概要
1930(昭和10)年頃に鉄道省が製造したガソリン動車である42000形と42000形に高速ディーゼル機関を搭載した42500形を1951(昭和26)年に国鉄が再生改造した気動車。ガソリン機関搭載型である42000形は戦時中に起こった火災による大惨事の教訓やディーゼル機関の安全性・優位性からガソリン機関から高速ディーゼル機関に換装された。また良くも悪くも国鉄の標準型高速ディーゼル機関となったDMH17系ディーゼルエンジンが採用されている。
後継車として登場したキハ10形からは新たに液体式変速機が採用されたため、鉄道省及び国鉄が量産した大型気動車では最後の機械式気動車となった。
当初はキハ42500形であったが、1957(昭和32)年の称号改正によりキハ07形となった。
pixiv内では他の鉄道車両のイラストと異なり、車内のイラストしか存在していない。
特徴
高速ディーゼル機関の本格採用
戦後残存していた42000形に搭載されていた大型ガソリン機関であるGMH17型を高速ディーゼル機関であるDMH17型に換装。
量産大型車最後の機械式気動車
後継車のキハ10形では液体式となり、またキハ07形も15両が液体式として改造されたため、新規製造時から機械式の大型気動車では最後となる。
流線型を(中途半端に)取り入れた車端部
車端部は流線型を取り入れているものの工期を短縮するため茶筒のような曲線となっている。
機械式気動車の運転について
自動車の手動変速機同様にシフトレバーでギアの切り替え操作をし、クラッチペダルで発車、停車、ギア切り替え時の動力断続を行うもので、元々1両だけで運行する前提の構造であるため2両以上連結して運行する場合、遠隔操作によるギア、クラッチの操作ができず、各車両に運転士が乗り、汽笛やブザーなどの合図で一斉に操作をしなければならない。そのため2両編成で職人芸、3両編成では神業とも例えられるほどの困難な操作であった。4両編成でも運行されたことがあるが、運転操作をするのは3両までで4両目は補機類を動かすためにエンジンをかけているだけで牽引されているというものであった。
更に、乗用車などでは手動変速機には標準装備となっている同期機構(シンクロメッシュ)もこの当時はまだ乗用車にすら装備されておらず、同期機構そのものも構造上、車重が数十トンもあるような重い負荷には不向きなので、ギアを切り替えながら回転をあわせるダブルクラッチという操作が必須であった。
現存車
5号機、29号機、41号機が保存車として現存しており、うち私鉄に譲渡された2両(5号機と29号機。両方とも改造工事がされているが、そのうち29号機は随分と様変わりしている)動態保存されている。残る1両である41号機は静態保存されている。