結城美知夫
ゆうきみちお
概要
手塚治虫が1976年から1978年にかけて「ビッグコミック」において連載した,「MW」という作品の主人公。
この物語は作者である手塚治虫自身が「従来の手塚カラーを打ち破り,あっけにとられるようなピカレスクドラマを書いてみたいと思って」打ち立てたものであり,作中内では猟奇殺人や性描写,同性愛などが執拗に描かれ,数ある手塚作品の中でも比較的異色の地位を占める。その主役である結城美知夫自身も,善悪の境界を超え,悪徳の限りを尽くす「メフィストフェレス」という,強烈なキャラクターとして描かれる。
人物像
関西歌舞伎の人気女形「河本玉之丞」の実の弟。(現在は勘当され実家との付き合いは途絶えているようである)若くして関都銀行の貸付主任を務める。
中性的な美貌と性的魅力で老若男女を問わず魅了する。バイセクシャル。作中の主だった登場人物とはほぼ肉体関係を結ぶと言っても過言ではない。血筋故か,女装スキルが異常に高い。
小学四年生の時に立ち寄った小島「沖ノ真船島」にて,フーテンたちに強請り目的で拉致される。その際,彼を洞窟にかくまった少年が後の賀来神父である。
2人で洞窟内にいた事により,辛くも島内で起きたMW漏洩事故からは逃れるが,ガスを吸った事によりその後何年も後遺症に苦しむ事となる。
子供の頃はかわいらしい少年(玉之丞談)だったとの事だが,成人後の性格は極めて冷酷で残忍な凶悪犯罪者。目的の為なら殺人も強姦も平然と犯し,むしろそれらを楽しんでいる節がある。賀来神父はそれをガスにより大脳が侵されたためと考えていたが,本人はそれを否定している。
MW事件の唯一の生還者である賀来には懺悔を装って包み隠さず罪を告白しているが,逆に共犯者として手玉に取る計算高さも見せる。また,彼等は性的関係を伴った同性愛関係を結んでいる。
他の登場人物は情交を交わしながらも冷酷に切り捨てて見せるのに対し,賀来に対してだけは煙に巻くような言動で振り回しながらも,人間らしい情愛を見せる。