神刀・雨御前
しんとうあめのごぜん
「何故、儂が世界の危機を何度も救えたと思う?
勝利し続けられたと思う?
云った筈だ、雨御前は時空剣だと。
其の刃は空間を渡り、そして…時間を渡るのだ」
概要
漫画文豪ストレイドッグスに登場する武器のひとつ。
元々は1500年前に異能力者である刀鍛冶が鍛えた儀式用の刀であり、時間や空間を超越して刃を飛ばす能力を持っている。別名「時空剣」。
しかし、空間接続の距離はせいぜい数十糎(10cm)程度で、時間超越も同様に僅かな時間しか操作できず、戦闘にはとても使えるような代物ではなかった。
関連タグ
ネタバレ注意
「神刀・雨御前、其の渾名を時空剣。
空間を省略し、離れた地点に刃を届かせる、
だが渡る距離は精々、数十糎(10cm)だった。
……儂の異能力で性能が百倍になるまではッ…!」
しかし、此を猟犬部隊隊長であり天人五衰の首領である福地桜痴は自身の異能力「鏡獅子」を組み合わせる事で、幾度も世界を救って来たのだ。以下が雨御前を使用した時空渡りの事例である。
- 相手の体へ死角から雨御前の刀身を時空渡りさせ、刺し貫く。また、予め複数の未来へ刃を時空渡りさせておく事で、相手がその地点に立った際には複数の刃が同時に襲い掛かる。
- 奇襲を受けた際に過去へ刃を飛ばし、自身の敗北を無かった事にする(過去改変)。
- 過去の自分に対して、自身にだけ判る記号を壁に刻んでおく事で、それを目撃した過去の自分の手により現在へと刃を向けさせる(疑似的な未来予知)。
鏡獅子の「持った武器の性能を100倍にする」というシンプル且つ強力な異能力により、時空渡りの距離は半径数十米(10m)まで延長され、雨御前で戻せる時間も跳ね上がっているなどチートのオンパレードである。また、本編で出てきた使用例は現段階ではこの程度だが、時間停止や時飛ばしなどこれからもっと増える可能性は十二分に有る。
あくまでも『時空渡りの能力は雨御前』にあるのだから、それを奪ってしまえばよいのでは?と思うのも仕方ない。現に金属を操る異能力者である立原と相対したときは、福地をもってしても「やはり立原の異能は強い。然も、この能力は儂の天敵…!」と冷や汗をかくほどであり、立原は福地の手から雨御前を奪ってみせた。
しかしその前、最初の時空渡りの際に立原へ向けた刃ではなく、未来へと時空渡りさせていた雨御前が現在の彼を貫いたのだ。つまり、雨御前を奪ったとしても、それ以前に福地が時空渡りを完了していては意味がないということになる。この生ける伝説に探偵社は勝てるのだろうか?
さらなるネタバレ注意(アニメ5期最終話の詳細なネタバレを含む)
※改めてネタバレ注意!!
空港にて、幼馴染みにして親友の福沢諭吉と相見える福地。雨御前による未来予知でポオの小説を取り出そうとした乱歩の右手を貫き、彼を新たな人質にした。予め、福地に襲われ捕えられた国木田と谷崎の二人をベッドのような特殊な装置に繋げ、「装置から下手に外そうとすれば死ぬ、5分位内に儂の真の目的を当てなければ人質を殺す」と脅しを掛ける。
しかし、福沢は福地と戦う事を止めず、彼との戦いに挑む。福沢は新双黒でもさえも対応できなかった雨御前の時空渡りを20年以上も培ってきた腐れ縁で自ら予知する。
「貴様は儂には勝てん。
何故なら、貴様には未来を見る術が無い!」
「未来は見えずとも過去は見える、
20年以上もの歴史、己の如く隣で感じてきた。
お前の癖、呼吸、剣気ならばな。お覚悟ッ!」
隙が出来た福地に刀を前に突き出すものの彼の左手によって刺されながらも受け止められ、その瞬間に威力100倍にした懐刀を投擲した。その攻撃を食らった福沢はそれでも福地にしがみつき、彼の、天人五衰の真の目的を問うも雨御前は福沢の腹部を貫いたのだった。
「福沢………ハズレだ………」
福沢は腹部から大量に血を出し、その場に倒れ込んでしまう。
※二人の決着についてネタバレ注意
(待った、この好機を
源一郎の剣には僅かな隙がある。
私だけが知る弱点、必要なのは殺意
友をも殺す覚悟ッ!)
雨御前の攻撃によって、倒されてしまった福沢だったが虎視眈々と福地の隙を狙っていたのだ。そして、福地が大指令(ワンオーダー)を手にし、吸血種に命令を下した瞬間、すぐさま立ち上がり、
「立身流の形 一ノ太刀!!」
と懐刀で斬りかかるも、大指令を取られんとする福地に雨御前で左胸を貫かれてしまう。しかし、刺される事を承知の上で福地の手を払い除け、彼の手から雨御前を離れさせる事に成功する。
(無敵のお前を敗るには
剣を手放させるしかない!)
(この距離は福沢の間合い…!
腕を掴んでの背負い投げか!?
否、落ちた懐刀!)
怯んだ際に落とした懐刀を取ろうとするが、福地はその刀を自身の足踏みで折ってみせた。しかし、福沢は懐刀を囮とし、何と!!、雨御前に刺し貫かれた自身の体を回転させ、福地の首根を斬ったのだ。福地から大指令を奪ってみせ、「全軍、侵攻を中止せよ!! 繰り返す!!」と命令し、吸血種達による世界侵攻を止めた。
福地は福沢から雨御前と大指令を取り返すために、無手で襲い掛かり、それに対し福沢は彼の行動を見て、自身に刺さった雨御前を引き抜く。
「剣を奪い、過去を変えるつもりか⁉
させぬッ!」
(無理、無心、無辜、無我)
「立身流の形 二ノ太刀!!」
この時、彼は人生で一番完璧な太刀筋を放ったこと、それが生涯通して、この一撃しか撃てないこと、その一撃がもう後戻りできないことをそして、それに斬られようとする親友の穏やかな表情を間近で見て、福沢は真相と自身の過ちを悟った。彼がそれを知ったのは親友の身を寸断した後だった………
「源一郎ッ!!
ポオの小説? 奪われていた⁉」
ポオの小説空間に入った福沢と福地ふたりがそこで見た光景は少年時代 剣道道場で互いに竹刀を振り合う、切磋琢磨していた とても懐かしい姿だった。
「為すべき事は
みな、成した」
「あぁ、お前の勝ちだ。源一郎」
福地の口から、今日付けで国連安保理決議に2415が採決されること、その内容は「今回のような、国家間を巻き込んだテロ、戦争行為を二度と招かぬよう、各国国軍に直轄司令可能な司令型を認める」特例条文が追加されること、その司令を務めるものが大司令を持ち、世界の軍を個人が所有することになると。
「だが、それは世界を征服するためでない。
お前の目的は………
と福沢は真の目的を今一度、答える。
「三十六年後だ。
ある日、雨御前による暗号が届いた。
そこには三十六年後に起こる
世界大戦の予言が記されていた、
多国間紛争が火種となり、
発達した無人兵器と生物兵器が
二億一千万の人命を奪うと
………福沢、お前ならどうする?」