前回の戦いで最も多くの勝利をおさめた魔物にたどりついた。
「石のゴーレン」。
その呪文は、「戦った相手を生きたまま石に変える力」…
概要
作中における現在の「王を決める戦い」ではなく、千年前の「王を決める戦い」に参加していた魔物。
CVは奥田啓人氏。
公式からプロフィールが明かされていない為、人間換算年齢や好物等は一切不明。
更に「石版にされた魔物」ではない故か他の千年前の魔物とは違い、原作準拠の公式書籍では修得していた術や本の色が解説されず、アニメ版やカードゲーム版等々のメディアミックス上によって、情報が補完される異質の扱いを受けている。
本の色に関しては、公式情報として黒鉄色と解説されている(詳細は下記の「本の色について」を参照)。
後述の通り、千年前の戦いにおいては最強クラスの実力を持つ強者であり、現在の魔物であるゾフィスにも『石のゴーレン』の異名を知られている程。
そして自身の術によって「石版に封印された魔物」の概念そのものを生み出した張本人でもあり、石版編における真の意味での「全ての元凶」である。
本の色について
前述の通り、本の色はアニメ『金色のガッシュベル!!』DVD Level-2-9巻に収録された魔物百科にて、黒鉄色と解説されている(実物ではなく映像特典なので、対象DVDを購入・レンタルすれば現在でも確認可能)。
だが、魔物百科以外では、
- アニメ版75話:月明かりによって明るめの色に見えていた演出 かもしれないが、薄めのグレー(明るめのグレー)として描写されており、魔物百科に載っている本とは明らかに色が異なっている。
- カードゲーム収録時:パートナーカードのモーリスが手にしている本は黒っぽい青色となっており、やはり魔物百科に載っている本とは明らかに色が異なっている。
となっており、描写が一貫していないようにも見受けられる。
これらが単なる監修ミスなのか、あるいは何か特別な意味合いがあるのかは2024年2月現在でも不明。
ただし、公式情報として「〇〇色」と明示されているのは「黒鉄色」のみなので、ひとまず当記事ではゴーレンの本の色=黒鉄色とする。
人物像
容姿
顔の大部分を鋼鉄製の鎧で覆い隠し、僅かに見える顔の上部分は赤い単眼、頭部からは髪ではなく朱色の蛇が何体も生えている等、総じてメドゥーサを思わせる点が多い。
下半身は「茶色の体毛を生やし、蹄のついた四本の足を持つ」とケンタウロスを彷彿とさせる外見だが、尾は口を開いて牙を露わにした蛇となっている。
上半身は「逞しい腹筋と二本腕」と鍛え抜かれた人間の身体を彷彿とさせる一方、肌の色が青銅、両胸に黄色い瞳が備わっている等、やはりどこか不気味な印象を与える要素も散見される(両胸の瞳に関しては術を発射している描写があるので、ボディペイントの類ではなく、本物の目であると思われる)。
性格
作中では回想シーンでのみ登場、かつ同シーンでの台詞も少ない為、性格に関しての詳細は不明な点が多い。
ただ、後述のような戦法を用いたのを見るに、正々堂々さや武人らしさは感じられず、良くて合理主義者、悪いと卑劣漢と思われる。
実力
戦績
最終的には魔界の王にこそなれなかったものの、千年前の参加者の約半数(なんと46体。アニメオリジナルの魔物も含めればそれ以上)を後述の「ディオガ・ゴルゴジオ」によって倒し、最も多くの勝利を収めた超強豪。
当然ながらこれほどの勝利数を記録した魔物は現代における戦いでも存在せず、単純な勝利数ならば千年前どころか、現代の戦いに参加した魔物を含めてもダントツで作中最高である。
千年前の戦いにおける詳細は未だに不明な点が多いが、以下の3つが断片的な情報として明らかになっている。それぞれの丸括弧は引用元。
- パムーンとの戦闘では敗北寸前まで追い詰められるものの、偽の人質によって隙を作り、ディオガ・ゴルゴジオで彼を石化させて勝利(原作139話)。
- 「レイラが石にされた」と聞いて挑みかかってきたビクトリームを返り討ちにした(完全版に収録されたガッシュカフェ)。
- 最終的にはとある魔物(リンク先は重大なネタバレなので注意)が3体の仲間と協力してゴーレンを倒した為、魔界の王にはなれなかった(作者ブログ)。
その他
また、回想シーンでは千年前の魔物の中でも最強クラスの実力を持つパムーンを疲労させ、「貴様も強かった」と明確に強さを認める発言をさせる程の戦闘を繰り広げており、「ディオガ・ゴルゴジオ」抜きの実力(純粋な正面戦闘)でも相当に強い実態が窺える。
加えて、いざ追い詰められた際には「自分の頭の蛇の一部を人間の少女の姿に変化させ、人質に見せかけて隙を作る」と、相手の良心に訴えかけるような搦め手まで用いる狡猾さも併せ持つ。
このように「直接戦闘における充分な強さを持ちながらも、勝利の為に卑劣な戦法も厭わない」 点がゾフィスと共通しているのは何の因果か……。
術
前述の通り、2024年1月現在でも公式情報として術属性は明かされていない。
なので、もし各種wiki系サイトやSNS、YouTube等に「ゴーレンの術属性:〇〇」のような断定口調の書き込みがあったとしても、それは「いち個人の勝手な書き込み」でしかないので注意。
しかし、作中の描写を踏まえて「石」や「石化」属性だと考察・推測される扱いが多い。
修得していた術の全容については謎が多いものの、下記のように他の魔物の術では見られない効果を発揮しているので、クリアやゴームの術のように、魔界においても特殊あるいは非常に珍しい存在の可能性がある。
作中で披露されたのはディオガ・ゴルゴジオのみだが、連載当時に発売していたカードゲームにて幾つかの呪文が収録された。
ディオガ・ゴルゴジオ
ゴーレンの代名詞にして、作中最悪とも断言しても過言ではない非人道的な効果を持つ呪文。
頭部の単眼、両胸の瞳の計3ヶ所から同時に光線を発射。
光線自体に攻撃力は無いようだが、光を浴びた魔物は全身が石化しながら自身の本の中に吸い込まれ、本のサイズに合わせて小さくなった姿が浮き出た文字通りの「石版」と化す。
最上位の等級である「シン級」ではなくディオガ級であるものの、まだ余力を残していたパムーンに1発当てただけで石化させ、巨体を持つデモルトにもこの術で勝利している為、特に条件を必要としない実質的な一撃必殺と思われる。
一応、パムーンに放つ際には自身の蛇で手足を拘束し、真正面から全身に浴びせているので、恐らく「相手の全身に浴びせなければ効果を発揮しない」制約はあるのだと思われる(流石に「少しでも掠っただけで即座に本と共に石化」は想像し難い)。
この石化は一時的なものではなく、後述の石化解除呪文「メドルウ」(もしくはそれを再現した「月の光」)を用いなければ1000年経っても解除されない程の永続的な効果であり、たとえ術の使用者であるゴーレンが敗北し魔界に帰ったとしても解除されない。
また、石化中は魔本の機能も失われる為、この術で石化した魔物は敗北扱いになりながら魔界への帰還ができなくなる。
これについては作中の描写だけでなく、作者ブログでも「ディオガ・ゴルゴジオで石化された場合、魔本が効力を失うため、戦闘不能になる事で『本を燃やされた』扱いになった」と回答されている。
そして、石化中も魔物の意識は保たれる。結果、誰もが1000年もの間人間界で壮絶な精神的苦痛を味わい続ける、極めて悪質な効果を発揮した。
偶然石版を発見し、彼ら自身の配下に仕立てあげようと企んだゾフィスによって石化が解除されるまで……。
魔本と魔物はリンクしているものの、魔物から本への術の発現及び、本から魔物への術の発動と魔界への送還以外では直接的な影響を及ぼす事態は基本的に殆どない。魔物が多大なダメージを受けた場合も、魔物が死亡する前に誰かに本を燃やして貰えば送還させ命を繋げられる。
だが、「ディオガ・ゴルゴジオ」の場合、魔物に術を当てると魔本が発光して勝手に動き、魔物を吸い込んで諸共に石化すると、魔物の術において他に類似例が存在しない現象が起きる。
連載終了後の作者ブログでも「ゴーレンの術は本当に予想外の力だったので、王を決める戦いを作った何者かも石版魔物を助けられなかった」と回答されており、上述の要素を踏まえると作中における全ての術の中でも、極めてイレギュラーな効果を持つ呪文だと評価できるだろう。
以下はカードゲーム収録時に判明した呪文。
ゴルゴジオ
目から光線を発射し、動きを封じる。
恐らくこちらも石化光線の類だろうが、詳細は不明。
さすがに下位術でも「本ごと石化させる」芸当ができるとは考え難いので、おそらく他作品でよくあるような「命中させた部位を一時的に石化させる」効果だと思われる。
メドルク
頭の蛇を操って攻撃する。相手の動きを封じる。こちらも正確な効果は不明。
しかし、作中においてゴーレンは呪文抜きでも頭部の蛇を自在に操っているので、「~ルク」系である点も踏まえると「頭部の蛇の速度や強度を上げる」等の効果だろうか?
メドルウ
石版にした相手を元に戻す呪文。
公式ファンブック「金色のガッシュ!!まるかじりブック2」内の「ガッシュと学ぶ清麿ゼミナール」のコーナーでも「ゴーレンには『メドルウ』という石化解除呪文があり、すぐ元に戻せたそうだ」と言及されていた。
この術は(ゾフィスほどの非常に優れた知力と科学力さえあれば)特殊なフィルターで再現可能であり、現にゾフィスの開発した「月の光」によって千年前の魔物は復活した。
本の持ち主
モーリス
ゴーレンの本の持ち主。フード付きの黒いローブを纏った男。
CVは渡辺英雄氏。
公式からプロフィールが明かされていないので、フルネームや年齢等も一切不明。
作中では名前が明かされず、アニメ版75話のクレジットでも「ゴーレンのパートナー」としか表記されていなかったが、連載当時に発売していたカードゲームに収録された際に名前が判明した。
こちらもゴーレンと同じく回想シーンのみの登場かつ台詞も少ない為、正確な人物像は不明。
ただ、ゴーレンが上述のような搦め手を用いた際、「娘を人質にされて無理矢理戦わされていたのです」と芝居を打つ形で協力している様子から、多少なり卑劣な性格をしていたのは否めないだろう。
余談
魔界に帰った後はどうなった?
原作29巻にて「王を決める戦いに合わせた魔界の変化」及び「王の特権」が明らかになるや(重大なネタバレの為に詳細は伏せる)、ファンの間で「ゴーレンは今も生きているのか、あるいは消されてしまったのか?」との考察が盛んになった時期もあった。
実際、連載終了後の現在でも「ガッシュ ゴーレン」と入力した際のサジェストで「その後」や「消された」等の単語が出てくる程である。
だが、2023年12月現在では公式書籍・作者ブログ・作者Twitterのいずれでもゴーレンの敗北後については一切語られておらず、彼にどのような処置が施されたのかはファンの想像に留まるのみとなっている。
ファンの予想における一例を挙げると、
- 千年前の優勝者(ネタバレの為に詳細は割愛)も善良な心を持ってはいるが、流石にゴーレンの場合は非人道的な手段で甚大な被害を出している都合上「情状酌量の余地無し」と判断して消した。
との声もある一方、
- 千年前の優勝者は例の「悪を喰らう術」(こちらもネタバレの為に詳細は割愛)を使える為、戦いの中でゴーレンの悪しき力のみを粉砕し、新たな肉体を与えて生存させている(端的にはワイトと同じような処置)。
等の意見もある。
クリアとの関係性(?)
今作のラスボス的ポジションであるクリア・ノートとは、色々と似通った点が多いような印象を受ける為、ファンの間で「ゴーレンも前回の戦いにおける〈魔界を滅ぼす為の存在〉だったのでは?」との考察も交わされる。
無論、「いくら40体以上もの魔物を石化させたとはいえ、パムーンが単独で勝利寸前まで追い込める程度のゴーレンがクリアと同等の存在と言えるのか?」とする疑問もあるが、これについても、
- ゴーレンは戦いの中で「ディオガ・ゴルゴジオ」をも超える術(上位術やシン級など)を修得していき、とある魔物が仲間達と共に討伐へ向かう頃には文字通り「魔界の脅威」同然の手が付けられない存在になっていた。
- アシュロンと戦った時点でのクリアが初期形態だったように、実はパムーンと戦った時点でのゴーレンも初期形態であり、同じく形態変化を残していた。
……等々「ゴーレン側にも成長の余地や秘められた力があった」 と見なせば筋は通るだろう。
他にも、
- 戦いが始まった瞬間から自由に行動できるが、トップクラスの魔物であれば単独でも撃破可能な程度の強さに収まっているゴーレン。
- 「本の持ち主が赤子」の制約を課せられている都合、終盤までは参戦できないが、誰1人として単独では撃破できない程に理不尽な強さを持つクリア。
……のように「王を決める戦い」の運営側が「魔物達に与える試練の形を意図的に変えたのでは?」と考察されることもある。
ゴーレン擁護意見(?)
このように石版編の悲劇の元凶であり、描写されたパムーンとの戦い方も正々堂々さの欠けた卑劣そのものな形での決着もあち、悪し様に語られる扱いが多いが、一方で以下のような擁護意見もある。
ゴーレンはディオガ・ゴルゴジオについてどこまで把握していたのか
そもそもこの術がそのような悲劇的な結末をもたらすのは、神のような力を持つ主催者にも予想が出来なかった。
更に魔物の術は、術が出た状況からの推測や、アンサー・トーカーのような例外を除いて、どんな術なのかは使うまで魔物にもわからず、細かな仕様等は結果から検証するしか無い。
解除呪文の「メドルウ」も覚えていると明言されているし、ゾフィスが少ない情報からその再現を行って見せたのもあり、戦いが終わった後に石版が魔界に戻ってくれさえすれば、多くの魔物達が千年もの間精神的苦痛を味わう悲劇は起きなかったはずである。
よって、
- 実はゴーレンはディオガ・ゴルゴジオの詳細を把握しきれてはおらず、戦いが終わった後に初めて石版は戦いが終わっても人間界に放置される真相を知り、自分の術が悲劇を生み出していたと気付いた。
- だが、戦いが終わると魔界と人間界の繋がりは閉鎖されてしまう為、石化した子供の親含めた他の魔物から責められてもどうしようもなかったのでは?
との意見もある。
「本を燃やさなくても大丈夫なのか?」と訝しむのが自然ではないかとの意見もあるが、魔物が1人になるまで続く王を決める戦いが終結している以上は、脱落者の数に応じて魔本が参加者にアナウンスを行うシステムも、石化した魔物の数を脱落者に含めて稼働していたと考えられ、石化も脱落にカウントされていると判断に繋がる要因はある。
また、ディオガ・ゴルゴジオの「石化中も意識は保たれる」「石化中は魔物と本を分離できない」性質から、メドルウで石化を解除した瞬間に魔物が自身の本を持って逃げてしまう、共倒れ狙いの捨て身の攻撃に移る等も考えられる以上、石化を解除した瞬間に確実かつ安全に本を燃やせるように毎度準備を行う手間や失敗した時のリスクを考えると、石版を一旦放置しておくのも選択肢としては無しではないだろう。
もっとも、どう見てもヒール役として描かれているキャラクターなので、「ゴーレンに悪意が無かった」とまで擁護するのは難しい面もあると思われるが……。
パムーンとの戦いは卑怯なのか
まず前提として「相手の良心に訴えかけて隙を突くやり方」は正々堂々さの欠けた戦法であるのは当然だろう。
一方で、王を巡る戦いは別にそのような戦い方が非推奨とされているわけではなく、不意打ちも他の魔物と手を組んで多対一になるのも問題ない戦いである。また、人質を実際に取ったわけではなく、あくまで演技と能力で隙を作っている。
このようなやり方は、
……等々、変身や演技で相手を翻弄し隙を作る戦術自体は、他の魔物にも見受けられる。
パムーンとの戦いも、追い詰めたら急に少女が出てくると余りにも不自然な状況から、パムーンには少女が罠であるのはバレバレだったが、ゴーレンの迫真の演技に隙が生じてしまったとするのが流れであり、パムーンもゴーレンの卑劣さに怒るのではなく、罠と判っていながら隙を見せた自分の甘さを悔やんでいる等もあり、「あくまで自分の能力を駆使した戦法の一環に過ぎないのでは?」との意見もある。
金色のガッシュ!!2にて(ネタバレ注意!)
現状では未登場……なのだが、第18話にてジリオンがブラゴについて「とびきりヤベエ奴だから、オレの知らない奴らで徒党を組んで真っ先に倒された」と述べているシーンの回想コマにて、「徒党」たるメンバーの中にゴーレンと酷似したキャラクターが見受けられる。
第18話時点では上記の1コマで後ろ姿しか描かれておらず、名前が明示されたわけでもないが、多数の蛇を生やした頭部・筋肉質な上半身・やや毛深い4本足の下半身等々の特徴から、ゴーレン本人で(ほぼ)確定だと思われる。
つまり今作では、魔物であるにもかかわらず『カード』側として活動している扱いになる(『カード』の詳細については「カード(金色のガッシュ!!2)」の記事を参照)。
該当キャラをゴーレン本人と仮定した場合、
- 前回の「王を決める戦い」の後でも「王の特権」によって消されてはいなかったが、『カード』が侵攻してきたのを機に寝返った。もしくは何らかの理由で『カード』の存在を知っており、初めからそちらへ就く算段だった。
- 前王から「王の特権」によって消されていたものの、『カード』の侵攻にあたりベリエルがゴーレンを魂ごと蘇生させた。
等々が考えられ、どちらにせよ今後ガッシュ達の前に、屈指の強敵として立ちはだかる可能性は非常に高いだろう。
関連タグ
ゾフィス:自身の術を研究・再現した魔物。
アルム、レイラ、ビクトリーム、他多数……ゴーレンの被害者となってしまった千年前の魔物達。
ツァオロン、ベルギム・E・O、パムーン、デモルト:石版にされた魔物達の中でも特に強力な猛者達。全員を正々堂々と倒したわけではないかもしれないものの、彼らのような強豪を撃破している点からもゴーレンの強さがうかがえる。
静寂の三闘士:アニメオリジナルの石版魔物。彼らも千年前の戦いでは名を馳せていた。
クリア・ノート:上記の通りファンの間では「関連があるのではないか?」との説もある。
とある魔物:千年前の戦いでゴーレンを討伐した魔物(前述の通り、リンク先は重大なネタバレを含むので注意)。