よんでなくても神出鬼没!かいけつゾロリ参上!!
概要
映像冒頭とビデオテープ本体に『かいけつゾロリ パイロット版』と表記があることから、後に放映されたTVシリーズのパイロットフィルムに当たるとされる(それを裏付けるものとして、第1期が2004年に放映されていたにも関わらず、オープニングのタイトルロゴの下に『©2002』と記載されており、本編中には『まじめにふまじめ』という言葉が使われている)。
基本的に全編3Dアニメーションとなっているが、合間には一般的な2Dデジタルアニメで描写された場面も存在し、最終的にそちらの方がいいと判断されたのか、TVシリーズは2Dアニメで制作されることとなり、現状唯一の3Dアニメ作品であるかいけつゾロリとなっている。
また、ビデオパッケージに『非売品』と記載されていることから、何らかのイベントなどで配布されたものだと考えられるが、情報が全く無いため詳細は不明。
キャラクターの設定は、後のTVアニメ版よりも以前放映されていた劇場版に近い(イシシとノシシの訛り具合、服装のカラーリングなど)。しかし、イヌタクがイヌダ署長と呼ばれていたり、後の第2シリーズで登場したゾロリンボールのようなワイヤー的用途のアイテム、専用マシン:『ゾロゾロ7号』、イシシとノシシにゾロリ同様変身後の姿が用意されている(ゾロリと同じ様なアイマスクに、黒いタンクトップ姿)など、本作独自の要素も存在する。
ストーリー
ある日、イヌタクは警官たちと会議を行なっていた。
内容はズバリ、「かいけつゾロリをどうやって捕まえるか」。いつもあと一歩のところで逃げられてしまうのだが、今回のイヌタクには秘策がある様子であった。
所変わって、森の中を歩いていたゾロリ一行だったが、イシシが何気なく出したオナラの匂いで、たまたま空気を吸いに来ていたチリドック屋が体調不良になってしまい、これを助けることに。話を聞くと、この先で行われる王女の花婿探しのための武闘大会でチリドックを売るため、会場に向かっていたという。これを聞いたゾロリは「代わりにチリドックを売ってくる」と言うと、彼の介抱をノシシに任せ、イシシを連れて会場へ向かうのだった。
……しかし、我らがゾロリがただで人助けを行うはずがない。その真の目的はもちろん、王女の花婿になること。自身は選手として大会に出場し、その間にイシシがチリドックを売ることでお金も稼ぐというまさに『一石二鳥』の作戦を企ていたのである。
こうして、ゾロタニアン伯爵として意気揚々と大会に参加するゾロリ。果たしてその運命やいかに!?
キャラクター
ゾロリ - 松本保典
本作の主人公。容姿は後のTV版よりも原作版に近い。
チリドックの代理販売を引き受けるが、そっちのけで大会に参加。ゾロタニアン伯爵を名乗り、王女の花婿の座を狙う。
イシシ - 高木渉
ゾロリの子分。チリドック販売を丸投げ……否、一任され、どうにか売り切ることに成功。
その後ゾロリを応援するため、会場へ向かう。
ノシシ - 高戸靖広
ゾロリの子分でイシシの弟。チリドック屋を介抱し会場に連れてくる。
終盤では……。
イヌタク(イヌダ署長) - 飛田展男
ゾロリ逮捕の為、警官たちを指揮する。
ドン・バッファロイ - 石井康嗣
格闘技世界チャンピオン。
チリドック屋 - 岩崎ひろし
武闘大会でチリドックを売るため会場へ向かっている途中、漂ってきたイシシのオナラで体調を崩してしまった不運すぎる人物。ゾロリたちにチリドックの販売を任せることになり「なんて親切な人たちだ」と泣いていた。
以下ネタバレ注意!
実はこの大会は彼をおびき出し逮捕するためにイヌタク率いるどうぶつ警察が仕組んだ罠だった。
突如出場者が全員失格したと伝えられ舞い上がるゾロリだったが、格闘技世界チャンピオンのドン・バッファロイと戦うことになってしまう。ゾロリが疲れ切ったところを一気に逮捕する作戦なのだ。じわじわと追い詰められ、絶体絶命の危機に陥るものの、観客席にいたイシシの機転で見事勝利する。
花嫁との念願の対面も果たすものの、直後イヌタクたち警官に囲まれ、追い求めていた花嫁さえも婦人警官という結末に落胆するゾロリ。手錠もかけられまたも大ピンチの状況となるが、そこへイシシの下にノシシとチリドック屋が合流し、ノシシがくしゃみでを売り上げ金を会場にばら撒いたため、会場は大混乱。
混乱に乗じて手錠を外したゾロリはかいけつゾロリに変身。呼び出したスーパーカー「ゾロゾロ7号」でどうぶつ警察の包囲網を突破し、悠々と逃げ去るのであった。
その後、今回の事件の新聞記事が映し出され、本作は幕を閉じる。(なおその際、作戦失敗を悔やむイヌタク、「世界タイトルを賭けてリベンジする」と意気込むバッファロイ、ばら撒かれたチリドッグの売り上げ金は全て回収されたようで「あの旅の人たち(=ゾロリ一行)にお礼がしたい」と彼らの正体も知らずに発言するチリドック屋の様子がそれぞれ語られている)。
余談
クレジットは声優含め、監督が大畑晃一、制作がビジュアルサイエンス研究所(現:GMホールディングス)であること以外記載されていない。だが、起用された声優陣に関しては名が知られている人物が多く、特に主要人物に関しては、アニメを見慣れた視聴者であれば容易に特定が可能であろう。