

(借方)資本金○○○・利益剰余金○○○/(貸方)S社株式○○○・負ののれん発生益○○○


払込んだ金額が少ない場合、子会社には親会社が期待したほどの収益が見込めない状況にあると考えられる。

この場合は負ののれんとして扱い、連結貸借対照表の「利益剰余金に加算する」処理を行う。


連結初年度の非支配株主持分の振替

上記の「作業工程」で記載したが、子会社株式を100%未満で取得した場合のみ、この処理を行う。

連結会計では、株式100%のうち過半数を親会社が取得していると考えるが、半分にも満たない残りの株式は未だ子会社の株主が所持している。

この親会社以外の株主のことを非支配株主と呼ぶ。

また、子会社の株式資本は、過半数が親会社に帰属する親会社持分と、半数未満だが親会社以外の株主に帰属する非支配株主持分に区別される。

資本連結では、子会社を得た事実と結果を明らかにするため、親会社持分と非支配株主持分に株式資本を分ける作業も必要となる。


例えば、子会社の株主資本が総額500万円で、親会社はこのうち80%を400万円で取得したとする。

この時20%(500万円のうち20%なので100万円)は親会社以外の株主である非支配株主の持分であるため、これについても仕訳に反映する必要がある。


(借方)資本金30,000・利益剰余金20,000/S社株式40,000・非支配株主持分10,000

(単位:千円)


「連結初年度の投資と資本の相殺消去」でも記載したが、親会社が子会社取得のために払込んだ金額が、非支配株主持分を加味しても上回っていれば正ののれん(借方の資産に「のれん」)、下回っていれば負ののれん(貸方に「負ののれん発生益」→利益剰余金に加算)が生じる。




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