「私は、あなたを殺したい」
CV:牧野由依
概要
風の聖痕における主要な敵対組織・アルマゲストの一人。運営機関『評議会』の議長を務めるヴェルンハルト・ローデスの片腕である。
実は人間ではなく、和麻の恋人「翠鈴」の残留思念から生み出された人形。そのため容姿こそ似通っているが、中身は完全な別人である。
戦闘力
術は余り使わないが、ヴェルンハルトにより対術者専用の戦術・技術を徹底的に叩き込まれている。怪力と剣技、そして魔術を吸収する水晶の大剣を用いて綾乃と殆ど互角に渡り合った。とはいえ初戦では危うく負けそうになったが、和麻の介入により難を逃れる。
なお、大悪魔ベリアルのコピーを宿しており「魔剣士」としての能力を持つ。巨大な女神の幻像を生み出し、大剣の一撃で都庁を両断するなど規格外の力を持つ。
この他、原作では空間転移の術を使う。アニメ版では周囲を黄金の板で囲み、そこに自身の姿だけを映して本体は隠れるという目くらましの技を用いている。綾乃には効果的だったが和麻にはあっさりと破られた。
ストーリーへの絡み
初登場は原作4巻。ヴェルンハルトの新宿を中心としていた妖魔憑依実験の補佐をしていた。彼は前述のベリアルのコピーを電子化させ、10代~20代の少年たちを中心に憑依させていた。
これにより法で捌けない力(異能)を手に入れた少年たちは次々と犯罪を起こし、更には異能を使った殺し合いまで始めた。力を望めば望むほど、それは妖魔との契約と見なされ、少しずつ魂を侵食されて行く。
少年たちは力を与えられたのではなく、妖魔に侵食されて行く過程で一時的に異能を行使できる期間があるに過ぎない。最期には魂を完全に喰われ、心身ともに妖魔化してしまう(稀に半分だけ人間の姿を維持する者もいる)。
少年たちは「資格者(シード)」と呼ばれ、その中でも突出した力に覚醒した者が一人いた。それが聖陵学園の男子生徒・内海浩助だった。彼はヴェルンハルトの弟子となると次々とクラスチェンジを行い、誰にも果たせなかった第四階位(フォースクラス)にまで至る。
そして「望んだすべてを手に入れる」と調子づいたことでヴェルンハルトに反旗を翻す。ここまでは原作・アニメ共に同じだが、ここから先の展開が若干異なる。
原作の内海はヴェルンハルトを殺したと思い込まされる。そこで資格者たちを騙して呼び集め、「廃棄処分」のため抹殺を目論む。だが和麻たちに乗り込まれあっさりと殺された。
その時、姿をくらませていたラピスが登場。内海の死体に命令を下し、内海を再起動させる。
実は「内海浩助」という人間の魂は既にコピー妖魔に喰い殺されており、今の中身は「内海浩助の人格のコピー」であった。和麻たちを誘き出すためのエサとして「内海浩助」は生きていないといけなかったからだ。そのことをラピスから告げられ、内海浩助の精神コピーは自我が崩壊。再起不能となった。その様を見たラピスは歓喜に打ち震え、人を陥れる謀略が成功したことを喜んでいた。
更にもう一つ、彼女たちは罠を仕掛けていた。資格者たちの魂はコピー妖魔を通して本体であるベリアルの御許へと捧げられてており、現世へと召喚するための贄にされていたのだ。
113人の魂がベリアルに捧げられ、召喚の術式が発動する。
「ごめんなさい。私、嘘をついていました。綾乃さんの仰る通り、今まで時間稼ぎをしていたんです。
今度こそ、引っかかりました、ね?」
113人の魂を捧げてもベリアルほどの大悪魔となれば片腕を数秒呼び出す程度しかできない。それでも東京一帯を壊滅させるだけの被害が出る。和麻、綾乃、煉の三人は一斉攻撃によってベリアルの片腕を撃退し、東京を救ったのだった。
直後、ラピスを伴ったヴェルンハルトが現れる。既に戦えないほど疲弊しきっていた彼らだが、ヴェルンハルトは「勝てる気がしない。ベリアルの片腕を撃退する非常識さを見た後だと尚更」と言い、手を出すことなく撤退していった。
去り際にラピスは、翠鈴が遺した最期の想いのヒントとして自身の願いを和麻に告げる。
「私は、あなたを殺したい」
連載中に作者が死去したためヴェルンハルト、ラピスとの決着は描かれることはなかった。
アニメ版では反逆した内海を捕らえ、和麻たちの目の前で斬殺。ベリアルに捧げる最期の魂として昇天させた。この後、わずかだが和麻・綾乃との戦闘シーンが描かれたが決着はつかず。
そして原作と同じくベリアルがこの地に呼び出されるが、和麻たちの総攻撃によって片腕は消滅、撃退された。疲弊しきった彼らの前に主と共に姿を見せるが、後方から和麻の父・厳馬が睨みを利かせていたため手出しはできなかった。ちなみに厳馬は、ラピスが負けそうになった綾乃の10倍は強い(和麻曰く『控えめ』な評価)。どう考えても勝ち目はない。
去り際にラピスは、和麻から翠鈴が遺した最期の想いについて問われる。ラピスは少し考えた後、「私は、あなたを殺したい」と答え、ショックを受けた和麻を残し、ヴェルンハルトと共に姿を消した。
この役1年後に作者が死去したため、アニメ2期は描かれなかった。
原作とアニメ版の相違
基本的な役回りは同じだが、原作とアニメで性格と言動が異なる。
原作では「自らの裡から湧き上がる人間的な感情」を積極的に学ぼうとしており、和麻たちを騙して喜ぶ小悪魔的な面を持っている。笑顔を見せたり、かなり天然の入った台詞を言い放ったりする。
一方、アニメ版では釣り目で無表情で台詞も抑揚がなく、まるでロボットである。用済みとなった内海を平然と斬り捨てるなど「邪悪」さが強調されている。
アニメ版は改変箇所が多いのだが、特にラピスはキャラ改変が激しい。ただし挿絵を担当した納戸がアニメに先駆けてこの顔付きのラピスを描いており、表情に関してはアニメ独自要素というわけではない(上記のイラスト化は2004年、アニメ化は2007年)。
関連タグ
ゼスト・グレアム:シャイニング・レゾナンスの登場人物。原作と派生作品で性格が違うなど共通点が見られる。