パイロットフィルム
ぱいろっとふぃるむ
パイロットフィルムとは、映画、TVドラマ、特撮、アニメ等で、スポンサーへ売り込む為に作品を紹介する映像である。
このパイロットフィルムをスポンサーへ売り込む事で初めて映像作品群の製作が始まる反面、パイロットフィルム段階でお蔵入りになる作品も少なくはない。
スポンサーへの業界関係者向けに、仕事の取引で「我々はこういう作品を作る予定だ」と紹介する為の内容なので、一般視聴者向けには作られていない。
その後で、ビデオソフト販売という商売が始まった時に、サービス特典映像としてパイロットフィルムが添えられるようになった。ただしBGMの権利問題が発生するので、音源は別物に差し替えられたりしている。
※一般人に見せる為のモノではない未完成状態の秘蔵映像を、権利者の好意によって一般公開されているだけに過ぎないので、過剰な要求をすべきではないだろう。
現実には公開されていないボツ映像の方が圧倒的に多いとも推測出来る(関係者の間で噂される初期映像とか)。
作品の準備稿段階で映像化される為、画風やキャラクターデザインが本編と全然違ったりする。
その後の調整で出演者・声優・スタッフが調整される事がある。例えばトップ画像の「ルパン三世(パイロットフィルム版)」ではパイロット版から声優が変更されたが、「もし変更されなかったらどうなった?」という話題がファンの間で盛り上がったりする。
パイロット版ではないが「ウルトラセブン」と「ウルトラマンエース」では放送直前に俳優の事故降板が、「大戦隊ゴーグルファイブ」では第3話撮影後に出演者のトラブルで、それぞれ別の俳優に交代されて撮影のやり直しが行われた(初期版の映像は未公開)。こういう事例は気付かれてないだけで結構多い。
一般的には「パイロットフィルム版の〇〇」という感じで、キャラクターデザインの違いが話題になる。
気付かれていないだけで、パイロットフィルム用に製作された部分をバンクシーンとして大量に流用している作品は結構多い。
インタビューで東映アニメーション制作の前の20分位のパイロットフィルムが作られた事が語られている。
- 「宇宙戦艦ヤマト」
遊星爆弾の爆発、瓦礫の中から盛り上がる宇宙戦艦ヤマト、といったシーンがパイロット版で既に作画されている。
- 「みかん絵日記」
上記2件はどちらもBGMのみで声が無い。
- 「マグマ大使」
パイロット版では俳優の顔に金粉を直接塗っていた。これは肌荒れが大変なので本編では変更される。
- 「ミラーマン」
ストーリーの内容が大きく違い、ミラーマンも等身大である。ブルマァクはパイロット版の初期デザインも商品化している。
- 「青いトリトン」
製作は虫プロで、デザインも大きく異なる。後に製作会社をアニメーション・スタッフルームへ変え実現した。
- 「鋼鉄ジーグ」
一部キャラデザインが本編と違う。妙に長いエンディングで戦闘シーンが流用されている。
ほぼ本編通りの絵柄であるが、北条猛と花月舞の声優が本編とは別人であり、ガ・キーンへの合身の掛け声も異なっている。
- 「スペクトルマン」
製作スケジュールの問題で、序盤はパイロットフィルムをツギハギに再編集して尺を稼いでいる。初期オープニングではパイロットフィルム版のスペクトルマンが一瞬だけ映っている。
正確には北米TV版も含まれる。1993年にTV向けに実写とアニメを併用したパイロットフィルムが作られ、その後1998年に完全実写のパイロット版がそれぞれ作られた。
- 「ガイキングLOD」
パイロット版題名は「大空魔竜ガイキングNEO」。キャラクターが本編と異なりマンガチックな画風である。