(※)当記事には漫画「金色のガッシュ!!」の原作258話以降、及び完全版16巻のネタバレが含まれます。
未読かつネタバレを避けたい方はブラウザバックを推奨します。
「苦しみも悲しみも」
「そして大きな喜びもある千年だった」
「ああ そうだな」
「この子達の未来が明るくないワケがない」
概要
今作の主人公ガッシュ・ベル、及び兄のゼオン・ベルの父親にして、現在の魔界の王その人。
つまり、「魔界の脅威」とも称されるバオウ・ザケルガの元々の使い手にして、千年前の「王を決める戦い」の優勝者でもある。
原作終盤におけるファウード編、ゼオンの回想にて存在が明かされるため、踏み込んだ事情が語られないアニメ版には未登場。
原作本編においては名前が明かされるシーンは一切無かったが、完全版16巻に収録された「ガッシュカフェ」にて、フルネームや本の持ち主が明らかになった(本の持ち主については後述)。尚、魔本の色については現状でも明かされていない。
人物像
容姿
頭部に載せた「魔本と同じマークが刻まれた王冠」や全身を包む荘厳なマント等、まさに一目で「王」たる威厳を感じさせる服装をしている。
立派に蓄えた髭や、眉間と目の周りにできた無数の皺などの「1000年以上生きてきた」証も多い。さすがに年齢が離れ過ぎているからか、まだ6歳であるガッシュともゼオンとも顔つきはあまり似ていないようにも見える。完全版16巻のカバーを見るに、髭は薄い灰色。
明確な共通点を挙げるならば、ガッシュと同じく2本の角が生えている点だろう。
作者ブログにて「ガッシュの角はバオウを受け継いだ証」と回答されているため、ダウワンの角も「バオウの使い手である(あった)証」だと見て間違いないだろう。
角の大きさに関しては、まだ小さな角であるガッシュと異なり、太く長い立派な角となっている(こちらも完全版16巻のカバーを見るに、角は黄色)。
また、1000年以上生きている故か、身体もガッシュやゼオンどころかレインやアシュロン等の大柄な魔物の子とも比較にならないほど大きく、椅子に座っている状態でもおよそ10メートル以上もの巨体を誇る。
この体格に関しては、
- 劇場版「101番目の魔物」に登場する黒騎士や魔界学校の校長、本編のゼオンの回想に登場したラジン中将といった大人の魔物も、同じように巨体を誇っている。
- 作者ブログの質問コーナーに「ガッシュもゆくゆくは父親の様に、尋常じゃないほど大きく成長するのですか?」という質問が届いた際、作者の雷句先生は「それはそれは大きくなります。子供達の夢を壊すくらいに(?)大きくなります」と回答している。
といった点から、おそらくダウワン自身が特別大きくなったわけではなく、長生きをしている魔物に共通した生態的特徴なのだと思われる。
性格
魔界の民や世界そのもの、そして愛する息子達を心から想う善性を持つ、まさに「理想の王」たる人物。
ゼオンの回想では、初見の印象こそ「ガッシュとバオウに対して追及したゼオンに電撃で折檻を行う」という非情なものであったが、後に明かされた事情や葛藤を踏まえると、間違いなく心を鬼にして(ゼオンの知らぬ所では涙して)いたに違いない。
客観的に見ても、二度と口に出さないよう厳罰を与えなければ「もしゼオンが外で口を滑らせただけでもガッシュやバオウの所在がバレてしまう」という可能性があったため、ガッシュやバオウが第三者に悪用される危険性を懸念しての折檻と見なせば致し方ない部分もある。
他にも、
- (結果的には逆効果も同然であり、ガッシュとの確執に繋がってしまったとはいえ)ゼオンは「ダウワンの心の修羅な部分を継いだ」と明言されているため、だからこそ負の感情に振り回されないよう心身を鍛える必要があった。
- 後述のように、ダウワンは千年前の戦いでゴーレンと直接戦っていることが明かされているため、そのような「魔界を滅ぼしかねない危険な魔物」が今回も参戦する可能性を懸念していた可能性は高い。
- 更に「竜族の神童」やブラゴの家系といった強者達とも競い合う可能性が生じる以上、ゼオンにはベル家の代表として過酷な鍛錬を積ませなければならなかった。
等の事情も考察できるため、ダウワンなりに口外できない事情や複雑な思いを押し殺した上でゼオンに接していたと思われる。
事実、「リオウの一族がファウードを人間界へ転送する」「クリアという文字通り『魔界を滅ぼす魔物』が参戦していた」という緊急事態が実際に起きてしまったため、ダウワンの先見性やゼオンに積ませた鍛錬自体は間違っていなかっただろう。
最終的な目標が「ゼオンを強く鍛え上げることで、彼自身の自信や安全を確保し、かつ何かしらの脅威が現れた時の対抗戦力と化す」というものであったなら、やはり根底にあるのは民や息子を想う精神性であろう。
原作272話の回想におけるガッシュとの別れ際には、辛い宿命を負わせることを謝った上で涙を流し、ガッシュカフェで本の持ち主と再会した時にも涙を浮かべる等、本質的にはガッシュの父親らしく情に厚い面も持ち合わせている。
実力
1000年前の戦いを勝ち抜き「魔界の王」になったことは確かなのだが、具体的な戦闘や経緯が一切語られていないため、どれほどの実力を誇っていたのかは不明。
2023年12月現在で具体的に判明しているのは、作者ブログにて回答された「3体の仲間と協力してゴーレンを倒した」ことのみ。
この回答を踏まえた上で、
- 千年前の戦いにおいて最強クラスの強さを持つゴーレンを撃破したという戦果は大きいが、上記の通り4vs1での勝利であった。
- 逆に、同じくトップクラスの強さを持つであろうパムーンは、単独でゴーレンを撃破寸前まで追い詰めており、最後の罠に嵌められなければ勝利確定も同然であったことが明かされている。
- 後述のように真のバオウは規格外の強さを誇っているが、それはあくまで「千年近く鍛え上げられたから」だと述べられているため、千年前の戦い当時(=術の修得当時)から反則級の強さを持っていたわけではないと解釈できる。
といった点も考慮すると、おそらくゼオンのように「参加前から圧倒的な実力を持つエリート」だったのではなく、ガッシュに似た「最初からトップクラスの強さを持っていたわけではなく、戦いの中で大きく成長していった」「出会った魔物達から好感を抱かれ、協力して困難を打破していった」タイプの魔物だったと思われる。
呪文
公式情報として術属性が明かされてはいないが、バオウの使い手であった点や息子達の術を踏まえれば、言うまでもなく「雷」属性で確定だろう。
作中で「ダウワンの術」と明言されたのはバオウのみだが、バオウがザケルのオウ系(=上位派生形)である以上、少なくともガッシュやゼオンが修得しているザケルの派生形/中~上級/関連性の強いラウザルクやザグルゼム……等は概ね修得しているのだと思われる。
逆に、ガッシュ自身の素質が色濃く反映されているであろうジオウ・レンズ・ザケルガや、作者ブログにて「ゼオンの才能によりできた部分が大きい」と回答されているソルド・ザケルガとジガディラス・ウル・ザケルガは使用できない可能性が高い。
電撃を放つシーンがカラーで描かれたことはないため、雷の色がガッシュとゼオンのどちらに近しいのかは不明(バオウのカラーリングがガッシュに引き継がれてからも変化していないのだとすれば、ガッシュと同じ黄色/金色の電撃を使用するのだと思われる)。
また、原作261話の回想シーンにてゼオンに雷を落とす直前には、右手に電撃を滾らせている描写があるので、おそらく術を掌から放つタイプだと思われる。
バオウ・ザケルガ
本編においてはガッシュの切り札として何度も活躍したオウ系呪文(オウ系については「術(金色のガッシュ!!)」の記事を、バオウの詳細は「バオウ・ザケルガ」の記事を参照)。
ただ、実は本来のバオウはガッシュが使用する覚醒前/ザグルゼム強化版/覚醒~制御後のいずれとも比較にならないほど規格外の威力を誇っており、原作273話にてゼオンの口から「父が使っていた時のバオウは千年近く鍛え上げられ、究極の強さを持っていた」とも明かされている。
現にファウード編終盤にて、ゼオンがガッシュに「双子に二分された力を一つに戻す」目的で雷の力を全て託し、その上で発動した極大バオウは山よりも遥かに高いファウードの身長をさらに上回るほどの超巨大なサイズとなっている。
少なく見ても制御後バオウの数十倍もの大きさであったり、ファウードを一撃で黒焦げにする威力を踏まえると、シン級すら遥かに超越した性能を持つと見て間違いないだろう。
作中において、この極大バオウを上回るサイズを誇るのは、作者ブログにて「ファウードを倒したバオウ(=極大バオウ)よりずっと強い」と回答されているシン・ベルワン・バオウ・ザケルガのみであり、いち個人が使用する術で極大バオウを超える威力やサイズの呪文は存在しない。
しかもゼオンがガッシュに力を託す際には、「その力(=ダウワン本来のバオウ)にどれだけ近付けるかはわからんが」とも前置きしているため、原作275話で発動した極大バオウですらダウワンのバオウを完全に再現できているわけではないということになる。
つまり「老年を迎え力が衰える前のダウワン」かつ「息子に託される前のバオウ」という条件下であれば、ガッシュとゼオン2人分の力による極大バオウや、最上位の等級であるシン級をも凌駕する破壊力をいち個人で発揮できるという意味になるため、作中でアースから「魔界の脅威」と称されていたのも充分に納得できる面がある。
本の持ち主
ウィリー
完全版16巻に収録された「ガッシュカフェ」にて明らかになった、ダウワンの本の持ち主(原作本編においては登場も言及も一切無し)。
公式からプロフィールも明かされていないため、フルネームや年齢、国籍等も一切不明。
左こめかみ付近・鼻・右目の計3箇所に付いた傷跡や、無造作に後ろへ流したような髪型など、全体的にワイルドな雰囲気を漂わせる青年(少年?)。
ガッシュカフェにおいては、ダウワンを「ヒゲなんか生やしちゃって、王様っぽくなってんじゃん」と明るくからかう台詞しか発していないため、正確な人物像は今でも不明。
もっとも、上記のように気軽なやり取りを見せたり、ダウワンも「このような形だが、また会えて嬉しいぞ」と涙を流しているため、確固たる絆を築いていたのは間違いないだろう。
活躍(ネタバレ注意!)
そのキャラクター性から登場回数は少なく、初めて存在が明かされたのはファウード編終盤におけるゼオンの回想となる(回想でも長らくシルエットのみで描かれており、正確な容姿が判明したのは原作272話)。
また、回想ではない現在のシーンとして直接登場したのも、原作最終回とガッシュカフェの2回のみ。
ファウード編においてはゼオンの回想(及び混じり合ったガッシュの記憶)でのみ登場し、「ガッシュとゼオンにとっての父という関係性」「2人の息子それぞれに行った処遇」「ゼオンではなくガッシュにバオウを継がせた理由」等、バオウを巡る一連の話の根幹が明らかになる。
それらについては必然的にゼオン視点で述べた方が解説しやすく、記事同士の内容の重複を避けるためにも、詳細はゼオン・ベルの記事を参照。
原作最終回においては、ゼオンや王妃と共に戴冠式に参列し、新たな王となったガッシュの晴れ姿を見届けた。
そして完全版16巻の「ガッシュカフェ」では、なんと魔本と直接会話をすることに(当然ながら本が声を出すことはできないので、本編における通知時のように特定のページに文字を浮かび上がらせる形で意思を伝えている)。
ダウワンのオーダーは、飲むヨーグルト・リンゴ・東ハトオールレーズン。どことなく消化に良い物が多いのは、やはりお歳のせいなのだろうか……。
ちなみに16巻のガッシュカフェは祝賀会が始まっている(=ガッシュが既に新王になっている)ので、ダウワンは王冠を被っていない。
魔本との会話の中では、「王を決める戦いを乗り越えた経験や、そこで得た仲間達の大切さは認めている一方、王を決める戦いそのものを(魔界が滅びる危険性も内包しているため)完全に認めてはいない」というスタンスを明示した。
そして幾つかの意味深な台詞や、続編「金色のガッシュ!!2」への伏線と思われる台詞を発しつつ、魔本側の考え方や謎を突き付けられるような会話へと発展(魔本側が発した謎については「魔物の子の本」の記事を、ダウワンが発した謎については当記事における「余談」の項目を参照)。
魔本から「いずれ助けられない時が来るかもしれない」と告げられた際には不安の色を顔に浮かべるが、続けて「希望」として祝賀会に集った魔物達を見せられた時には「この子達の未来が明るくないワケがない」と笑みを浮かべる。
最後には魔本とウィリーに感謝を告げ、ダウワン自身も祝賀会に立ち会う……というところで締めとなっている。
余談
幾つかの謎、考察
前述の通り、ガッシュカフェにおいては意味深な台詞を発しており、それらから幾つかの考察をすることもできる。
1:ダウワンも「金色の本」を発現、及び使用したことがある?
ダウワンはクリアについて触れる際、「金色の本は都合よく発動するものではない」と言い切っているが、なぜ彼がそう言い切れるのか?
無論、「金色の本」は特例中の特例のような現象であり、呪文の修得とは違い努力や想いだけで発現できるわけではない。つまり、決して誰でも効果を知り得るわけではない。
更に、
- ここまで述べてきたように、作者ブログにてダウワンはゴーレン(=魔界の脅威ともいえるイレギュラーな魔物)と戦って倒したと明かされている。
- 更に、「4vs1でゴーレンを倒した」というシチュエーションは、どことなく原作終盤においてガッシュがクリア討伐へ向かうシチュエーションを想起させる(ガッシュもウマゴン・ティオ・ブラゴの計3人と協力し、イレギュラーな魔物であるクリアを倒した)。
- 本編でガッシュが「金色の本」によって発動したシン・ベルワン・バオウ・ザケルガは、どことなく見た目や名前がダウワンと似ているようにも見える。
- 「王冠を載せ、頭部の左右に立派な角を生やしたビジュアル」及び「ベルワンという術名/ダウワンという名前」。
といった点からも、おそらくダウワンも千年前の戦いで「魔界の脅威」に等しい存在を討伐するために「金色の本」を使用した経験がある可能性が高い。
無論、「いくら40体以上もの魔物を石化させたとはいえ、パムーンが単独で勝利寸前まで追い込める程度のゴーレンがクリアと同等の存在と言えるのか?」という疑問もあるが、これについても、
- ゴーレンは戦いの中で「ディオガ・ゴルゴジオ」をも超える術(上位術やシン級など)を修得していき、ダウワン達が戦う頃には文字通り「魔界の脅威」同然の手が付けられない存在になっていた。
- アシュロンと戦った時点でのクリアが初期形態だったように、実はパムーンと戦った時点でのゴーレンも初期形態であり、同じく形態変化を残していた。
等、ゴーレン側の成長や底力を考察すれば一応の筋は通る。
2:ダウワンも『カード』との戦いを経験している?
ガッシュカフェにて「大きな戦争が3度あった」と述べており、更に、
- その内の1つは魔界の者ではない者との戦いだった。
- ダウワン達が全ての力を奪われた時、魔本が本の持ち主達を連れて助けてくれた。
と詳細を明かしており、そのようなシチュエーションはまさしく「金色のガッシュ!!2」における魔物狩りとの戦いに酷似している。
更に、ガッシュ2の第4話でも、『カード』の一員であるギルが「以前はあの本に辛酸をなめさせられたようだった」と、魔物狩りは今回が初めてではないことを示唆する台詞を発している。
よって、
- ガッシュ2における「外界からの戦力に襲われる」という事態は突発的に発生したものではなく、「王を決める戦い」と同様に一定の周期で起こり得る試練のようなもの。
- ダウワンも過去に『カード』と交戦した経験がある。
等と考察できる。
金色のガッシュ!!2にて(ネタバレ注意!)
まだ本格登場こそしていないものの、第7話におけるガッシュの回想(1コマ)にて姿のみ映っている。
該当コマでは特殊な杖のような物を介し、ガッシュに「魔物を救う術」を引き継がせている様子が描かれている(杖の見た目的に「外伝:友」で登場した「王杖」とは別物だと思われる)。
第16話でも回想シーンで登場し、「伝承」という形でガッシュに『カード』の詳細を伝えていたことが明らかになった(敵対勢力『カード』の詳細は「カード(金色のガッシュ!!2)」の記事を参照)。
金色のガッシュ!!2にて判明した術
- 魔物を救う術(仮称)
厳密には「ダウワン自身が修得した術」や「ザケルの派生/上位」ではない可能性が高いものの、ガッシュの台詞からダウワンも所持していたことが確定なので記載。
作中の描写を見るに、「自身の命(生命力)を小分けにし、他者へ分け与える」ような術だと思われる。
関連タグ
バオウ・ザケルガ……自身の代名詞ともいえる「最強の術」。
ゴーレン……現状では唯一の、戦闘したことが明言されている魔物。
カード(金色のガッシュ!!2)……過去に交戦した可能性の高い存在。